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PV EXPO[春]〜第19回[国際]太陽光発電展(春)〜 (2025年2月19日〜21日)


PV EXPO[春] ペロブスカイト太陽電池で新たなトピックスが

2月19日〜22日、東京ビッグサイトで開かれた「PV EXPO[春]〜第19回[国際]太陽光発電展(春)〜」。有機系太陽電池では有機薄膜太陽電池や色素増感太陽電池のデモはなかったため、ペロブスカイト太陽電池関連のトピックスをピックアップする。



写真2 PETフィルム基板製ペロブスカイト太陽電池

写真1 発電カーテンウォール
 ペロブスカイト太陽電池デバイスに関しては昨年に続き、台湾のTaiwan Perovskite Solar Corp(TSPC)とTaiwan Perovskite Research and Industry Associationが唯一サンプルデバイスを披露した。

 展示したのはA4サイズを4枚組み合わせた発電カーテンウィール(写真1)とA4サイズのPETフィルム基板製フレキシブルデバイス(写真2)で、容易に想像できるように前者は発電と室内採光を両立。光電変換効率は約15%。他方、後者は積水化学工業とコラボレーションした成果で、光電変換効率は約11%。どちらもデバイス構造はFTO電極上にポーラスTiO2とペロブスカイト層を設けたMeso-porous型で、ペロブスカイト層はウェットコート法で成膜した。すでに台湾国内にA4サイズ換算で5000万枚/年の第1期製造ラインを稼働。小型パネルは一部量産段階に入っているという。

 ユニークだったのはペロブスカイト太陽電池の新たなアプリケーション例で、写真3のようにマイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ(E-Inkディスプレイ)をドライブ。さらに、写真4のように透過型ペロブスカイト太陽電池を用いた農作物栽培ユニット(営農型太陽光発電温室)を公開。実際にじゃがいも、トマト、イチゴを栽培したことをアピールしていた。


写真4 ペロブスカイト太陽電池を用いた農作物栽培ユニット(営農型太陽光発電温室)

写真3 ペロブスカイト太陽電池で駆動する電子ペーパー
 そのほか、ペロブスカイト太陽電池ではパネル展示のみだったが、倉元製作所がフィルム型ペロブスカイト太陽電池デバイス市場に進出することを表明。FPD分野で培った成膜・研磨技術を流用するとみられるが、パネル展示のみのためディテールはまったく示さず、そのポテンシャルは不透明といわざるを得なかった。ちなみに、同社のホームページでは「装置メーカー・材料メーカーとのタイアップにより、材料成膜、材料塗布、パターニング、封止の生産技術を確立。2030年までに1GW/年の量産体制を目指す」と記載されている。

太陽電池の高効率化・高寿命化に効果的なコーティング剤が

 マテリアル関連では、中央自動車工業が提案した無機防汚コーティング剤「エクセルピュア」が最大のトピックスだった。このコーティング剤をスポンジなどに浸み込ませて基材表面に塗布し自然乾燥すると、大きな付加価値が生まれる。


写真5 帯電性の比較デモ
 まずは帯電防止効果で、エクセルピュア膜が大気中の水分を補足することによって静電気を逃がす働きを果たす。この結果、写真5のように塗布面(中央の四角部分)には帯電ビーズがほとんど付着しない。このため、埃りなどの異物が付着しないようになる。

 二つ目は基材表面が親水性に改質すること。写真6はその比較デモで、写真ではわかりづらいが、水の接触角は初期の70度から4度程度に低下。優れた自助清浄効果が得られる。

 そして、三つ目は外光反射が低減し光透過性が向上すること。エクセルピュアのコートによって基材表面に針状の微細凹凸ができるためで、この結果、屈折率が連続的に変化することで反射が低減し、透過率が2%以上向上する。いうまでもなく、これはとくに太陽電池に有効で、ペロブスカイト太陽電池では光電変換効率が1%程度向上するとのこと。これは、無機防汚コーティング剤をコートするだけという簡易作業を考えると、きわめて付加価値が高いといえる。


写真6 親水性の比較デモ
 さらに、エクセルピュアは1度コートすれば10年近く性能を保持するというラージメリットも。基材もガラス、アルミ、樹脂など幅広くコーティング可能。気になる標準価格も2万円/Lと決して高価ではない。このため、太陽電池では前記の光電変換効率向上を考えるときわめてコスト&クオリティパフォーマンスが高いプロダクトといえる。ちなに、すでにエアコンや監視カメラなどで使用されているが、太陽電池分野ではまだこれから提案する段階だという。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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