電子機器トータルソリューション展2024 デバイスの配線プロセスに関するトピックスが
6月12日〜14日、東京ビッグサイトで開かれた「電子機器トータルソリューション展2024」。今回はエレクトリックデバイスの配線電極に関するトピックスが目についた。おもなトピックスをレポートする。
パターニングメーカーの厚木ミクロがソアーのPM-OLEDを展示
写真2 3.4型パッシブマトリクス有機ELD |
写真1 透明パッシブマトリクス有機ELD |
まずディスプレイモジュール関連では、パターニングメーカーの厚木ミクロが東北パイオニアの子会社「ソアー」のパッシブマトリクス駆動有機ELディスプレイを展示した。厚木ミクロがITO透明アノードとメタル補助電極をパターニングした前面ガラス基板上に有機EL素子を形成したマルチカラーパネルで、ブースでは1.4型透明パネル(45セグメント)と3.4型マルチカラーパネル(256×64ドット)を公開。とくに前者は写真1のように透過率75%と背面が透けて見えるデモを敢行。有機ELDならではという応用可能性を示した。ちなみに、厚木ミクロが有機ELDモジュール自体を販売・製品化することはないという。
大気下で低温焼結するCu系配線材料が登場
FPCなどのフレキシブル基板向けでは、三井金属が大気下で低温焼結するCu系金属パウダーを紹介した。関西大学の川ア英也教授と共同開発したもので、Cuパウダーに独自の添加剤をドープ。各種基板にペーストを印刷後、200℃程度で焼成するとCuグレインをこの添加剤がコーティングする形となって膜になる仕組み。このため、膜化した後も酸化せず、比抵抗も10-5Ω・cmクラスと低い値が得られる。同社はこのCu系パウダーをペーストメーカーへ供給するスキームで、すでにサンプル出荷中だという。
ポリアニリン+Cuを3次元形状配線に
写真3 ポリアニリンを用いた3次元形状配線サンプル |
一方、山形大学は半球状に代表される3D形状構造物に適した3次元形状配線としてポリアニリン+Cuメッキ配線を提案した。プラスチックシートなどのサブストレートに溶剤可溶型ポリアニリンをスクリーン印刷し130〜140℃で焼成した後、サブストレートを3次元形状に熱成型。この後、市販のCuメッキ液を自己整合的にメッキ成膜して配線電極にする仕組み。
容易に想像できるように、ポリアニリンは延伸追随性に優れ断線する危険がなく、かつポリアニリン配線を固定してからCu膜を成膜するため、伸びても比抵抗は10-6Ω・cmクラスと初期状態のまま維持される。ただ、現状の印刷解像度はポリアニリンの印刷プロセスが最適化できていないこともあり、100μmクラスにとどまる。
メックがCu選択粗化エッチャントとCu選択エッチャントで存在感
同じく配線プロセス関連では、メックがCuのみを選択的にウェットエッチング処理できるCu選択粗化エッチャント「CZ-8500」とCu選択エッチャント「SF-5405」をアピールした。
図1 Cu選択粗化エッチングのイメージ
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前者は図1のようにCu膜だけを粗化処理する一方、Ni、Sn、Ag、Auなど他のメタルとは基本的に反応しないエッチャント。他方、後者は例えばCu/Al膜とNiが混在する場合、Cuシードのみをエッチングするのに有効。その根拠となる標準的なエッチングレート(25℃、スプレー方式)はCuが0.41μm/minなのに対し、Coが0.05μm/min、Moが0.02μm/min、Inが0.02μm/min、Agが0.01μm/min、Ni、Al、Ti、Ta、Nb、W、Bi、Au、ITO、Pt、Siが実質0μm/minとなっている。
レーザー直描装置でMini-LED用バックライトを作製
写真4 試作したMini-LED用バックライト |
製造装置では、SCREENグループがレーザー直接描画装置「LeVina/Lediaシリーズ」を大々的にデモ。What's newは厚膜レジスト対応装置「Ledia weiss」で太陽インキ製造のソルダーレジストを直接描画したMini-LED用バックライトで、ガラス基板上に塗布したソルダーレジスト膜をこの装置でレーザー直描して径数十μmのホールパターンを形成したサンプルを展示。このホールにLEDチップを実装してMini-LEDにする仕組み。ソルダーレジストは2層塗布するため、膜厚が55μmとかなり厚いが、1回のレーザー直描で露光できる。
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