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SEMICON Japan 2012(12月5〜7日) |
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12月5〜7日、幕張メッセで開かれた「SEMICON Japan 2012」。ここではプリンタブルエレクトロニクス関連のトピックスをレポートする。 製造プロセス技術では、産業技術総合研究所(産総研)が次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)のブースでトピックスを連発した。なかでもWhat's NEWは、オフセットスクリーン印刷と名づけたニュープロセス。周知のように、通常のスクリーン印刷は基板上に直接ペーストを印刷する。これに対し、オフセットスクリーン印刷ではPDMS(ジメチルポリシロキサン)ブランケット上にペーストを印刷した後、このPDMSブランケットを基板に接触させて転写する。この際、PDMSブランケットがペーストに含まれる溶剤を吸収するため、基板への転写時にペーストのにじみが少なくなり、印刷解像度が大幅に向上する。一般的に通常のスクリーン印刷はマスプロダクションでは線幅50μm程度が限界とされるが、オフセットスクリーン印刷では20μmクラスのハイレゾリューション印刷が可能になる。さらに、PDMSブランケットの存在によって基板上にスクリーンマスクのメッシュ痕もほとんど残らない。もちろん、厚膜化が容易というスクリーン印刷の特徴は兼ね備えている。ブースでは、ナミックスのAgペーストを500メッシュスクリーンで印刷したサンプルを披露。L&S=30μm/30μmというファインパターンがシャープに印刷できていることを示していた。
なお、この研究グループではマイクロコンタクトプリント法(μCP法)を用いて有機トランジスタを試作しているが、プロセスの使い分けについて説明員は「有機半導体層は数μmの印刷解像度が要求されるためμCP法、電極はオフセットスクリーン印刷法と解像度によって使い分けるのが有効」としている。 低分子有機半導体はDS-IJ法、高分子有機半導体はプッシュコート法を推奨 また、産総研は独自の有機半導体塗布方法としてダブルショットインクジェット(DS-IJ)法とプッシュコート法も紹介した。前者は元来、ドナーインクとアクセプターインクを交互に滴下し基板上で結晶性有機薄膜電極にするために開発された技術で、そのコンセプトは結晶析出と溶媒蒸発を分離することにある。この概念を有機単結晶半導体膜に応用したのがニュープロセスである。つまり、有機半導体の結晶化を促進する貧溶媒(水やN,N-ジメチルホルムアミドなど)をまず基板上に滴下。続いて、ジクロロゼンゼンに溶解させた有機半導体インクを滴下することにより単結晶有機半導体膜を析出させる。すなわち、貧溶媒によって液滴における有機半導体の溶解度を低下させることで結晶化を促進する。この際、有機半導体結晶が析出した後、溶媒が蒸発するという順でフローが進行する。この結果、コンベンショナルなIJ法でみられるコーヒーステイン現象に代表される不均質な結晶ではなく、均一な結晶が得られる。これは、混合膜は基板上で瞬時に混ざるのではなく、貧溶媒表面を有機半導体液滴が拡散しながら徐々に混合するためと考えられる。この結果、数百μmという広い領域で粒界がほとんどない単結晶ライクな膜が形成される。その均質性も極めて高く、表面も分子レベルで平坦となる。これら結果、キャリアモビリティは有機TFTでは世界最高クラスの15cm2/V・s以上が得られる。
他方、後者のプロセスフローは@スタンプ圧着による塗布型半導体膜の形成、Aスタンプによる溶剤吸収とそれにともなう薄膜成長、Bスタンプリリース、という3段階からなる。図のように表面層にPDMS層(両面)、中間層に溶剤浸透を遮断するフッ素系シリコーンゴム層からなる3層構造スタンプを使用。このスタンプは表面平滑性が高く、溶剤吸収にともなう歪みが小さい。このため、溶剤を数分かけてゆっくり吸収し、しかも表面付近に保持する。すなわち、スタンプ表面の“半濡れ”状態が持続するため、スタンプ-薄膜間の固着力は基板-薄膜間の固着力に比べ常に弱く、薄膜を基板表面に残したままスタンプがリリースされる。剥離後はスタンプから溶剤が徐々に脱離するため、スタンプを繰り返し使用することができる。 周知のように、有機TFTは液体をはじく絶縁膜表面に有機半導体膜を形成すると特性が安定化する。しかし、従来の塗布法では撥水面によって溶液がはじかれるため、材料ロスが大きくなり、また均質な薄膜が得られにくい。これに対し、プッシュコート法は撥水性のゲート絶縁膜上にも均一に塗布することができ、この結果、キャリアモビリティをはじめとする特性も向上するといわれる。
研究グループはどちらも特性の高い有機TFTが実現するとアピール。DS-IJ法は低分子材料、プッシュコート法は高分子材料に適しているとしている。 過熱水蒸気処理によってCuの酸化を防止
プリンタブルエレクトロニクス向けインフラでは、東洋紡がFPC用Cuペースト・インクを紹介した。サブμm粒径のCuパウダーにバインダなどを加えたペースト・インクで、印刷後、過熱水蒸気法によって焼成してピュアCu膜になるのが特徴。水蒸気雰囲気で高周波加熱することによって低酸素雰囲気を作りCuの酸化を防止する仕組みで、肉まんをはじめとする食品用途で用いられるスチーム加熱器で処理できる。このため、装置価格も小型ワークなら150〜300万円とリーズナブルだ。注目される処理条件は200〜400℃×5minで、10-5Ω・cmオーダーという低抵抗配線が得られる。 ブースでは、自社のポリイミドフィルム「ゼノマックス」基板上に凸版オフセット印刷したサンプルを展示。また、写真2のようにスクリーン印刷のサンプルパターン写真も紹介。スクリーン印刷用ペーストはもちろんのこと、フレキソ印刷用インクにも対応できることをアピールしていた。 藤倉ゴムがシリコンブランケットゴム市場に名乗り 他方、藤倉ゴム工業はグラビアオフセット印刷用シリコンブランケットをアピールした。プリンタブルエレクトロニクス向けの代表的なスペックは厚さが1.7oと2.3o、臨界表面張力が約22dyne/cm、ゴム硬度が30〜60度。グループ企業である藤倉化成のAgペーストを用いて印刷プロセスを自ら開発するとともに、このAgペーストに合わせたブランケットが作製できる点がセールスポイントだという。
ブースでは、写真3のようにスマートフォンのタッチパネル配線を模したAg配線印刷サンプルを展示。ブランケットの販売に加え、450o幅対応の試作用印刷機によるテスト印刷・受託加工事業にも進出する考えだ。
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REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |