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熊本大学新技術説明会(11月15日)


熊本大学新技術説明会 機械的加工によって基材表面を微細パターニング

11月15日、科学技術振興機構(JST)の主催より開催された「熊本大学新技術説明会」。ここでは、中西義孝教授(大学院先端科学研究部産業基盤部門先端工学第三(医療材料))の講演「あらゆる素材、大面積、三次元曲面に対応可能な表面パターニング技術」を取り上げる。


図1 プロセスフロー1)

 研究の狙いは講演タイトルにあるように、あらゆる素材の表面に各種機能を直接刻むこと。そこで開発したのがマイクロ3Dマスキング技術とマイクロ・ナノ機械的除去加工技術(マイクロスラリージェット法)を組み合わせた複合プロセス。

 図1のように、まず3Dプリンティング法またはフォトエッチング法といったコンベンショナルなプロセスで光硬化性樹脂にマスキングパターンをダイレクト形成する。この後、径1μm程度のAl2O3研磨剤を数%含有したスラリーを用いて加工面を機械的に除去加工する。この際、マスクと母材が同時に除去されるため、マスクが完全に除去されると母材面に目的通りの凹凸パターンが刻まれる仕組み。ケミカル加工ではないため、フォトレジストやエッチャントといった薬液やその剥離プロセスは不要である。つまり、従来のパターニング技術とスラリーポリッシング技術を組み合わせたもので、プロセス自体は目新しいとはいえない。

 そのメイン用途は“bio-inspired surface”で、蓮の葉や蛾の目など一部の生物や植物にみられる表面微細構造によって新機能を付与する。例えば、パターンレスでも上記のスラリー加工を施せば、水の接触角は20度程度から60度弱へ向上。いわゆる撥水効果が付与でき、指紋がつきにくくなったり、防汚性が向上する。

 写真1はセラミックス基板を表面処理した結果で、表面ラフネスが低下し、機械的強度が高まる結果、寿命が向上する。また、樹脂を成形する金型を加工処理すれば、表面の防汚性が向上して樹脂の残渣がミニマム化でき、精度の高い成形加工や寿命向上が期待できる。写真2はガラスに蓮の葉構造を模したドットパターンを設けた結果で、指紋が付着しにくくなるなど防汚性が大幅に向上することが確認できた。

参考文献
1)中西:あらゆる素材、大面積、三次元曲面に対応可能な表面パターニング技術、熊本大学新技術説明会資料、pp.13-16(2018.11)


写真1 セラミックスの表面状態比較1)

 
写真2 表面パターニング加工の成果1)



REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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