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イノベーションジャパン2022 (2022年10月4〜31日)


イノベーション・ジャパン2022〜大学見本市&ビジネスマッチング〜
有機ELで新たなデバイスや安価な塗布型バリア技術の発表が

10月4日、Online開催による「イノベーション・ジャパン2022〜大学見本市Online」がスタートした。特設ホームページ(https://innovationjapan-jst-nedo.jst.go.jp/)で出展者のデモンストレーション10月31日まで公開される。Online形式なのであくまでも発表内容をコピーしたに過ぎないが、有機EL関連のトピックスをレポートする。


有機ナノ結晶を用いて塗布型有機ELを低電圧駆動&長寿命化

 まず装置・デバイスカテゴリーでは、奈良先端科学技術大学院大学 水野斎助教授の研究グループが「高品質水分散有機ナノ結晶を用いた塗布型有機ELディスプレイ」を発表した。

図1 有機ナノ結晶を用いた塗布型有機EL素子のイメージ
 このデバイスでは、図1のように有機発光材料として(チオフェン/フェニレン)コオリゴマー(TPCO)を使用。このTPCO有機ナノ結晶を用いると、0次元状態密度の形成により低電圧駆動で高温耐久性の高い発光デバイスが得られる。容易に想像できるように、ナノ結晶の量子効果によりグレインサイズによって発光色が変化するため、これを制御することによってRGBフルカラー表示を実現する。

 また、独自開発したナノ結晶作製法は水系であり添加剤が不要なため、従来の塗布型製造法に比べ有機溶媒使用量を大幅に削減でき、製造時の処理コストを劇的に削減できる。さらに、ナノ結晶同士の凝集や添加剤の結晶への混入が発生せず、孤立分散した水系安定分散液が得られる。

 この有機ナノ結晶を用いたフルカラー透明ディスプレイや透明照明は周囲の環境に溶け込み、オープンな空間を演出するとしている。

目標は塗布型ガスバリア膜をIJ法で局所封止

 一方、JST(科学技術振興機構)事業展示のカテゴリーでは山形大学の硯里(すずり)善幸教授の研究グループが「ウェットプロセスで作製可能なウルトラハイバリア技術」について発表。ウェットプロセスながらガラス並みのハイバリア構造が得られたことをアピールした。


写真1 ガスバリア膜で封止したフレキシブル有機EL
図2 塗布型ガスバリア膜のプロセスフロー
 溶解可能な前駆体であるPerhydropolysilazane(PHPS)をウェットコートし、室温、N2雰囲気において真空紫外光(VUV光:波長172nm)を照射することにより緻密なSiNx無機膜を得る仕組みで、その水蒸気透過性(WVTR)は10-4 g/m2/dayオーダーとウェットプロセスとしては世界最高のハイバリア性能を達成。また、製造プロセスとしてデジタルファブリケーション可能なインクジェットプリンティング(IJ)法を想定しており、DXに対応する「欲しい場所に欲しい性能のバリア」の達成を目指している。

 写真1はこのプロセスでガスバリア封止したフレキシブルパネル(200×50o)で、Ra=5oというフレキシブル性が得られた。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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