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第57回応用物理学関係連合講演会(3月17〜20日) |
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3月17〜20日、東海大学で開かれた「2010年春季第57回応用物理学関係連合講演会」。無機TFTはCGS TFTやμC-Si TFTで新たな報告が相次いだが、有機デバイス関連では総じてWhat's NEWは少なかったように感じた。トピックスをレポートする。 ICP CVDでボトムゲート型μC-Si TFTを
冒頭のように、無機TFTでは次世代の大型高精細液晶テレビや有機ELディスプレイ向けとしてμC-Si(マイクロクリスタルシリコン)TFTや高性能Poly-Si TFTに関する発表が目についた。 ソニーはいわゆる4K2Kの液晶テレビや有機ELD向けを想定しボトムゲート構造のμC-Si TFTを発表。従来から同社はトップゲート構造のμC-Si TFTを学会発表しているが、今回はa-Si TFT技術・設備がそのまま流用できるボトムゲートデバイスを試作した。 最大の特徴はICP(Inductively Coupled Plasma)CVD法によってμC-Si膜をダイレクト成膜したこと。コンベンショナルな平行平板型プラズマCVD法でμC-Si膜をダイレクト成膜すると、グレインが逆コーン状に成長するため比較的高いモビリティが得られたが、ボトムゲート/ボトムコンタクト構造ではその成長メカニズムから結晶化率は70%に過ぎず、モビリティもa-Si TFT並みにとどまっていた。そこで、ICP-CVDを用いることにした。原料ガスにはSiH4:H2(2:3)を使用。周波数13.56MHz、圧力0.67Pa、RFパワー密度36mW/cm3、基板温度300℃で成膜した。その結晶化率は膜厚10nmで73.6%、40nmで75.1%だった。 チャネル長20μm、チャネル幅25μmの4インチデバイスを試作したところ、モビリティは9.4cm2V・secと従来のトップゲート型並みの値が得られた。これは、下地であるSiNxゲート絶縁膜との界面にa-Siが少ないためと考えられる。また、Vg=30Vを1000秒印加し/た後のVthシフトはわずか0.4Vに過ぎず、有機ELDにも適用できることが確認できた。ただ、まだOFF電流が多いため、さらなる改善が必要としている。 保護膜をパターニングしCGSでチャネル全面をカバー
一方、シャープは独自のCGS(Cotinuous Grain Silicon)TFTをさらに進化させた位置制御CGS TFTを報告した。 ここでいう位置制御とは文字通り結晶化領域を制御することで、グレインによってチャネルをフルカバーしグレインバウンダリーの影響をなくす狙いがある。具体的には、ガラス基板上にまずa-Siプリカーサ膜を膜厚45nmでプラズマCVD成膜した後、SiO2膜を成膜しフォトリソでパターニングして保護層を形成。つまり、SiO2膜がない部分にCGSを設ける。この後、Ni触媒を成膜し580℃×1時間アニールする。この結果、Ni粒子がa-Siの多結晶化を促進。さらに、エキシマレーザーアニール処理することによって結晶化をいっそう促進するとともにグレインサイズを整える。これにより、SiO2開口部だけがCGSへ変化する。 その平均粒径は50μmクラスで、衝突粒界のない連続的な結晶構造が確認された。これは低温Poly-Siのグレインサイズが0.3μm程度、通常のCGSが7〜8μmであることを考えると驚異的といえる。また、モビリティも300cm2/V・sec以上と高い値が得られた。 さらに、基板面内の32か所のVthバラつきを測定したところ、低温Poly-Si TFT、CGS TFTともチャネル長が短くなるとVthバラつきが大きくなった。これに対し、位置制御CGS TFTは図2のようにバラつきが小さく、チャネル長依存性が小さかった。これは、チャネル領域に衝突粒界がないためと考えられる。 a-Siパターニング後にMILCで結晶化 九州大学は、CGSの別名ともいえるMILC(Metal Induced Lataral Crystallization:金属誘起横方向結晶化法)-TFTについて報告した。a-Siプリカーサ膜をNi触媒とアニールによってPoly-Si化するスキームはCGSと同じだが、あらかじめa-Si膜をパターニングした後でPoly-Si化した点が従来と異なる。
シリコン基板上にチャネル長2μm、5μm、10μmのデバイスを作製したところ、5μmと10μmではSi結晶間のグレインバウンダリーが発生したが、2μmではチャネル上をシングルグレインで埋めるグレインフィルタリング効果が発現した。 リファレンスであるPoly-Si化後パターニングデバイスと特性を比較したところ、図3のようにパターン化MILC-Si TFTの方がON電流が高く、サブスレッショルド領域において鋭い立ち上がりを示した。また、図4のようにパターン化MILC-Si TFTの方が高い移動度が得られた。通常のMILC-Si TFTは、MILC結晶を形成した後にパターニングを行うため、チャネル内に異なる結晶方位を持った複数の結晶が存在する可能性が高くなる。一方、パターン化MILC-SiではNi供給部から成長した結晶のみが活性層内に存在し、さらにグレインフィルタリング効果によって一つの結晶が優先的に成長するため、チャネル部分で結晶の連続性が保たれる。このため、TFT特性が向上したと推測される。 IGZO-TFTに残された課題を改善
学会・展示会レベルでは、ポストa-Si TFTとして完全にオーソライズされてきたアモルファスIGZO(In-Ga-Zn-O)TFTでは、実用化への最後の課題としてVthシフトとフォトレスポンス性を改善しようというプロポーザルが目立った。 前者では富士フイルムがバックチャネル安定性を改善するためにIGZO活性層の上部にGaO層を設けることを提案。上部に設ける保護膜の種類によってVthシフト量が大きく異なるためで、@IGZO膜と連続成膜できる、A活性層との良好な界面が形成できる、という二つの理由からGaOを選択した。 熱酸化SiO2膜付きシリコンウェハー上にIGZO膜(膜厚50nm)とGa2O3膜(10nm)を室温でRFマグネトロンスパッタリング成膜した後、Al膜をマスクスルー蒸着してソース/ドレインを形成。最後に、180℃で1時間アニール処理してデバイスを試作した。 そのキャリアモビリティはGa2O3層レスデバイスが5cm2/V・s、Ga2O3層ありデバイスが12.9cm2/V・sだった。また、3μAの定電流を14時間印加して定電流ストレス試験を行ったところ、レスデバイスはVthが初期値から2.27Vプラス方向へシフトした。これに対し、Ga2O3デバイスのVthシフト量はわずか0.03Vだった。 水素プラズマ処理+水蒸気熱処理でヒステリシスを抑制
東京農工大学と大日本印刷の研究グループもIGZO-TFTのVthシフトと特性バラつき低減のため、独自のプロポーザルを発表した。水素プラズマ処理と水蒸気熱処理を組み合わせたアプローチで、とくにヒステリシスが低減できるという。 ガラス基板上にAlゲート電極、SiOxゲート絶縁膜(膜厚300nm)、IGZO活性層(20nm)、Tiソース/ドレイン、SiOxキャップレイヤーを形成した後、300℃×1時間アニールして試作デバイスを作製した。その後、250℃、ガス圧20Pa、パワー100WでRF水素プラズマ処理を120秒行った。さらに、圧力1atmで350℃×3時間水蒸気アニール処理して酸化処理した。水素プラズマ処理は還元によってO2を欠損させてキャリア濃度を高めるためで、この結果、導電性が図6-Aのように32S/cmと劇的に上昇した。 リファレンスのためこれらの処理を行わなかったデバイスを評価したところ、図6の@のように作製直後からヒステリシスがみられたのに対し、これらの処理を行ったデバイスはBのようにヒステリシスがみられなかった。これは、電荷帯電サイトが減少したためである。さらに、DC電圧15Vを1000秒印加したDCストレス試験後もCのようにヒステリシスはわずか0.1V以下に過ぎなかった。 Ga濃度を高くするとフォトレスポンス性が低下
他方、フォトレスポンス性に関しては富士フイルムがGa濃度を高めると光照射による特性変動が抑制できることを示した。周知のように、IGZOは460nm以下の短波長光に対しレスポンス性があり、これによってOFF電流が増加する。つまり、ON/OFF電流レシオが低下する。このため、バックライト光が当たるLCDや青色EL発光が発生する有機ELDに適用するにはこの問題を解決する必要がある。 そこで、Ga濃度をふることでフォトレスポンス性がどのように変化するのかを調べた。試作したのはゲート電極付きシリコン基板/熱酸化SiO2ゲート絶縁膜/IGZO活性層/ITOソース・ドレインデバイス。IGZO膜はInGaZnO4、Ga2O3、ZnOそれぞれのターゲットを用いて室温でIn2-xGaxO3(ZnO)m膜(0.9≦x≦1.5, m=1,2)を3元スパッタ成膜した。 この結果、低Ga濃度(m=1, x=0.9)では波長460nm以下のXeモノクロ光を照射するとOFF電流が増加し、モビリティ、Vthとも低下した。一方、高Ga濃度(m=1, x=1.3,1.5)では420nmのモノクロ光を照射してもOFF電流、Vth、モビリティとも変化せず、380nm以下の短波長でVthシフトが大きくなった。また、LCDや有機ELDのアクティブ素子として問題になる460〜500nm領域では濃度1.3%だとVthシフトはわずか0.3V以下と低減できた。これは、Ga濃度を高めると光学バンドギャップが大きくなるためと考えられる。 S/D上にMoO3バッファ層を設けてコンタクト抵抗を低減 有機トランジスタについては目ぼしい発表がほとんどなく、総じて議論も停滞していたように感じた。そんななか、NHK放送技術研究所は塗布型電荷注入層を用いたボトムコンタクト型高分子有機TFTを発表した。ソース/ドレイン電極上にMoO3電荷注入層を設けて活性層とのコンタクト抵抗を低減する狙いで、電極以外はウェットプロセスを適用。MoO3を用いたのはイオン化ポテンシャルが5.5eVと、ソース/ドレインに用いるAuの4.6eVに近く、活性層とのキャリア注入障壁が低減できるためである。
プロセスフローは、まずガラス基板上にAl膜をマスクスルー蒸着してゲート電極を形成。続いて、テフロン溶液をスピンコートしてゲート絶縁膜を成膜する。この後、Au膜を蒸着しフォトリソ&ウェットエッチングでパターニングしソース/ドレインを形成する。次に、濃度0.03%のMoO3水溶液を塗布し120℃×30分焼成する。焼成後の膜厚は5nmである。この際、テフロン膜の撥水性によってMoO3膜はソース/ドレイン上に自己整合的に付着する。最後に、有機半導体ポリマーであるPB16TTT(図8)をドロップキャストして活性層を形成する。試作デバイスのチャネル長は8μm、チャネル幅は500μmである。 デバイス特性を評価したところ、コンタクト抵抗はMoO3レスデバイスの330kΩ・cmから55kΩ・cmと1/6に低減。キャリアモビリティも0.02cm2/V・sから0.1cm2/V・sに増加した。また、ON電流も増加しON/0FF電流レシオも高くなった。 さらに、Vg=−20V、Vd=−5Vを印加してストレス試験を行ったところ、Vthシフトは1万秒後で0.1Vに過ぎず、10万時間後でもON電流は3%しか低下しなかった。上記の結果は、コンタクト抵抗の低減によってテフロンゲート絶縁膜表面のトラップサイトが減少ししたためと考えられる。 3.6型e-LCDを試作 LCDでは昨年末の「IDW'09」に続き、島根大学、エプソンイメージングデバイス、ライツラインが独自の自発光LCD(e-LCD)で存在感を示した。
