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第38回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展- (2024年1月24〜26日)


第38回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-
スクリーン印刷をはじめ印刷関連でトピックスが

1月24〜26日、東京ビッグサイトで開かれた「第38回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-」。独断と偏見でおもなトピックスをピックアップする。


ナチュラル映像が表示可能な3DTFT-LCDが登場


写真1 psHolixのグラスレス3DTFT-LCDモニター
 まずディスプレイモジュールでは、岡谷鋼機がAUO(台湾)の高精細TFT-LCDや低消費電力の反射型TFT-LCDなどのディスプレイシステムを展示。なかでもユニークだったのが、psHolix(スイス)のグラスレス3DTFT-LCDモニターだった。詳細はノウハウのためか明らかにしなかったが、TFT-LCDモジュールの表面に特殊なフィルムを貼り付けることによってグラスレスで3D表示を実現。最大の特徴はほぼどの方向から見えも3D画像が認識できることで、3D表示でも違和感がほとんどないナチュラルイメージが得られる。ただ、製品化についてはまだ決まっておらず、日本では技術ライセンス供与なども検討されているという。

Cu-NiインクでCuの酸化を抑制

 マテリアル関連では、住友金属鉱山がCu-Ni粉末・インクを提案した。主成分であるCuにNiを添加したもので、各種サブストレートに塗布しN2雰囲気で焼成すると、CuとNiのナノ粒子が析出。とくにNiナノ粒子が上部に析出することによってCuの酸化防止膜として機能する。このため、ピュアCuでは避けられない酸化が大幅に抑制される。気になる比抵抗は数十μΩ・cmとピュアCuの10倍程度。もちろん、CuとNiの混合比率によってトレードオフの関係である比抵抗と耐酸化性を調整することができる。標準的な焼成温度は250℃で、薄膜から厚膜まで対応可能。つまり、低粘度のインクジェットプリンティング法から高粘度のスクリーン印刷法まで対応できる。

 ブースでは、スクリーン印刷法などで印刷したガラス基板サンプルとポリイミド基板サンプルを展示。各種基板にも対応できる密着性を有していることを示した。なお、この開発品は同社のほか、N.E.CHEMCAT、物質・材料研究機構、その関連ベンチャー企業「priways」が共同開発したもので、粉体、インク、塗布基板といったプロダクトは住友金属鉱山からリリースされることになる。

115℃で硬化する感光性閉環ポリイミドを中空封止に


写真2 8μmViaパターン写真


図1 感光性ポリイミド組成物PR-P1の分子構造

 一方、荒川化学工業はMEMSや半導体製造プロセス向けに感光性ポリイミド組成物「PR-P1」を提案した。

 図1のように閉環ポリイミドにUV反応性基を導入したもので、UV露光後、シクロペンタノンなどの有機溶剤によって現像することでパターニングできる。標準的な露光量は600mJ/m2で、ghi線で露光可能。最大の特徴は閉環済みのため、115℃程度と極めて低温で硬化すること。つまり、硬化工程では基本的に溶媒を揮発するだけである。もちろん膜化した後は通常のポリイミド由来の耐熱性、強靭性、低熱膨張性が得られる。前記のようにMEMSや半導体の中空封止用としてリコメンドしており、配布していた資料では8μm径のViaパターンを形成した顕微鏡写真を掲載。ファインパターニングも容易なことを強調していた。

スクリーンマスクもダイレクト描画


写真3 DLE Compactで描画したダイレクト製版
 スクリーンマスクからスクリーン印刷機、関連資材などを手掛けるセリアコーポレーションは、What's Newとしてダイレクト製版機「DLE(Digital Light Engraver) Compact」をアピールした。スイスのCST社が開発したダイレクト製版マシンで、DLP(Digital Light Prosessing)方式によってマスクレスで感光性乳剤をダイレクト描画する。つまり、PCBで一部量産採用されている直描装置だが、価格が4000〜5000万円とリーズナブルなのがセールスポイント。解像度はマックス5080dpiで、L&S=50/50μmクラスがパターニングできる。パターン精度はガラスマスクを用いた従来露光方式と同等で、スループットも10分前後に過ぎない。また、版枠サイズも1000×1000oクラスまで対応可能だ。容易に想像できるように、従来のマスク方式に比べ短納期&ローコストが特徴となっている。

 同社はこのDLE Compactでパターニングしたスクリーンマスク「ダイレクト製版」も販売。そのコストは従来マスク方式で製造したスクリーン製版に比べ10〜20%安く、将来、スクリーンマスクの主力製品になる可能性さえほのめかしていた。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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