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第37回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展- (2023年1月25〜27日) |
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1月25〜27日、東京ビッグサイトで開かれた「第37回ネプコンジャパン-エレクトロニクス開発・実装展-」。エレクトロニクス関連では、とくに3D構造物などフレキシブルデバイス向けで新たな印刷プロセスの提案が相次いだ。独断と偏見でおもなトピックスをピックアップする。 東レがマイクロLED向けにRGB-LEDチップ実装パターニング法をアピール
そのRGB-LEDチップ実装パターニング方法は、図1のように完成したLED基板とリリース材を貼り合わせた後、LEDチップのベースであるサファイア基板を剥離。続いて、パラレル配置したレーザービーム(波長355nm)をスキャンさせながらポイント照射してそれぞれのLEDチップをキャッチプレートに転写。この工程をRGB毎に繰り返して整列パターニングした後、ディスプレイ基板に転写する仕組み。もちろん、このレーザーリフトオフ工程でのダスト・残差の発生はない。ピック&プレース方式という物理的なオールドメソッドに比べ生産性が180倍にアップ。量産でも実用的なタクトタイムが得られる。 ブースでは20×30μmのG-LEDチップを4500個アレイ配置した小型緑色サンプルを披露。LEDならではという高輝度発光をピーアールしていた。
局面構造物向けに新たな転写プロセスが可能になるPET/PVA2層フィルムが 今回、製造プロセス関連でもっともインパクトが高かったように感じたのがアイセロのPET/PVA2層フィルム「SOシート」。PVA(Polyvinyl Alcohol)が水溶性であることを効果的に利用することにより、新たな転写パターニングプロセスを実現した。具体的には、まずこのSOシートのPVA上にフォトエッチング法や各種印刷法といった既存のパターニング法で配線材料などを塗布・パターニングする。続いて、PETフィルムを剥離した後、接着層を介して本基板にSOシートを接着。この結果、パターンが本基板上に転写される。最後に、水洗することによりPVAフィルムを剥離する。最終的なパターン解像度と加工精度は基本的に最初のパターニング結果に左右され、再現性の高い転写パターニングが可能となる。
Cuナノインクをフレキソ印刷しXeランプアニールしてバルクに近い低抵抗膜に 印刷プロセス関連でも新たな材料や製造装置の提案が目についた。まずは石原ケミカルで、従来から提案している導電性Cuナノインクを大々的にアピールした。このCuナノインクはXeフラッシュランプ焼成によって超高速で高導電性ナノCu膜が得られるのが特徴で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、インクジェット(IJ)印刷法と各種印刷法に対応するインクをラインアップ。今回はとくに実用化が近いとされるフレキソ印刷向けインク「F-03B」をメインにピーアールした。
LED乾燥+光焼成でCu印刷プロセスをさらに高速化 一方、スクリーン印刷機メーカーのマイクロ・テックは提携先の日本化学工業が開発した光焼結用亜酸化銅ペースト「キュアライト」を紹介。さらに、乾燥工程向けイクイップメントを新たに開発したことをアピールした。
今回はさらなるプロセス短縮のため、LEDランプを用いた乾燥装置「META-FLASH」を共同開発。ライン状のLEDをスキャンさせてわずか10秒で乾燥できる装置で、従来の熱風循環乾燥装置を圧倒的に凌駕するスループットを達成。もちろん、光焼成は1秒以下で、きわめてトータル生産性が高いことを実証した。 まったく新しい概念"電気印刷"で超高速印刷を 同じく印刷プロセス関連では、奥野製薬工業がコラボレーション先の電気印刷研究所が独自開発した"電気印刷"という新たな概念を発表した。そのフローは、@CADで回路を設計し、レーザー加工によって印刷版を作製する、Aサブストレートであるプラスチックフィルムに印刷版を重ね、電圧を印加し静電気によって"電気"を印刷する、B独自開発したトナーによって印刷回路を現像する、といった仕組み。この結果、インビシブルな印刷回路が完成する。この後は一般的なめっき成膜プロセスで、触媒を自己整合的に印刷パターンに吸着させた後、Cuを無電解めっき成膜してCuパターンを形成する。
奥野製薬工業のブースでは、写真5のように凸面フィルム、凹面フィルムに形成した3D配線サンプルを展示。その3D対応優位性を実証していた。 自己修復する樹脂が大きなポテンシャルが マテリアル関連では、レジナス化成の自己修復性樹脂「SH-001」が注目の的に。その名の通り傷を自己修復するビスフェノールA型エポキシ樹脂で、100℃×30分焼成でバルク液体が硬化して樹脂化する。そして、Tg(ガラス転移温度)である120℃に加熱すると、ボイドなどの欠陥が自己修復する。さらに150℃まで昇温すると今度は熱可塑性を示し、200℃に昇温すると元の液体状態に戻る。いわゆる可逆性による状態変化で、独自の可逆性ユニットで架橋構造を制御することにより状態変化を生み出す。 ブースでは固形樹脂をラミネーターで加熱して自己修復するデモを敢行。気になる用途は白紙だが、現段階では染料、自動車の内装構造物、スマートフォンのカバーなどをイメージしているという。 構造色フィルムで新たな用途を 三菱ケミカルが展示した構造色フィルムもユニークだった。モルフォ蝶、蛾、玉虫に見られる、その表面構造によって発色するバイオストラクチャーを模したフィルムで、微細な構造と空気の間に発生する光の干渉、散乱といった相互作用のみで色を生み出す。その微細構造自体に色はなく、構造が選択的に反射した光の波長による色が人間の目に認識される。
その用途はフィルムセンサーや加飾などを想定。写真7は自動車の内装への使用をイメージしたプラスチックサンプルで、こちらはプラスチック成形品にこのバルク塗布材料を塗布することで構造色を実現。つまり、曲面形状構造物にも構造色を付与することができる。今後、IJ印刷法によってパターニングにもトライする考えで、構造色によるファインパターニングという新たな付加価値が期待できそうだ。 ハイケムがペロブスカイト太陽電池のホール輸送材料Spiro-MeOTADをPR ペロブスカイト太陽電池向けでは、ハイケムがホール輸送材料としてSpiro-MeOTADを紹介した。可溶性ジアミン誘導体であるSpiro-MeOTAD自体はペロブスカイト太陽電池のホール輸送材として一般的で目新しさはなかったが、純度99.5%以上を保証。パウダーだけでなく、ニーズがあれば溶媒に溶解させた液状でも出荷可能だという。 |
REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |
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