e-LCDは近紫外LED(ピーク波長408nm付近)とRGB蛍光体を用いたカラーフィルターレスの自発光LCDで、発光効率、視野角特性に優れるのが特徴。詳細はIDW'09レポートに記してあるため割愛するが、What's NEWは3.6型a-Si TFT-LCDを試作したことで、RGB蛍光体層をそれぞれスクリーン印刷法でダイレクトパターニングした。最大の特徴はやはり視野角依存性が小さいことで、図10のように正面に対して±70度方向でも70%以上という輝度が得られた。 ZnO系を有機ELDの透明電極に 有機EL関連では、豊田中央研究所がZnO系透明電極を用いた際のデバイス特性を報告した。いうまでもなく、レアメタルであるInをレス化してポストITOの可能性を探るためであり、まずRFスパッタリング法によって膜厚200nmのAZO(ZnO-Al2O3)、GZO(ZnO-Ga2O3)、ITO(In2O3-SnO2)を成膜し膜特性を評価した。その結果、比抵抗はAZO、GZOともITOに比べ劣るものの、可視光透過率、表面平滑性はITOと遜色ないことが確認できた。
このため、Alカソード(膜厚100nm)/LiFバッファ層(0.5nm)/Alq3発光層兼電子輸送層(60nm)/α-NPDホール輸送層(60nm)/透明アノード素子を作製し、輝度1000cd/m2で定電流駆動させて特性を評価した。その結果、初期特性はAZO素子がもっとも低かった。これは、リーク電流が多く非発光領域が大きいためと考えられる。一方、GZOデバイスは高電流密度領域において駆動電圧が上昇した。また、輝度半減寿命はITOデバイスが50時間、AZOデバイスが45時間、GZOデバイスが32時間だった。 写真2は上部にα-NPD膜を蒸着した直後とアニール(70℃×1h)後のAFM像で、AZOデバイスは蒸着直後では小さな孔が多く観察された。これがリーク電流の増大をもたらしたと考えられる。一方、GZO膜はアニールすると網目状に凝集したモフォロジーに変化した。α-NPD層との密着力が低いためとみられ、これが寿命が短くなった原因と推測される。 筆者の私見では、上記の結果はあくまでも成膜装置やプロセス条件、さらに下地の表面状態によっても変化すると考えており、普遍的な傾向ではないように映ったが、ZnO系透明電極を用いた有機ELデバイスの特性報告はこれまであまりなく、そうした点で価値ある発表に感じた。 市販のプリンターで有機EL発光層を形成 テクノロジー的には目新しくなかったものの、ユニークさで群を抜いていたのが日本大学の発表で、一般的なコンシューマー用プリンターを用いて有機薄膜を成膜することに成功した。
実験では、市販のキヤノン製バブルジェットプリンター「ip2600」を使用。ノズル数は147個で、液滴サイズは4pLである。主要溶媒にグリセリン、発光ホストにPVK、発光ドーパントにTPD、希釈溶媒に純水を使用。グリセリンにPVKを加え10分間超音波洗浄した後、200℃で加熱しながら60分攪拌。この後、純水とTPDを加えて20分間攪拌し、発光インクを作製した。グリセリンを5mL、PVKを5mg、TPDを5mgに固定し、純水を5mLと20mLにして低粘度インクと高粘度インクを用意。A4用紙に10×10oサイズのITO膜付きPETフィルムを貼り付け、ip2600で印刷した後、100℃×30分間乾燥させた。 写真3-(a)は未処理フィルム上に高粘度インクを塗布した際の顕微鏡写真で、径20μm程度のドットをほぼ配列形成することができた。(b)はUVオゾン処理によって親水処理したフィルムの顕微鏡写真で、親水化によって液滴が基板上で広がり、塗布形状も大きくバラついた。(c)は未処理フィルム上に低粘度インクを塗布した際の顕微鏡写真で、低粘度インクを用いながらもドット状のパターンが得られた。(d)はUVオゾン処理フィルム上に低粘度インクを塗布した様子で、基板上に着弾した液滴は予想通り大きく広がり、その塗布領域は3×3o程度に達した。 これらの結果はサブストレートの表面張力とインクのレオロジーを考えると至極当然だが、これらをコントロールすることによって市販のプリンターでも小ドットの配列パターンからラージサイズのベタパターンまで容易に得られることが確認できた。いうまでもなく、前者はドットマトリクスディスプレイ、後者は面光源に適しており、PL(フォトルミネセンス)ながら青色発光させることに成功。