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第33回ファインテックジャパン/第14回フィルムテックジャパン/第12回プラスチックジャパン/第10回メタルジャパン/第3回サスティナブルマテリアルジャパン(2023年10月4〜6日)


第33回ファインテックジャパン/第14回フィルムテックジャパン/第12回プラスチックジャパン/第10回メタルジャパン/第3回サスティナブルマテリアルジャパン
主役はサスティナブルマテリアルジャパンを中心にデバイス用マテリアルにシフト

10月4〜6日、幕張メッセで開かれた「第33回ファインテックジャパン(電子ディスプレイ産業展)/第14回フィルムテックジャパン(高機能フィルム展)/第12回プラスチックジャパン(高機能プラスチック展)/第10回メタルジャパン/第3回サスティナブルマテリアルジャパン」。今年は新型コロナ感染の影響もかなり少なくなり、平時と変わらないような活況に。エレクトロニクスデバイス向けマテリアルを中心におもなトピックスをレポートする。


 まず全体的な印象だが、いうまでもなく従来はファインテックジャパンが中心となりその周辺展示会を引き入れてきたが、近年はファインテックジャパンの存在感が年々低下。その一方で、プラスチックフィルム関連を中心とした周辺展示会が存在感を増し、主従交代が一層鮮明に。今回はとくにまだ3回目ながらサスティナブルマテリアルジャパンが一気にメインエキビシションに台頭してきた感が。さらに、凋落感が否めないファインテックジャパンもディスプレイモジュールの出展は台湾メーカーのみで、その展示品もいわゆる旧世代品に過ぎなかった。さらに、ディスプレイ用製造装置も検査関連装置を除き皆無に等しく、主役は完全にマテリアルになってきた印象が否めなかった。大きなお世話だが、そろそろ展示会の名称変更を考えた方がいいように感じた。

JX金属が高エッチファクタ電解銅箔をアピール


写真1 サブトラクトエッチング回路の外観比較(銅箔厚12μm、L/S=25/25μm)
 まずFPC用マテリアルでは、JX金属が高EF(エッチファクタ)電解銅箔をアピールした。ここでいうEFとはウェットエッチング後のCuパターンの側面の傾きを現し、EFが高いほど側面の傾きが高く、つまり垂直になる一方、EFが低いと台形状になる。EFが高いとFPCのインピーダンス制御がしやすく、Cu膜をめっきで積み増しする必要がなく、銅箔のみのサブトラエッチングでパターニングできるため、ローコスト化に有利とされる。もちろん、L&S=20/20μmクラスまでの微細化も容易である。写真1は従来銅箔との比較で、今回の開発品がより垂直形状にパターニングできることがわかる。

 銅箔厚は9〜70μmまで対応。もちろん、CuCl2などの既存のエッチャントで従来と同等のエッチング条件でエッチングできる。まだ開発途上で、今後、サンプル出荷を検討。2026年度頃の量産化を計画している。

水蒸気バリアフィルムで有機太陽電池を封止

 有機薄膜太陽電池やペロブスカイト太陽電池といった有機系太陽電池では、クラレがフレキシブルデバイスのサブストレート・ガスバリアフィルムとして工業用光学用水蒸気バリアフィルム「クラリスタCW」をアピールした。


写真2 クラリスタをガスバリアフィルムに用いた有機薄膜太陽電池モジュール
 PETフィルムを有機&無機ハイブリッド構造のバリアコート層でサンドイッチした3層フィルムで、上部の封止膜として使用する場合は熱圧着する。全光線透過率は膜厚25μmで91.4%、75μmで92.5μm。つまり、存在を感じさせないレベルの透明度を誇る。気になる水蒸気ガス透過性はWVTRで10-3g/m2/day以下。このレベルでもペロブスカイト太陽電池や有機薄膜太陽電池向けでは実用上問題ないガスバリア性が得られるようだ。

 写真2は公開した有機薄膜太陽電池サンプルで、ゴムシート上に有機薄膜太陽電池デバイスを作製し、最後にクラリストで固体封止した。容易に想像できるように、このサンプルは軽量で半リジッドのためカバンに最適だという。

鋼板+フィルムをフレキシブル有機ELのサブストレートに


写真3 ラミネート鋼板をサブストレートに用いたフレキシブル有機EL
 一方、JFEグループはフレキシブル有機ELデバイスのサブストレートとしてラミネート鋼板をピーアールした。鋼板とプラスチックフィルムの2層構造で、鋼板によりガスバリア性と絶縁性、フィルムにより高いフレキシブル性を確保した。標準的な厚さは0.2oで、いわゆるベンダブル用途なら問題ないほどのフレキシブル性を実現した。

 山形大学の硯研究室が試作した有機ELデバイスを60℃、90%RHという環境で評価したところ、点灯後500時間を経過してもダークスポットの発生などがなく、発光状態が変化しなかったという。容易に想像できるように、鋼板により水蒸気透過性は測定できないレベルで、ガスバリア性はパーフェクトにみえた。

極薄膜の金属酸化物膜を有機太陽電池の電子輸送層に


図1 従来法と電解法による電子輸送層成膜イメージとSEM写真

 さらに、JFEグループは有機系太陽電池の電子輸送材料として金属酸化物膜をめっき成膜することを提案した。例えばM(OH)xプリカーサを電解めっき成膜し80℃で熱処理することによって膜厚数十nmのMOx金属酸化膜にする仕組み。従来のナノ粒子塗工法に比べ低温で処理できるほか、図1のように緻密な膜が得られるのが特徴。実際、試作した有機薄膜太陽電池サンプルは太陽光・室内光とも発電効率が20%も向上。いうまでもなく、これは電子輸送層を変更するだけというsmall deviseを考えると画期的な成果といえる。

 ブースでは写真4のようにロール状のフィルムを展示。Roll to Rollプロセスにも対応できることを示した。ちなみに、気になる事業化形態は同社がデバイスメーカーに技術ラインセスを供与する方向だ。

デクセリアルズがレーザー転写法によるLEDチップ実装向けとしてACFをPR


写真5 緑色単色発光MICRO-LED

写真4 電子輸送層塗工成膜済み透明導電フィルム
 MICRO-LED向けでは、デクセリアルズがレーザー転写法によるLEDチップ実装パターニング向けとしてACF(異方性導電フィルム)をアピールした。サファイア基板上に作製したLEDを基板上のドット部分にレーザー照射によってピンポイント転写するプロセス向けで、プロセスではこのACFを基板全面にラミネートした後、レーザー転写によってRGBのLEDチップを転写実装する。

 今回、信越化学工業が試作した緑色単色発光MICRO-LEDは20×40μmのドットをピッチ400μmで2500個集積した。ACFは厚さ10μmと16μmを使用。写真5のように、緑色が全面発光していることが確認できた。なお、このACFはすでにサンプル出荷段階にあるという。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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