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CEATEC 2022 (2022年10月18〜21日)


CEATEC 2022 IGZO-TFT駆動電子ペーパーやフレキシブルペロブスカイト太陽電池が人気

10月18〜21日、幕張メッセで開催された「CEATEC 2022」。対面でのリアル開催は3年ぶりで、エレクトロニクスデバイス関連では電子ペーパーやペロブスカイト太陽電池に目を引いた。ちなみに、併設開催のONLINE(https://www.ceatec.com/ja/application/)は10月31日まで閲覧可能となっている。

IGZO-TFT駆動で電子ペーパーを動画ライクに

 まずディスプレイでは、シャープとE Ink Holdingsがマイクロカプセル型電気泳動電子ペーパー用IGZO(InGaZnO)バックプレーンで協業したことをアピール、プロトタイプとして8型300ppiのフルカラー高精細パネルを披露した。

 周知のように、E Inkはマイクロカプセル型電気泳動電子ペーパーのカラー化法として複数の着色カラートナーを用いるAceP(Advenced Color ePaer)方式を開発。Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、W(ホワイト)という4色の帯電トナーを用いるもので、マイクロカプセルに4色のトナーを充填。前面基板上の電極に電圧を印加してその対極に帯電しているトナーを引き寄せてその色を表示するというメカニズムは従来パネルと同じだが、印加電圧を制御することによって前面電極上への重なり具合いを制御して階調をコントロールする。つまり、トナーによってしきい値電圧が異なるよう帯電量を制御する。もちろん、白を表示する場合は従来通りWトナーを前面に、黒を表示する場合はYMC3色を前面に引き寄せる。


写真1 IGZO-TFT駆動電子ペーパー
 この結果、従来のマイクロカラーフィルター(CF)方式パネルの4096色表示に比べ、3万2768色(32階調)と表示色数が大幅に増加。さらに、反射光を吸収する黒色トナーを用いないため、輝度も2倍程度アップする。もちろん、マイクロCF方式のように空間分割方式ではないため、開口率、つまり実質的な光利用効率も向上する。ただ、その原理上、応答速度は犠牲になり、書き換えには15秒程度を要していた。

 そこで、a-Si TFT駆動からキャリアモビリティの高いIGZO-TFT駆動に変更。電圧を高速で印加できるようになった結果、モノクロ画像なら0.35秒、カラー画像なら0.5〜1.5秒で切り替えられるように。つまり、動画ライクな表示が超低消費電力の電子ペーパーで可能になった。気になる事業スタイルはシャープがIGZOバックプレーンをE Inkに供給するという。

京セラの空中ディスプレイが大人気

 ディスプレイシステムでは、京セラが独自開発した空中ディスプレイを公開。その臨場感の高さからプロトタイプの前には常に人だかりができていた。


写真2 空中ディスプレイ
 TFT-LCDパネルとオリジナルミラーを2枚使用して小型化したシステムで、文字通りモニターに表示した画像が浮かんでいるようにみえる。さらに、モーションセンサーの採用によって空中表示された画像を指でタッチ操作することができるのも特徴。今回は6型画像を表示したデモだったが、サイズ・解像度はシステム内に搭載したオリジナルTFT-LCDと基本的に同じなので、大型高精細化も可能だという。用途は医療分野、アミューズメント機器、展示ディスプレイ、自動車のダッシュボードなどを想定。2026年頃をめどに同社自らシステムをリリースする方向だ。

東芝がペロブスカイト太陽電池をブラッシュアップ

 フレキシブル太陽電池の本命とされるペロブスカイト太陽電池では、東芝がONLINE開催だった昨年に続き、フィルム型ペロブスカイト太陽電池をピーアールした。その光電変換効率は昨年の15.1%から16.6%とさらに向上。さらに、PETフィルム上に作製したデバイスサイズも703cm2と大型化した。ただ、製品化時期は2025年とまだしばらく先になる見通し。


図1 メニスカス塗布のイメージ

 最大のセールスポイントは、ペロブスカイト層を独自開発したメニスカス塗布技術によって成膜する点。塗布イメージは図1の通りで、インクの表面張力を利用して大面積基板にユニフォミティよく成膜することができる。従来はPbIインクを塗布・乾燥した後、MAIインクを塗布・乾燥する2段階プロセスでMAPbI3膜を成膜していたが、1段階プロセスを開発することに成功。詳細はシークレットだが、あらかじめ混合したMAPbI3インクを結晶成長を制御しながらメニスカス塗布する。この技術は塗布速度の高速化が可能で、5cm角のセルでは量産時に必要と想定されるスペックを満たす6m/分の塗布速度を達成。従来困難だった生産プロセスの高速化とエネルギー変換効率の向上が両立できるようになった。

シャープがペロブスカイト太陽電池を初公開

 一方、シャープは今回初めてペロブスカイト太陽電池を披露、フレキシブル太陽電池として製品化する姿勢を鮮明にした。


写真3 フレキシブルペロブスカイト太陽電池
 周知のように、同社は色素増感太陽電池デバイス市場に進出。このため、色素増感太陽電池から派生したMeso-porous(メソポーラス)型デバイスをペロブスカイト太陽電池構造として選択。透明アノード/電子輸送層/ポーラス電子輸送層+Pb系ペロブスカイト光吸収層/ホール輸送層/メタルカソードという構成で、ポーラス化したTiO2電子輸送層に食い込ませる形でペロブスカイト材料を吸着させる。これはペロブスカイト中の電子の移動距離低減が可能なためで、この結果、光電変換効率が向上するとされる。

 写真3のように、今回はPETフィルムサブストレートの30cm角フレキシブルモジュールを展示。ただ、まだ完成度がさほど高くないためか、光電変換効率は明らかにせず。注目されるリリース時期は2024〜2025年だという。

ミクロ技術研究所が厚さ自在の超薄型ガラス加工サンプルをアピール


写真4 超薄型ガラスサンプル
 マテリアル関連では目立ったエキジビションがほとんどなかったなか、パターニングメーカーのミクロ技術研究所が抜群の存在感をみせた。フラッグシップポイントは、スリミング加工、わかりやすくいうとフッ酸を用いたウェットエッチング加工によってガラスサブストレートの厚みを自在に設定できること。例えばその厚みは0.05〜0.2oで、最大730×920o基板が供給できる。もちろん、電極などをパターニングしたパターニング膜付き基板を供給する形で、ブースではTi/Cuシード層+セミアディティブCu電極をパターニングしたソーダライムガラスサンプル(200×200o)を披露。写真4のように、0.05o厚にすると容易にフレキシブル化することを実証した格好。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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