ステラ・コーポレーションは、半導体やパッケージ基板向けなどのフォトマスクを用いてフォトレジストを露光する際に、あらかじめ露光・現像後のパターニング形状が予測できるシミュレーションソフトウェア「エッチングプロセスシミュレーター」を開発することに成功しました。長年培ってきたCAD/CAMソフトウェア「Stella Vision」をベースに、新たなアルゴリズムを加えたもので、数十nmレベルのファインパターンを形成するアシストツールとして製品化します(Stella Visionのオプション)。
周知のように、半導体のデザインルールは年々シュリンクしますが、露光波長以下のデザインルールになってくると、設計したデータ通りにフォトマスクを作製しても、設計通りの露光パターンは得られません。このため、設計パターンと露光パターンが一致するよう、あらかじめマスクパターンを補正しておくOPC(光近接効果補正)技術を用いるのが一般的です。今回、ステラ・コーポレーションはOPC技術を改良したモデルベースの新アルゴリズムによって独自のシミュレーションソフトウェアを開発しました。このソフトウェアを用いれば、線幅が一層微細化しても最適なフォトマスクが容易に作製できます。
写真1にシミュレーションサンプルを示します。内側の紫のラインがフォトレジスト露光・現像後の予測パターン、外側の水色のラインがこのパターンが得られる補正パターンです。つまり、露光・現像後はややオーバー現像されることによって線幅が若干細くなります。もちろん、それぞれの場所の形状に応じて補正の程度を自動的に最適化します。
写真2はシミュレーション結果の一例、写真3に実際にレーザー描画したフォトレジストパターンを示します。最小線幅10nmクラスながら、実際に微細パターニングした結果とシミュレーション結果がほぼ同じであることがわかります。
まだベースソフトウェアを開発した初期段階のため、当面は露光パターンのアシストツールとして位置づけていますが、近い将来は実際の完成パターンにまで適用範囲を広げていく予定です。つまり、フォトレジスト露光〜現像〜シリコン膜や配線膜のドライエッチング後のパターンまで予測してフォトマスクパターンを補正できるようにします。もちろん、エッチングガスの種類、流量、チャンバ内圧力といったプロセスパラメータを入力すれば、どのようにドライエッチングが進み、最終的にどのようなパターンが得られるかを予測するわけです。
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