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FPD/PCB NEWS〜8月28日
 

東レエンジニアリング 極薄チップを高スループットで実装する技術を開発


 NEDOの助成事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において東レエンジニアリングは、先端半導体や次世代光集積回路の量産に向け極薄チップを業界最高スループットで実装する技術を開発した。

 マイクロLEDをディスプレイ基板に実装する際などに使用されるレーザー転写技術を応用したもので、先端半導体に使用される厚み20μm以下の半導体チップや次世代光集積回路に使用される厚み1μm以下の化合物チップを、量産時に求められる精度を保ちながら従来比10倍以上の効率で生産できる。

FPD/PCB NEWS〜8月22日
 

東京応化工業 韓国子会社が平澤工場を新設

 東京応化工業は、連結子会社のTOK尖端材料(韓国:TOKAM)が韓国京畿道平澤市の工場用地に平澤工場を建設すると発表した。投資額は約120億円。

 新工場は建築面積約6,300m2で、第1期として高純度化学薬品の製造棟を新設する。稼働開始は2027年下期の予定。

FPD/PCB NEWS〜8月21日
 

リコー 東京体育館にペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯を設置し実証事業

 リコーとリコージャパンは、東京都とペロブスカイト太陽電池の実証事業を開始すると発表した。

 東京体育館にこの太陽電池を搭載した庭園灯を35本設置した。実証期間は2025年12月までの約4か月の予定。なお、実証期間終了後も継続して設置する予定で、この場合、ペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯の日本初の実装事例となる。

FPD/PCB NEWS〜8月20日
 

熊本大と名大 ビスマスフェライトにおける新たな結晶相を発見

 熊本大学半導体・デジタル研究教育機構の佐藤幸生教授の研究グループは、名古屋大学未来材料・システム研究所/国際高等研究機構の永沼博特任教授と共同で、ビスマスフェライト(BiFeO3)の薄膜中に従来知られてなかった新しい結晶相が存在していることを発見した。

 アルミニウム酸ランタン(LaAlO3)基板上に成膜したBiFeO3について原子分解能での走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察。とくに、結晶相を精密に判別するため、STEM像の歪み補正を行って原子間の距離を高精度で測定した。その結果、従来知られてなかった√2×√2の周期を持つ新しい結晶相が発見した。

FPD/PCB NEWS〜8月14日
 

千歳科学技術大、京大、量研 単一スズ欠陥中心を内包する極微ナノダイヤモンドを開発

 千歳科学技術大学の高島秀聡准教授、京都大学大学院工学研究科の嶋崎幸之介特定研究員、竹内繁樹教授らの研究グループは、量子科学技術研究開発機構と共同で、Snイオンをナノダイヤモンドに注入し熱処理を施すことでノイズとなる背景光子の発生がほとんどない単一SnV中心を内包するナノダイヤモンドを開発した。

 得られた成果は、ナノダイヤモンドと超微細構造光素子によるハイブリッド単一光子源や量子中継器などの実現への道を拓くもので、光子を用いた量子コンピュータや長距離量子暗号通信、さらには量子センシングなどの研究の発展に貢献すると期待される。

FPD/PCB NEWS〜8月8日
 

東京理科大学、住友電工、東京大学 スパッタ法を用いて高品質なScAlN薄膜を作製

 東京理科大学先進工学部マテリアル創成工学科の小林篤准教授、太田隼輔氏(2024年度 学士卒業)らの研究グループは、スパッタリング法を用いて窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)薄膜を高品質で作製することに成功した。小型で高性能な次世代トランジスタの開発に寄与すると期待される。

 AlGaN/AlN/GaN/SiC基板上にScAlN膜をスパッタ法で成長させ、250〜750℃の成長温度が膜質と電気特性に与える影響を調べた。表面分析の結果、成長温度の上昇とともに表面が平滑化し、750℃で最も平坦かつ高品質な膜が得られた。結晶構造解析では、ScAlN薄膜が全温度範囲で基板の格子定数と整合して成長し、温度が高くなるほどc軸の格子定数が減少することが明らかになった。

 また、電気特性評価では750℃で成長させた薄膜構造のシートキャリア密度が約3倍に増加。その一方、電子移動度は低下し、界面付近の負電荷が原因であることがシミュレーション解析により示唆された。

FPD/PCB NEWS〜8月5日
 

東北大 凍結溶媒内のナノ材料の元素分布を直接可視化

 東北大学多元物質科学研究所の海原大輔技術職員(同大学事業支援機構総合技術部分析・評価・観測群)、佐藤庸平准教授、浜口祐准教授、米倉功治教授(理化学研究所放射光科学研究センターグループディレクター兼任)らの共同研究チームは、クライオ電子顕微鏡を用いて凍結した溶媒内に存在するナノ材料の元素分布を高精度で可視化して分析する技術を開発した。

