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CEATEC JAPAN 2012(10月2〜6日) |
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10月2〜6日、幕張メッセで開かれた「CEATEC JAPAN 2012」。CEATECの主役、薄型テレビでは事前の予想通り4K2Kテレビ(3840×2160画素)が目玉だったが、各社とも既存の2Kコンテンツをアップスケーリングして4K2K画像に変換表示するというデモに終始。4K2Kテレビの前途はここ数年の3Dテレビと同様、期待外れに終わるのではないかという危惧すら感じた。4K2Kテレビをはじめトピックスをレポートする。
その4K2K液晶テレビを披露したのはソニー、東芝、シャープの3社。すでに55型テレビを先行リリースしている東芝は、来春発売する84型テレビを“第2世代4Kテレビ”として展示。2K解像度のブルーレイソフトを4K解像度にアップスケーリングして表示し、2Kコンテンツでも映画館並みの高画質表示ができることをアピールした。同社も3Dテレビで指摘されるコンテンツ不足対策には十分配慮しているようで、来年には4K対応のノートPC「Dynabook」を投入することを表明。4Kディスプレイの普及に向けインフラを整えていく姿勢を示した。 ソニーはパターン化位相差フィルム+偏光メガネ方式の3D対応84型4K2Kテレビを大々的にピーアール。風景、スポーツ、新聞、ゲームなど表示画像毎にテレビを表示。こちらも2Kコンテンツを4K画像にアップスケーリングして4Kのハイレゾリューション性を引き出すデモを敢行。確かにその画質は圧巻に感じたが、11月23日にリリースする価格168万円を聞くと購入意欲も萎れてしまう。
一方、シャープは上記2社とは異なるアングルから開発したICC-LED 4K2K液晶テレビを披露。アイキューブド研究所の光クリエーション技術を搭載したもので、人間の目で見た感覚にきわめて近いナチュラル映像をディスプレイ上で再現できるのが特徴。連日長蛇の列ができた特設コーナーでは、通常の2Kテレビとの比較デモを敢行。風景画像を流し、木の揺れや水面の揺れ、さらに猿の挙動などがより自然に感じられる点を強調していた。ただ、個人的には「いわれてみれば」というのが実感で、臨場感が圧倒的に違うというレベルには感じなかった。 そのほか、TFT-LCDモジュールベースではパナソニックが4K2Kの20型TFT-LCDを展示。独自のIPSαモードを採用したパネルで、コントラストは3000:1以上、厚さも3.5oとハイスペックをマーク。ただ、まだ製品化計画は未定とのこと。 シャープはMoth EyeとIGZOで差別化を演出 上記のようにシャープは4K2K液晶テレビも展示したが、メインエキジビションはむしろ低反射技術「Moth Eye」とIGZO酸化物TFT駆動LCD「IGZO」だった。
前者はその名の通り、蛾の羽を連想させるナノレベルの微細凹凸構造物を設けて外光反射を拡散させずに反射率を極限まで抑制したもので、プラスチックフィルム上にピッチ100nm、高さ百数十nmのナノアレイパターンを設けた。このMoth Eyeフィルム自体はフィルムメーカーから調達するが、ナノアレイ形成用の原版はシャープが供給。パネルへのラミネート技術をはじめアッセンブリ技術を最適化することにより、60型以上の大型パネルにも適用可能になったという。ブースでは60型、70型、80型テレビに加え、サンプル用の中型パネルも展示。写真4のようにコンベンショナルな反射低減フィルムパネルとの比較展示では外光の映り込みが少ないことが実感できた。ただ、Moth Eye自体は某フィルムメーカーが数年前からリリースしているもので、What's NEWと呼ぶには苦しいように感じた。 他方、後者は現時点で世界唯一の量産メーカーだけに超高精細6.1型(2560×1600画素)、電子ブック用7型(1280×800画素)、タブレットPC用10型(2560×1600画素)/13.3型(2560×1440画素)、32型4K2Kパネルと豊富なラインアップを誇示。このカテゴリで先行していることを強く印象づけた。目玉の32型4K2Kパネルは絵画鑑賞、医療機器、デザイン用など当面はハイエンドモニター向けとして製品化する考えだが、将来的にはPCモニターやテレビといったコンシューマー向けにも展開するようだ。
なお、技術デモとしては写真7のようにリアルタイムでコンベンショナルなa-Si TFT-LCDとの消費電力比較を実演。その消費電力はTFTサイズをシュリンクさせて開口率を向上させることなどにより、a-Si TFT-LCDの1/3〜1/7というローパワーを達成。さらに、スキャンドライバ回路に加えゲートドライバ回路もガラス基板上にビルトインすることで、7型クラスで1.5oという狭額縁を実現した。ちなみに、今回披露したパネルはすべて既存のアモルファスIGZO-TFT駆動で、半導体エネルギー研究所と共同開発した結晶性IGZO-TFTはまだ研究開発途上とのこと。 車載ミラーに高輝度TFT-LCDをインテグレード
