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SEMICON Japan 2024(2024年12月11日〜13日)


SEMICON Japan 2024 高密着めっきプロセスやIJプロセスで新たなプロポーザルが

12月11〜13日、東京ビッグサイトで開かれた「SEMICON JAPAN 2024」。今回はデバイス製造用マテリアルで新たなプロポーザルが相次いだ。独断と偏見でWhat's Newをピックアップする。

独自のポリピロール塗料でガラス基板への高い密着性を確保

 事前にプレス発表していたこともあり、大きな注目を集めたのがアキレスのガラス基板向け高密着めっきプロセス。各種プラスチックフィルムに比べ導電膜の接着性が乏しいガラス基板向けプロセスで、新たなポリピロール塗料を開発。この塗料をまず前処理レスで基板上にダイレクト塗布。続いて、Pd系の市販触媒を含侵させると、ポリピロール膜が触媒粒子を吸着する形で触媒を基板の最上部に保持。この後、CuやNiなどのメタル膜を市販のめっき液によって無電解めっきする仕組み。最大の懸案だった密着性はピール強度で0.5N/oを達成。この値なら十分実用レバイスに使用できるという。


写真1 エッチング法でパターニングしたサンプル
 このポリピロール塗料を用いたプロセスは汎用性が高いのも特徴。前記のように、無電解めっき法ではあらかじめポロピロール膜をスクリーン印刷法などでパターニングしておけば、パターン部分にめっき膜が自己整合的に付着するためセルフパターニングが可能となる。

 また、ポリピロール膜塗布〜触媒吸着〜無電解めっきの後、酸などでウェットエッチングすれば、コンベンショナルなウェットエッチング法でパターン形成できる。写真1はCu導電膜をウェットエッチングしたサンプルで、ファインパターンが容易に得られることがわかる。

 さらに、あらかじめ感光剤をドープした感光性ポリピロール塗料も開発中で、この場合、感光性ポリピロール塗料塗布〜露光〜現像〜触媒吸着〜無電解めっきといったフォトリソ法が実現。線幅3〜5μmとよりファインパターニングが可能になる。なお、当面の用途は回路基板・インターポーザーや透明導電膜などを想定している。

微細化しても厚膜化が可能でIJインクが登場


写真2 独自のIJ法でダムパターンを印刷したサンプル
 一方、積水化学工業は"3Dデザイン可能な極微細インクジェット"と題したインクジェット(IJ)プリンティング法を提案した。ここでいう3Dとは、微細パターンが描画でき、さらに膜厚が厚くできるという意味で、例えば線幅75μmならば、液滴を重ねショットすることで240〜300μmという厚膜がダイレクト印刷できる。実際、インクの粘度は100〜1000dPa・sと通常インクに比べ一桁高い。もちろん、それでも安定的に連続吐出できるIJノズルをIJ装置メーカーと共同開発。マスプロダクションにも適用可能な信頼性も確保済み。

 当面のターゲットはパターン化が要求される接着膜や絶縁膜で、ブースでは写真2のような透明絶縁樹脂をダム上にパターニングした異形状サンプルを展示。将来的にはもっともマーケットボリュームが大きい導電膜用途にもチャレンジする考えだ。

ミクロ技術研究所はマスクレス露光装置を導入し直描パターニング事業にも進出

 パターニング専業メーカーでは、ミクロ技術研究所が大日本科研のマスクレス露光装置「MX-Series(400×400mm基板対応)」を導入することを表明。2025年4月からこのマスクレス露光装置でダイレクト描画したパターニング事業にも進出することを明らかにした。

 既存のフォトマスク使用プロセスに比べ短納期はもちろんのこと、パターンの微細化・高精度化に対応するのが目的で、既存の方法では困難なL&S=3μmのファインパターンも形成できる。ただ、DLP(Digital Light Processing)方式を用いた分割露光になるため、400×400mm基板で処理速度は10分以上かかかるようだ。このため、ハイエンドパターニング用として従来のマスク使用パターニングと棲み分ける方針。

独自の反射低減フィルムで実物ライクの絵画ディスプレイを


写真3 絵画ディスプレイ
 ディスプレイ用フィルム関連では、ダイセルが独自の反射低減フィルムを貼った"絵画ディスプレイ"を公開。ディスプレイモニター上に表示したデジタル絵画なのに、絵の具の質感まで伝わってくる圧倒的なクオリティを誇示した。フィルムの表面をマイクロレンズ加工することによって入射する外光を乱反射させる仕組みで、外光の映り込みがなく、反射もほぼゼロなのには衝撃さえ受けた。ノウハウのためかフィルムの詳細は明らかにしなかったが、このクオリティなら自動車などの既存の反射用途に加え、こうしたアート用途にも十分使用できるように感じられた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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