STELLA通信は潟Xテラ・コーポレーションが運営しています。

JPCA Show 2018(6月6〜8日)


JPCA Show 2018 ダイレクト露光装置で新たなムーブメントが

 6月6〜8日、東京ビッグサイトで開かれた「JPCA Show 2018」。全体的にはPCBやスクリーンマスクをダイレクト露光する動きが目立っていたように感じた。おもなトピックスをレポートする。

 まず、PCB用ダイレクト露光装置「LANZAN」を大々的にアピールしたのがSCREEN PEソリューションズ。直前にプレス発表したこともあり、今回のJPCA Showでも主役の一角といってもいいほどの人気を集めていた。

 テクノロジーの詳細はプレス発表やカタログレベルにとどまるなどフルオープンとはいえなかったため、オフィシャルレベルの内容を列挙すると、独自の新開発露光エンジンにより8μmレベルと世界最高解像度を達成。標準構成で5本の露光ヘッドを走らせることにより、ワンパス処理を実現。さらに、アライメントもヘッドを停止させることなくリアルタイムで行うことによりスループットを高めたとしている。

スクリーンマスク内製用のダイレクトDLP露光装置が製品化へ


写真1 ダイレクト露光で試作したスクリーンマスク
 一方、セリアコーポレーションはスクリーンマスク内製用のダイレクト露光装置をアピール。今秋にも装置事業に乗り出すとともに、この装置で作製したスクリーンマスクも製品化することを明らかにした。

 海外の装置メーカーと共同開発しているダイレクト露光装置は米Texas InstrumentsのDLP(Digital Light Processing)をベースにしたもの。描画ヘッドから通常のUV光を照射しDMD(Digital Micro Mirror)でON/OFF制御しながら、スクリーンマスク上に塗布された感光性乳剤をダイレクト露光する。つまり原版が不要で、ユーザーはスクリーンマスクをリアルタイムで内製することができる。気になる装置価格は4000〜5000万円を想定。タクトタイムは解像度によるものの、400×500oクラスで20分程度だという。

 写真1のように、ブースではこの装置を用いて作製したスクリーンマスク(乳剤厚4μm、版枠サイズ400×500o)を展示。前記のように、セリアコーポレーションは装置だけでなく、スクリーンマスクも製品化する予定だ。

大気中で硬化するCuペーストが登場


写真2 Cuペーストを印刷したサンプル
 マテリアル関連では、瓦応化学工業が大気中で焼成できるスクリーン印刷用Cuペーストを紹介した。コンベンショナルなμmサイズCuパウダーを使用しながら、印刷後、大気雰囲気で150℃×30分焼成すれば2×10-5Ω・cmと実用的な比抵抗が得られる。ただ、比抵抗から想像できるように硬化膜はピュアCuではなく、膜中には分散性確保のためのバインダが一部残る。標準的な濃度は89%、粘度は100Pa・sである。ブースではL&S=30μm/30μmというファインパターンをスクリーン印刷したプラスチックフィルム製サンプルを披露。低耐熱性サブストレートに適していることを示していた。

ロータリーIGZOターゲットが出現


写真3 ロータリースパッタリング成膜用IGZOターゲット
 What's Newというわけではないが、a-Si TFT、低温poly-Si TFTに次ぐ第三のディスプレイ用TFTであるIGZO-TFT向けのマテリアルも目を引いた。三井金属が披露したIGZO(In-Ga-Zn-O)スパッタリングターゲットで、写真3のように円筒形である点が目新しい。この円筒形ターゲットを回転させながらスパッタリング成膜するため、エロージョンが均一化されて、コンベンショナルなプレーナーターゲットの2倍に当たる70〜80%という高い使用効率が得られる。今回展示したのは400o幅対応の純度4N品で、すでにディスプレイメーカーで量産採用されているという。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

ステラ・コーポレーションでは測長&外観検査装置のローコストモデル「LSTシリーズ」もラインアップしています。