TFT-LCDモジュールでは、京セラが車載機器向けとして新たなアプリケーション可能性を示した。バックミラーに3.3型高輝度TFT-LCD(400×240画素)をインテグレードしたバックモニター一体型バックミラーで、通常のナビゲーションモニター上に表示される背面映像をバックミラー上に表示する仕組み。つまり、通常はLCDのバックライトをOFFにして普通のミラーとして使用。ギアをバックに入れて後進する際はミラー上に背面映像が表示される仕組み。車載用だけにバックライトの輝度は1万cd/m2クラス。すでに自動車用ミラーメーカーの米Gentexへ量産供給しており、米国では次第に浸透しているようだ。 腕時計やリストバンドにフレキシブル有機ELDを 有機ELディスプレイは今回双葉電子工業のみがパッシブマトリクスパネルを展示。目玉はPETフィルム2枚で固体封止したフレキシブルパネルで、腕時計用1.3型パネル(128×128画素)とファッショナブルリストバンド用3.5型パネル(206×64画素)を披露した。どちらもトータル厚を0.22oに薄型化。もちろん、写真10のようにフレキシブル性も備える。ただまだ開発途上で、製品化計画は未定だという。 双葉電子は有機EL用吸湿剤や成膜・パターニング受託事業もPR
双葉電子工業は部材メーカーとしても存在感をアピール。まずは有機EL用液状吸湿剤「OleDry」で、封止基板であるキャップガラスまたはフラットガラス上に滴下・塗布するだけで外部から侵入してきた水蒸気を吸湿し寿命を改善する仕組み。吸湿キャパシティはOleDry本体の10wt%と高く、有機ELパネル・デバイスの寿命がOleDryの吸湿能力によって左右されることはない。もちろん、可視光透過率も95%と高いため、EL発光を封止基板側から取り出すトップエミッションパネルにも採用することができる。ブースではOleDryとエポキシ樹脂系シール剤を塗布した300×400oフラットガラス封止基板を展示。さらに、研究開発用としてシール剤とOleDryを塗布して対向基板と真空中で貼り合わせてUV硬化する封止装置(380×390o基板対応)も公開。R&D用途なら封止装置も販売する考えを示した。 同社はタッチパネルやパッシブ有機ELD用前面基板をはじめとする基板の成膜・パターニング受託事業もピーアール。数年前に撤退したFED用生産ラインを有効活用する狙いで、マックス600×720oガラス基板に対応できる。成膜はスパッタリング法とプラズマCVD法に対応可能なため、Al、ITO、Cr、Siなどが成膜できる。また、フォトレジストやポリマーのウェットコートにも対応。パターニング法もウェットエッチングとドライエッチングが適用可能で、ミニマム数μmというファインパターンにも対応可能だ。もちろん多層膜の成膜・パターニングも容易で、デバイスの実験、試作、少量生産から最終的には量産まで受託したいとしている。 メッキ&ウェットエッチングレスのグラビアロール版が登場
エレクトロニクスデバイス用インフラでは、超高精細グラビアロール版メーカーのシンク・ラボラトリーが今年もWhat's NEWを提供した。PED Foilと名づけたまったく新しいグラビアロール版で、NiやSUSといったベースメタル上にDLC(Diamond Like Carbon)をパターニングしただけ。つまり、グラビア印刷時にインクはDLCパターンによって形成された溝部分(メタル部分)に充填されてワークに転写・印刷される。従来のグラビア版で不可欠なCrメッキやウェットエッチングが不要で、耐摩耗性の高いDLCを用いるため寿命特性にも優れる。詳細はノウハウのため明らかにしなかったが、DLC膜の描画には従来通り独自のレーザー描画装置を使用。この処理によって下地メタルとDLCの接着力に差をつけてメカニカルに剥離・パターニングするとみられる。当然のことながら、解像性はレーザー描画装置によって決まるため、従来版と同様、2万5600dpiというハイレゾリューションを達成。印刷対象物は微細コイル、パターン銅箔、PCB、透明電極、EMIシールドなどさまざまで、次世代のエッチングレス製版として提案していく考えだ。 なお、DLCの成膜にあたっては先頃、本社工場に径1000o、長さ3500o対応のバッチ型CVD装置を導入。金属シリンダーの作製からDLC成膜、パターニングまで一貫加工できる体制を整えた。 |
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