 これにより、溶液中での材料の構造と状態に加え、構成元素に関する情報が得られ、ナノ環境で構築される生命科学・材料科学研究の発展が期待される。

FPD/PCB NEWS〜8月4日
 

DIC 千葉工場に半導体用エポキシ樹脂プラントを新設

 DICは、半導体向けとして千葉工場(千葉県市原市)にエポキシ樹脂プラントを新設すると発表した。投資計画が経済安全保障推進法に基づく「供給確保計画」として経済産業省から認定されたことを踏まえたもので、最大助成額30億円の支援を受ける予定。

 新設により半導体用エポキシ樹脂の生産能力を約59%増強する。供給開始は2029年7月を予定している。

FPD/PCB NEWS〜8月1日
 

シャープ アオイ電子と三重事業所第2工場・一部土地の売買契約を締結

 シャープは、アオイ電子と三重事業所第2工場および一部土地の売買契約を締結したと発表した。

 売却対象の第2工場(建物)は延床面積約54,000m2。一方、第1工場および第2工場の敷地は約58,000m2。今後、子会社であり中小型ディスプレイ事業を担うシャープディスプレイテクノロジーを通じて、売却した工場におけるアオイ電子の生産ラインの早期立ち上げに協力していく。

FPD/PCB NEWS〜7月31日
 

東京大学とNIMS 金属ナノクラスターを精密集積しイメージング

 東京大学大学院理学系研究科の佃達哉教授と物質・材料研究機構の原野幸治主幹研究員らによる研究グループは、金属ナノクラスターを自在に集積化し、その集積構造を高角環状暗視野走査型透過電子顕微鏡によって可視化することに成功した。

 あらかじめ連結部位がプログラムされたイリジウム(Ir)と金(Au)からなるIrAu12ナノクラスターを多座の架橋配位子と反応させることで、二量体、直鎖型三量体、直鎖型多量体、または三角型三量体に自己組織的に集積。溶液中で作製した集積体を構造を保持したまま炭素薄膜上に分散させる手法を開発することで、透過電子顕微鏡によって集積構造を可視化し、ナノクラスターが架橋配位子の構造によって規定された相対配置をとることを実証した。

FPD/PCB NEWS〜7月29日
 

太陽誘電 群馬県内製造業・異業種共創プロジェクトに参画

 太陽誘電は、「群馬県内製造業・異業種共創プロジェクト」に参画したと発表した。

 プロジェクトは、2025年7月24日のキックオフセミナーから2026年3月まで県内製造業4社の次世代リーダー層が他社混成チームとして活動する8カ月間のプログラム。キックオフセミナーでのDE&I(Diversity、Equality、Inclusion)をテーマにした講演と各社経営陣によるパネルディスカッションを起点に、2回目以降の女性活躍推進と働き方改革に向けたセミナーや工場見学などを通じて、各社の課題解決に向けた提案をまとめ、アクションにつなげる。

FPD/PCB NEWS〜7月24日
 

日本電気硝子 化学強化専用超薄板ガラスがXiaomiの「Xiaomi MIX Flip 2」に採用


 日本電気硝子は、化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG」がXiaomiの新型折り畳みスマートフォン「Xiaomi MIX Flip 2」に採用されたと発表した。

 Dinorex UTGはXiaomi MIX Flip 2の本体内側のメインディスプレイに採用。20万回の開閉後でも折り曲げ痕が残りにくい。ちなみに、Dinorex UTGはMotoloraの折り畳みスマートフォンにも採用されている。

FPD/PCB NEWS〜7月23日
 

早大と名大 液体ガリウム上に自然形成される酸化ガリウム層を用いてHEO超薄膜を合成

 早稲田大学理工学術院の菅原義之教授、名古屋大学大学院工学研究科の山内悠輔卓越教授らの研究グループは、液体ガリウムの上に自然形成される酸化ガリウム層を用いてハイエントロピー酸化物(HEO)超薄膜を合成することに成功した。

 液体ガリウム上の酸化ガリウム層が多くの金属イオンと強い親和性を持つことを利用し、5種類の金属イオンを表面に取り込んだ後、HEO超薄膜へ変換した。変換時にはガリウムから酸化ガリウムが生成し、この時、HEO超薄膜に導入される歪みにより酸素発生反応の自由エネルギー障壁を低下させることがわかった。HEO超薄膜が持つ大きな表面積と多くの活性サイトも反応効率の向上に寄与。結果として、酸化ガリウム上のHEO超薄膜は非貴金属電極触媒として優れた触媒活性を示した。

