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技研公開2022(2022年5月26〜29日)


技研公開2022 アルカリ電子注入層をレス化したフレキシブル有機ELDの要素技術をPR
独自開発したロール収納型や曲率可変型ディスプレイも公開

5月26日〜30日、NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)で開催された「技研公開2022」。今回は3年ぶりのリアル展示会だが、online開催も併設。リアル展示会はあらかじめ予約する完全予約制で、開催日前にすべての日時がsold out。次世代のテレビ放送技術に関する関心の高さが再認識させられた。

写真1 巻き付け可能なフレキシブル有機EL

 ディスプレイ関係では、今年もフレキシブル有機ELディスプレイをピーアールした。要素技術では、日本触媒と共同開発した独自の電子注入層を用いた逆構造型デバイス「iOLED」を紹介。パネルはAlカソード/電子注入層/電子輸送層/EL発光層/ホール輸送層/ホール注入層/透明アノードという構成で、仕事関数を下げるために用いられるアルカリ電子注入層をレス化したのが特徴。具体的には、Alカソードの表面に有機強塩基を成膜し、さらにフェナントロリン誘導体を成膜して非アルカリ電子注入層を形成。水分の侵入によって非発光領域が発生し増殖する寿命問題を解消。さらに、仕事関数も2.4eV程度に低減し、カソードから発光層への電子注入をスムーズにした。ちなみに、電子注入層の仕事関数は電荷の移動量に応じてコントルールすることができる。

 これらの結果、H2OやO2を透過しやすいプラスチックフィルムをサブストレートに用いたフレキシブルパネルでも実用的な寿命特性を実現。最小厚さは0.07oで、写真1のように巻いたり曲げたりすることも容易で、カーテン、スクリーン、衣服や皮膚につけるなど多様なフレキシブルディスプレイが実現する。

写真3 51.3型曲率可変型ディスプレイ

写真2 8Kタイリングディスプレイ

 一方、試作パネルはロール収納型30型4Kディスプレイ、8Kタイリングディスプレイ、曲率可変型ディスプレイを公開。いずれもパネルの厚みはわずか0.5oで、ロール収納型は曲率半径2cmのためディスプレイ下部に設けたユニットに収納できる。8Kタイリングディスプレイは30型4Kパネルを4枚タイリングしたもので、背面に電気音響変換フィルムを貼り付けることにより実際に画面上から音が出るようにした。

 30型4Kフレキシブルパネルを横方向に3枚貼り合わせた51.3型曲率可変型ディスプレイは文字通り用途によって曲率度を変更できる"フレキシビリティ"が魅力で、例えばリビングルームでテレビ放送を見るときはフラットに、オンライン会議では3面に曲率化するなど、従来のディスプレイでは不可能な利用シーンが可能になる。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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