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技研公開2018(5月24〜27日)


技研公開2018 逆構造有機ELデバイスの大気安定性をアピール

5月24〜27日、NHK放送技術研究所で「技研公開2018」が開かれた。ディスプレイ関連の注目はシート型有機ELディスプレイで、今年も88型8Kディスプレイを披露。LG Display、NHK、アストロデザインが共同開発したものだが、テクノロジー的な目新しさはなかった。ここでは、NHK技研のオリジナル要素技術である逆構造有機ELデバイスに関するデモをピックアップする。


写真2 フレキシブル逆構造有機ELデバイス

写真1 88型8K有機ELディスプレイ

 NHK技研が開発した逆構造有機ELデバイスはITOカソード/電子注入層/電子輸送層/発光層/ホール輸送層/ホール注入層/Alアノードという構造。コンベンショナルな順構造デバイスと違い、ITOをカソード、Alをアノードに用いる。

 ポイントとなる電子注入層はスパッタリング成膜したZnO無機酸化物層と日本触媒のマル秘有機層のダブルレイヤーで、順構造デバイスで用いられるアルカリ電子注入層を使わないため大気安定性が極めて高いのが特徴。写真3はプラスフィルム基板上に素子を作製し、市販のシール材を介してもう一方のプラスチックフィルムで封止した試作デバイスの発光の様子である。左の順構造デバイスは作製後21日でダークスポットなどによって非発光エリアが目立つのに対し、右の逆構造デバイスは156日後でも全面にわたって発光を維持しているのがわかる。また、高温多湿環境でのテストでも順構造デバイスに比べ耐久性が高く、通常の室温環境なら輝度半減寿命は5000時間を超えるという。

写真3 順構造デバイス(右)と逆構造デバイス(左)の表示比較
 そのデバイス構造からキャリア注入特性が気になるが、ホール側は元来一般的なホール注入材料とのキャリア注入障壁が少ないため、良好なホール注入特性を実現。他方、電子側はアズデポITO自体は仕事関数4.7eVだが、上部のZnOの効果によって表面の仕事関数は3.7eVに低下。電子も順構造デバイスとほぼ遜色ない注入特性が得られる。実際、素子の外部量子効率は燐光である赤色と緑色がほぼ20%、蛍光である青色が5%と順構造デバイスと変わらないという。

 

 

 

 

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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