FPD/PCB NEWS〜7月22日
 

日本曹達 九大に隣接するインキュベーション施設「いとLab+」に研究拠点を開設

 日本曹達は、研究技術戦略「Brilliance through Chemistry 2030」に基づく新規事業創出の一環として、九州大学に隣接するインキュベーション施設「いとLab+(いと・らぼ・ぷらす)」に新たな研究拠点を開設したと発表した。

 同社は、研究技術戦略「Brilliance through Chemistry 2030」において先端材料分野を新規事業のターゲットドメインの一つに設定。今回の研究拠点では、有機半導体分野における材料開発、とくに有機ELホスト材料や有機薄膜太陽電池の電荷移動層などに注力し、成長市場における新たな事業機会の創出を目指す。

FPD/PCB NEWS〜7月15日
 

富士フイルム 有機フッ素化合物PFASを使わないネガ型ArF液浸レジストを開発

 富士フイルムは、先端半導体の製造プロセスに用いられる環境配慮型材料として環境や生態系への影響が懸念される有機フッ素化合物PFASを一切使わないネガ型ArF液浸レジストを開発したと発表した。

 開発したPFASフリーのArF液浸レジストはネガ型のArF液浸露光向けのフォトレジスト。先端半導体の国際研究機関であるimecとともに性能を評価した結果、車載や産業用半導体をはじめ幅広く使われる28nm世代の金属配線を高い歩留まりで形成できることを実証した。今後、ユーザーでの評価を経て早期販売を目指す。

FPD/PCB NEWS〜7月14日
 

東北大、東京理科大 Cuナノ粒子触媒の原子レベルでの電荷状態を制御

 東京理科大学研究推進機構総合研究院の西原寛嘱託教授、伊藤実祐氏(2024年度修士課程修了)、福居直哉プロジェクト研究員、高田健司プロジェクト研究員、前田啓明嘱託講師らの研究グループは、単一相内におけるベンゼンヘキサチオール(BHT)と金属イオン 東北大学多元物質科学研究所の根岸雄一教授、川脇徳久准教授、Sourav Biswas助教、同大学院理学研究科の神山真帆大学院生、東京理科大学大学院理学研究科修士課程の新行内大和大学院生(研究当時)、尾上雅季氏、米国ヴァンダービルト大学のDe-en Jiang教授らの共同研究グループは、粒径約1nmの極微細なCuナノクラスター(NC)「Cu23NC」を精密合成することに成功した。

 このナノクラスターは、これまで触媒構造を不安定化させると考えられていた0価のCuを含みながらも、独自の構造設計によって高い安定性を確保。CO2還元反応で優れた触媒性能を発揮することが確認された。

FPD/PCB NEWS〜7月10日
 

東京理科大 ヘテロ金属配位ナノシートのインク化技術を確立

 東京理科大学研究推進機構総合研究院の西原寛嘱託教授、伊藤実祐氏(2024年度修士課程修了)、福居直哉プロジェクト研究員、高田健司プロジェクト研究員、前田啓明嘱託講師らの研究グループは、単一相内におけるベンゼンヘキサチオール(BHT)と金属イオンのモル比を制御することにより配位ナノシートの構造を制御し、さらにそれらをインク化することに成功した。印刷技術による配位ナノシートの大量生産や基板への直接塗布が可能となり、次世代のフレキシブル電子デバイス、水素製造触媒、センサー材料など幅広い用途への活用が期待される。

 配位ナノシートとは、金属イオンと平面有機分子の配位結合によって形成される二次元高分子。分子設計の自由度が高く、電子的・化学的に特異な性質を有することから、幅広い用途への展開が期待される。

 今回、単一相内におけるBHTと金属イオンのモル比を制御することにより、多孔性構造のNiDT(=Ni3BHT2)および非多孔性構造のNiBHT(=Ni3BHT)のコロイド溶液の選択的合成に成功。これらのコロイド溶液を電極上に被覆したところ、いずれも実際に水素発生反応に用いる電極触媒として機能し、NiDTの方がNiBHTよりも高い触媒活性を示した。

