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第31回ファインテックジャパン/第12回高機能フィルム展/第10回高機能プラスチック展 (2021年12月8〜10日)


第31回ファインテックジャパン/第12回高機能フィルム展/第10回高機能プラスチック展
印刷受託事業や透明ポリイミドでWhat's Newが相次ぐ

112月8〜10日、幕張メッセで開かれた「第31回ファインテックジャパン(電子ディスプレイ産業展)/第12回フィルムテックジャパン(高機能フィルム展)/第10回プラスチックジャパン(高機能プラスチック展)」。今年も新型コロナ感染対策の徹底など決して平時とはいえないなかで開催されたが、出展社数は減ったものの、来場者数は4万人強と平時と変わらないようにみえた。おもなトピックスをレポートする。

 今回総じて目立ったのはマテリアル関連の出展で、新たなプラスチック材料や印刷受託事業の提案が目についた。反面、製造装置・検査装置といったイクイップメントの出展は激減し、露光装置や真空成膜装置といったFPD製造装置のメインどころの出展は皆無に近かった。

高耐熱PIがMini LEDのサブストレートに正式採用


写真2 Xenomaxをサブストレートに用いたMini LEDディスプレイ

写真1 耐熱性の比較
上が一般的なPIフィルム、下がゼノマックス
 独断と偏見ながら、今回もっともインパクトが強かったようにみえたのが東洋紡のブースでデモしていたゼノマックス・ジャパン。同社は東洋紡と長瀬産業の合弁会社で、新たな低熱膨張ポリイミド(PI)フィルム「Xenomax」を製品化。最大の特徴は500℃クラスという耐熱性の高さで、写真1のように一般的なPIフィルムと比較展示して耐熱性の高さをアピール。また、線膨張係数も8ppm/℃とプラスチックフィルムとして極めて低い。つまり、シリコンウェハーやセラミックスに匹敵する頑丈さを誇る。さらに、表面平滑性もRa=0.5nmとガラス並みである。

 ブースではすでにフレキシブルサブストレートして量産採用されているE Ink製電気泳動型電子ペーパーと台湾Innoluxの55型Mini LEDディスプレイを展示。後者は厚さ2oと有機ELDに匹敵するレベルで、当然のことながら単板サブストレート化を実現。解像度は960×540画素と近くで見ると画素が認識できるが、インフォメーションモニターなどの産業用途なら十分なレゾリューションといえる。ちなみに、こちらも近くセットメーカーから量産出荷される予定となっている。

中本パックスがロータリースクリーン印刷の受託加工に進出


写真3 ロータリースクリーン印刷サンプル
 前記のように、今回は受託印刷事業の提案が目についた。まずはグラビア印刷やコーティングの受託加工を展開する中本パックスで、今回、新たにロータリースクリーン印刷の受託加工に進出したことをアピールした。最大508o幅のワークに対応可能で、ロータリースクリーン印刷のため、つなぎ目なしのエンドレス印刷パターニングができる。気になる印刷解像度はL&S=100μm/200μmクラスで、電極などのライン形状はもちろんのこと、ドットなどの印刷も可能。ブースでは、写真3のようにPETフィルムにAgペーストを印刷したサンプルを公開。FPC向けなどでサンプル出荷を活発化させている段階だ。ちなみに、ロータリースクリーン印刷の受託加工は珍しく、国内で2社目だという。

セーレンがIJ印刷加工をPR


写真5 凹面基板への印刷サンプル

写真4 布への回路印刷サンプル
 他方、セーレンはインクジェット(IJ)印刷の受託加工に参入したことをアナウンスした。自社開発したIJ装置を用いて各種ワークに機能性インクをIJ印刷してユーザーに提供するスタイルで、ワーク幅はマックス2000o、印刷解像度は60μm程度に対応できる。印象的だったのが一般的に難しいとされるワークへの印刷サンプルで、写真4のように布の印刷サンプルからプリズム用途でのドット印刷、曲面基板への印刷、さらに写真5のように凹面基板への印刷までを披露。非接触ならではというIJ印刷の応用可能性をフルに活かしたデモはインパクト抜群に感じた。

透明ポリイミドのデモも活発に

 今回はフレキシブルディスプレイなどで需要が顕在化している透明ポリイミドに関するWhat's Newも活発だった。

 まずは日鉄ケミカル&マテリアルで、透明フレキシブル基板用の透明ポリイミドCCL(Copper Clad Laminate)を展示した。独自開発した透明ポリイミドフィルムに銅箔をスタックした2層銅張積層板で、いうまでもなく回路としてパターニングした後は透明CCLになる。その全光線透過率は87%、熱膨張係数は18ppm/℃。ポリイミドだけに屈曲性や耐熱性で競合するPETやCOP(シクロオレフィンポリマー)に対し圧倒的に優位なことを強調していた。

 一方、三井化学は透明ポリイミドワニス「エクリオス/ECRIOS」を披露した。フレキシブルデバイスのサブストレート用で、ガラスなどのサポート基板に塗布して硬化させてサブストレートにする。グレードによって全光線透過率は88〜90%、線膨張係数は10〜55ppm/℃。基板として折り曲げても特性が変化しないなど頑丈なのが特徴だという。

信越ポリマーは透明導電性ポリマーをアピール


写真6 帯電の比較 左がコーティングレス、右がコーティング済み
 同じく透明材料では、信越ポリマーがポリチオフェン系導電性ポリマー「セプルジーダ」をピーアールした。いわゆるPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)で、各種コーティング法でガラスやプラスチックフィルムといったワークに塗布する。透明電極から帯電防止用途まで使用可能で、表面抵抗値は100Ω/□から1011Ω/□まで調整可能。写真6のように、ブースでは帯電防止効果をデモ。セプルジーダを塗布すると、発泡スチレンボールがまったく帯電しないことを実証していた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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