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FPD/PCB NEWS〜5月15日
 

東大と産総研 金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の長谷川瑠偉大学院生(産総研 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリリサーチアシスタント兼務)、同研究科の伊藤剛仁准教授、寺嶋和夫教授(産総研 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ特定フェロー兼務)らによる研究チームは、窒化ホウ素フィラーと環動高分子のポリロタキサンを複合化し、金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発した。

 水中プラズマ技術で表面改質したフィラーを高分子溶液に分散し、電界強度を従来の50倍に高めたパルス交流電界をシート厚み方向に印加してフィラーの配向度を高めたシートを成形。これにより、ゴムのように柔らかく、シート厚み方向の熱伝導率が金属並みに高い絶縁体のゴムシートを実現した。フレキシブルデバイスをはじめ各種の電子デバイス用の熱層間材などへの応用が期待される。

FPD/PCB NEWS〜5月14日
 

シャープ ディスプレイプロダクト堺工場でのTFT-LCD生産を停止

 シャープは、子会社である堺ディスプレイプロダクト(SDP社)が運営する堺工場でTFT-LCDパネルの生産を停止すると発表した。

 パネル市況の低迷が想定外に長期化して業績・財務状況が悪化し、パネル生産を安定的に継続していくのが難しくなってきたため。今後、取引先と協議し、2024年度上期中にパネルの生産を停止する予定。また、SDP社は保有する大型TFT-LCDパネルに関する技術資産等の供与や、建屋等を活用したビジネス等へ事業転換を進めていく。

FPD/PCB NEWS〜5月10日
 

東北大、都立大、東大 電気を流し室温強磁性を示す希土類酸化物を発見

 東北大学大学院理学研究科の福村知昭教授ら、東京都立大学大学院理学研究科の岡大地准教授、東北大学大学院工学研究科・材料科学高等研究所(WPIAIMR)・国際集積エレクトロニクス研究開発センター・先端スピントロニクス研究開発センター、東京大学理学系研究科からなる研究グループは、酸化ガドリニウム(GdO)の薄膜合成の際にCaOを薄膜成長の下地に用いると高純度のGdO薄膜が得られ、電気伝導性が向上し、キュリー温度も303K(30℃)まで上昇させることに成功した。

 GdOは起電力が生じる異常ホール効果を示すため、磁化シグナルを電気的に検出することができるスピントロニクス用の材料として期待される。

FPD/PCB NEWS〜5月8日
 

大日本印刷とDNP America 米国のディスプレイ学会「SID Display Week 2024」に出展

 大日本印刷(DNP)とグループ会社のDNP Americaは、5月12〜17日に米国のSan Jose Convention Centerで開催される世界最大級のディスプレイ学会「SID Display Week 2024」に出展する。

 同学会への出展は10回目で、独自に培った微細加工、精密コーティング、超微エッチングなどの技術を活用した各種製品を紹介。とくに、ARグラスやVRヘッドセットに関連する製品を中心に展示する。

FPD/PCB NEWS〜5月2日
 

東北大と東工大 ナノスケールで電気分極の反転を観察できる顕微鏡手法を開発

 東北大学電気通信研究所の平永良臣准教授および未来科学技術共同研究センターの長康雄特任教授らの研究グループは東京工業大学物質理工学院材料系の舟窪浩教授らの研究グループとの共同研究で、強誘電体の分極反転挙動をナノスケールの空間分解能で、かつ従来法の1/300の短時間で高精細な画像を観察可能な顕微鏡手法を開発した。

 これにより、例えば分極疲労現象(多数回の分極反転にともない材料特性が劣化する現象)などデバイスの信頼性確保を阻害する現象に対する理解が進み、それらの知見に基づいた材料特性の改善が期待される。

FPD/PCB NEWS〜4月30日
 

富士フイルム ナノインプリントレジストを発売

 富士フイルムは、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズがナノインプリントリソグラフィ向けとしてナノインプリントレジストを発売すると発表した。

 発売するナノインプリントレジストは、マスクに刻み込まれた複雑な回路パターンに均一に素早く充填でき、ナノメートルレベルの回路パターンを忠実に短時間で転写・形成。さらに、UV照射により硬化後、マスクを高速で剥がしてもレジストに転写された回路パターンに欠損を生じさせない優れた離型性を実現。これにより、ナノインプリントリソグラフィの課題だったスループット向上と低欠陥による歩留まり改善が可能になる。

 また、ウェハー表面に無駄なく最適な液滴量をインクジェット方式で塗布できる処方設計を実現。スピンコート法に比べレジスト使用量を約1/100に削減できる。

FPD/PCB NEWS〜4月25日
 

芝浦工大 ペロブスカイト型化合物に導入が困難なルビジウム金属イオンを取り込む方法を開発

 芝浦工業大学工学部先進国際課程・山本文子教授らの研究チームは、ファインセラミックスセンター、東北大学、学習院大学、東京大学との共同研究で多種多様な物性を示すことから「機能の宝庫」と言われるペロブスカイト型化合物に通常では導入が困難なルビジウムという大きな金属イオンを取り込む方法を開発した。これにより、理論的には高い性能が予想されているにもかかわらず合成が困難だったニオブ酸ルビジウムの逐次相転移を明らかにし、新しい誘電体や圧電体の設計指針を立てることが可能となる。

 強誘電体チタン酸バリウムと同型のペロブスカイト型ニオブ酸ルビジウムを高圧法により合成し、300〜400℃で高誘電率が見込まれる強い歪み構造であることを解明した。この結果、高圧合成とマテリアルズ・インフォマティクスの協同が材料探索に有効としている。