FPD/PCB NEWS〜7月9日
 

東京理科大と高輝度光科学研究センター 高品質単結晶によりIGZOの本質的な電子状態を解明


 東京理科大学先進工学部物理工学科の芝田悟朗助教(研究当時、現日本原子力研究開発機構)、齋藤智彦教授、宮川宣明教授、高輝度光科学研究センター分光・イメージング推進室光電子分光計測チームの保井晃主幹研究員らの共同研究グループは、硬X線光電子分光法(HAXPES)によりInGaZnO4(IGZO)単結晶の電子状態を解析し、結晶中の酸素欠陥がIn原子の周囲に偏って存在していることを明らかにした。また、バンドギャップ内に形成されるサブギャップ状態が酸素欠陥に加え、単結晶やアモルファスなどの結晶性と深く関連していることを見出した。

 大型放射光施設SPring-8のBL09XU(一部BL47XU)におけるHAXPES測定によりAs-grown試料(作製したままの酸素欠陥がある結晶)とAnnealed試料(As-grown試料を酸素雰囲気下でアニールして酸素欠陥を埋めた結晶)の電子状態を評価した結果、As-grown試料内の酸素欠陥がIn原子周辺に優先的に形成されることを発見した。また、酸素アニール後もヒドロキシ基(−OH)による結合が存在していることを確認。伝導帯下端近傍のサブギャップ状態は、As-grown試料でのみ明確にみられた。

 一方、アモルファス試料で顕著に観測される価電子帯上端近傍のサブギャップ状態はAs-grown、Annealed試料ともほとんど観測されなかった。これらの結果から、価電子帯上端近傍のサブギャップ状態の形成には、結晶性の低下が重要な役割を果たしていることが示唆される。

FPD/PCB NEWS〜7月8日
 

積水化学 先端半導体製造における超純水用配管のPFASフリー化にめど

 積水化学工業は、先端半導体製造における超純水用配管材に有機フッ素化合物を含まないPFAS(通称ピ-ファス)フリー化技術の確立にめどが立ったため、顧客への提案を本格化すると発表した。

 PFASは自然界で分解されにくく、人体や生態系への影響が懸念されている有機フッ素化合物(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の総称。PFASのうち、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)およびPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の製造・輸入はすでに禁止されているが、フッ素樹脂材料の超純水用パイプ・継手に使用されているPVDF、PTFEなどは国内では規制対象外となっている。

 積水化学は、1984年に超純水を輸送する硬質塩化ビニル製配管資材「エスロンクリーンパイプ」を発売。PFASの観点でフッ素樹脂に替わる低溶出な新素材として特殊オレフィン樹脂配管材を開発し、2022年11月より栗田工業と共同で実際の超純水製造装置を用いた実証を進めてきた。この特殊オレフィン樹脂配管材は、従来のフッ素樹脂系配管材に比べ製造時のCO2排出量を約80%削減できる。

FPD/PCB NEWS〜7月7日
 

JX金属 CVD・ALD材料生産設備増強が完了

 JX金属は、東邦チタニウム茅ヶ崎工場敷地内のCVD・ALD材料生産設備増強が完了し、フル操業を開始したと発表した。

 さらに、茨城事業所(日立地区)でも生産設備導入を進めており、今後見込まれる一層の需要増大に対応する。

FPD/PCB NEWS〜7月5日
 

東大 陰イオンと酸性という相反する性質を同時に示す有機分子を開発

 東京大学大学院工学系研究科の野崎京子教授、岩崎孝紀准教授(研究当時、現九州大学大学院工学研究院教授、東京大学大学院工学系研究科客員研究員)、萬代遼大学院生の研究グループは、陰イオンでありながら強い酸性を示す分子を開発、これを遷移金属触媒と組み合わせることで多機能触媒を簡便に合成することに成功した。

 陰イオンは電子が余っている状態であり、塩基性(=電子を与える性質)を示す。一方で、電子を引き抜く性質をもつ酸性分子は本質的に陰イオンとは相容れない。

 今回の研究では、ホウ素原子に着目した分子設計により強い酸性を示す安定陰イオンを合成。この分子を正電荷をもつ遷移金属触媒の対アニオンに用いることで、対アニオンの酸性を生かした触媒システムを構築した。

FPD/PCB NEWS〜7月2日
 

早大 ナノ多孔体の結晶性を制御する合成方法を開発

 早稲田大学理工学術院の松野敬成講師らは、酸化鉄ナノ多孔体の結晶子サイズを制御する新しい合成方法を開発した。鋳型となる多孔体の内部で前駆体の塩化鉄を気相拡散させ、鋳型中で酸素と反応させることで結晶が成長し、単結晶性ナノ多孔体が得られることを見出した。

 酸化鉄の一種であるあるα-Fe2O3について細孔構造・結晶子サイズを制御し、従来の微結晶からなるナノ多孔体よりも触媒活性や熱安定性が高いことを確認した。