安価なプリンターで容易に有機ELデバイスが作製できるメドがついたといえる。 溶液レーザーアブレーションでナノコロイド化しウェットプロセスを適用可能に 和歌山大学の研究グループもウェットプロセスで有機ELデバイスを作製することを狙い、一風変わったアプローチを紹介した。難溶な低分子有機材料を溶液レーザーアブレーション法によってナノコロイド化するというアプローチだが、筆者の私見ではgood proposalにはみえなかった。 溶液レーザーアブレーション法は、溶液中に分散させた固体にしきい値以上のパルスレーザーを照射して径数十nmのナノ粒子を作製する方法で、本来沈殿するはずの粒子がナノコロイドとして均一に分散する。このプロセスが成立するには、@しきい値以上のパルスレーザーを照射する(CWレーザーでは不可)、Aレーザー波長を結晶が効率よく吸収する、Bレーザーのパルス幅が<200fsと狭い、という三つの条件を満たす必要がある。今回の研究には、難溶な低分子有機材料をナノコロイド化して各種ウェットプロセスで有機ELデバイスを作製するという狙いがある。 実験では、波長520nmと430nmのナノ秒パルスレーザーを使用。ルブレン、ブリリアントピンク、キナクリドンキノンをナノコロイド化した。まずルブレンだが、エチレン溶解液に比べコロイド溶液は発光スペクトルが大きく変化した。これは、レーザー照射によって分子構造が一部崩れて“テトラセンライク”になったためと考えられる。 次にトライしたブリリアントピンクではジクロロベンゼン溶解溶液に比べ若干だが発光スペクトルが変化した。また、その塗布膜を評価したところ、平均粒径267nmの均一なグレインが得られた。これは、コロイドとして均一に分散したことを意味する。 もっとも良好な結果が得られたのが黄色発光するキナクリドンキノンで、ジクロロベンゼン溶解溶液と発光スペクトルはほぼ同じだった。その塗布膜も平均粒径330nmで、均一なグレイン膜が得られた。 上記の異なる結果は分子構造に由来する。つまり、剛直性の高い分子はレーザーアブレーションに対しても安定で均一にナノ粒子化するのに対し、剛直性の低い分子はレーザーアブレーションによって分子構造まで崩れるためと考えられる。今後、研究グループでは汎用溶媒を用いてナノコロイド化した発光ドーパントを発光ホストとともに溶液化して有機ELデバイスを作製したいとしている。 上記が発表内容だが、筆者の独断と偏見では“溶液レーザーアブレーションを活かすための発表”に感じた。本来溶媒に溶解する材料を研究対象にしているにも関わらず、溶液レーザーアブレーションによってナノコロイド化するアプローチは汎用溶媒が使えるというメリットを考慮しても面倒なように感じる。さらに、有機薄膜単膜としてみれば粒径が比較的整った多結晶膜は見栄えがいいものの、有機ELの1レイヤーと考えると寿命的には多結晶は不利で、むしろアモルファスが好ましいことを考えると、とても筋のいい研究には思えなかった。 円筒型色素増感太陽電池で入射光角度依存性を低減
太陽電池関連では、九州工業大学と新日鐵化学の研究グループがユニークな色素増感太陽電池を報告した。研究グループはこれまでも前面基板上の透明電極をレス化し、メタルメッシュ浮遊電極にナノサイズTiO2とRu色素を把持するというオリジナルテクノロジーを開発。今回は円筒形色素増感太陽電池で新たな用途を開拓する姿勢を示した。 構造は図123の通りで、径6oのガラスチューブ内にTiO2とRu色素を把持したステンレスメッシュ浮遊電極、PTFE多孔質フィルム、PtコートTi棒という順で入れ、最後に電解液を注入する仕組み。 コンベンショナルな平面状デバイスに比べ封止が容易なほか、太陽光の入射角度依存性が小さいのが特徴。これは、通常のダイレクト入射光に加え、散乱光や反射光も吸収し発電に寄与するためである。ちなみに、試作デバイスの変換効率は2.7%となっている。 参考文献 |
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