FPD/PCB NEWS〜4月24日
 

三菱商事とデンカ フラーレン事業で合弁契約を締結

 三菱商事とデンカは、炭素の先端素材であるフラーレン事業に関し合弁契約を締結したと発表した。契約に基づき、デンカはフラーレンを製造販売するフロンティアカーボン(FCC社)の株式50%を三菱商事より取得し、同社を共同で運営する。

 フラーレンは炭素原子がサッカーボール状の構造を持つnmレベルの分子で、優れた電気特性や熱安定性を備え有機溶媒に溶けるため、有機薄膜太陽電池やペロブスカイト太陽電池の材料、また各種センサーの材料としても有望視されている。

FPD/PCB NEWS〜4月19日
 

カネカ 生分解性バイオポリマー製発泡成形品がソニーの大型テレビ用緩衝材に採用

 カネカは、生分解性バイオポリマー「Green Planet」を使用したGreen Planet発泡成形品がソニーの大型テレビ用緩衝材に採用されたと発表した。今夏から発売される85型テレビに使用される。

 ソニーの包装設計の技術知見とカネカの材料成型技術を用い、Green Planet製の発泡成形品を緩衝材に用いることを実現した。家電製品の緩衝材にGreen Planet発泡成形品を用いる事例は世界で初めて。

FPD/PCB NEWS〜4月16日
 

カネカと大成建設 太陽光発電システムの合弁会社「G.G.Energy」を設立

 カネカと大成建設は、2019年に両社で共同開発した建物の外壁や窓と一体化させた太陽電池モジュールで発電する外装発電システム「Green Multi Solar」を販売する共同事業会社「G.G.Energy(株)」を設立し、4月より本格営業を開始すると発表した。

 両社は合弁会社を通じ「Green Multi Solar」の販路拡大、普及・促進を図る。今後、新築・リニューアル物件の創エネルギー技術として、環境意識の高い企業や官公庁施設などに対し同製品を積極的に提案する。

FPD/PCB NEWS〜4月15日
 

東レエンジニアリングとアドバンテスト Micro LED分野で戦略的パートナーシップを締結

 アドバンテストと東レエンジニアリングは、Mini/Micro LEDディスプレイの製造分野でパートナーシップを締結したと発表した。

 両社の検査・転写・実装技術やデータ解析技術・製造に関連する技術をディスプレイメーカーに提供し、Mini/Micro LEDディスプレイの効率的な生産技術確立および市場拡大を共同で推進する。

FPD/PCB NEWS〜4月11日
 

理研、筑波大、東大、慶大 異次元ナノ半導体界面に潜む量子光源を発見

 理化学研究所(理研)開拓研究本部加藤ナノ量子フォトニクス研究室の方楠基礎科学特別研究員(現客員研究員)、加藤雄一郎主任研究員(光量子工学研究センター量子オプトエレクトロニクス研究チームチームリーダー)、筑波大学数理物質系ナノ構造物性研究室の岡田晋教授、東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻の長汐晃輔教授、慶應義塾大学理工学部物理学科の藤井瞬助教らの共同研究グループは、1次元と2次元という異なる次元性を持つナノ半導体の界面において室温で動作する量子光源が存在することを発見した。

 共同研究グループは、1次元半導体であるカーボンナノチューブと2次元半導体であるセレン化タングステンを用い、これらのナノ物質の構造を原子レベルで明らかにしたうえで異次元ヘテロ構造を作製。バンドエンジニアリングの概念に基づいて電子と正孔が分かれやすいヘテロ構造を特定し発光特性を調べたところ、室温で明るい量子発光を示す界面励起子が存在することを発見。異次元ヘテロ構造の界面励起子が量子光源として振る舞うことは想定外で、室温で動作する通信波長帯の単一光子源として量子技術への応用に道を開く可能性がある。

FPD/PCB NEWS〜4月9日
 

信越化学 国内4番目の半導体露光材料拠点を建設

 信越化学工業は、群馬県伊勢崎市に国内で四番目となる半導体露光材料工場を建設すると発表した。

 約15万uの用地を取得し、半導体露光材料の製造・開発拠点を建設する。第1期は2026年までの完工予定で、投資金額は第1期で用地取得費を含め約830億円の見込み。

FPD/PCB NEWS〜4月3日
 

Sony Device Technology(Thailand) タイの半導体製造事業所の新棟を稼働

 Sony Device Technology(Thailand)(SDT)は、タイで建設していた半導体製造事業所・新棟「4号棟」の稼働を開始した。

 車載用イメージセンサー、ディスプレイデバイス、データセンター向け半導体レーザーなどを生産。今後、約2,000人の雇用創出を見込んでおり、市場動向に応じて4号棟内への生産設備を拡充し生産能力を拡大する。

FPD/PCB NEWS〜4月2日
 

セイコーエプソン Rapidusの最先端半導体の研究開発機能を千歳事業所へ設置に向け協議


▲エプソン千歳事業所
 セイコーエプソンは、Rapidusの半導体後工程に関する一部の研究開発機能を千歳事業所(北海道千歳市)に設置することで協議していると発表した。

 Rapidusが取り組む「2nm世代半導体のチップレットパッケージ設計・製造技術開発」のテーマに関するパイロット段階の研究開発にあたり、千歳事業所の一部スペースの貸与や施用に向けて協議。5月上旬までの契約締結を目指す。

 千歳事業所は、Rapidusが千歳市美々に建設中の半導体製造拠点IIM(Innovative Integration for Manufacturing)に隣接。エプソンにとってプロジェクターの基幹部品である小型高温poly-TFTパネルを生産する重要な製造拠点で、その位置づけに変更はないという。