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SEMICON Japan 2021 (2021年12月15〜17日)


SEMICON Japan 2021 ストレッチャブル導電ペーストなどフレキシブルデバイス用マテリアルに新鮮味

12月15〜17日、東京ビッグサイトで開かれた「SEMICON Japan 2021」。with新型コロナ環境下で出展社は例年より少なかったが、いくつかのトピックスがみられた。独断と偏見でWhat's Newをピックアップする。


洗濯性に優れるストレッチャブル導電ペーストが登場


写真1 ストレッチャブル導電ペーストの印刷サンプル
 まずマテリアル関連では、東洋紡が高付加価値スポーツウェアですでに採用されているストレッチャブル導電性ペーストをアピールした。スクリーン印刷法でダイレクト印刷するAgペーストとカーボンペーストをラインアップ。前者は比抵抗1.0〜2.0×10-4Ω・cm。もちろん、伸長、伸縮、屈曲、捻転しても印刷配線は破断せず、電気特性もほとんど変化しない。具体的には、50%伸長しても比抵抗の上昇はわずか4%程度。さらに、スポーツウェアなどで求められる洗濯性も100回洗濯後の比抵抗は3%程度上昇するに過ぎないという。

IJ印刷+レーザートリミングで数十μmのファインパターンを

 一方、2016年設立と新興スタートアップ企業のエレファンテックはナノAgインクジェット印刷+Cu選択めっきで生産しているオリジナルFPC「P-Flex」を紹介。すでに少量ながら量産採用されていることを明らかにした。


写真2 IJ印刷+レーザーアブレーションでパターニングしたメタル配線
 What's NewはP-Flexのさらなる微細化に向けて開発した微細配線技術。上記のIJ印刷後に波長550nmのレーザーをダイレクト照射して印刷配線をさらに微細化、つまりトリミングした後、Cuをめっき成膜するプロセスで、従来法ではL&S=200μm/200μmだった印刷解像度をL&S=100μm/100μmにファイン化。さらに、まだ開発段階ながら、写真2のようにL&S=21μm/13μmにファイン化することにも成功した。ちなみに、このIJ印刷+レーザートリミングだとかなりのコストアップになると思われるが、それでもコンベンショナルなフォトエッチング法よりリーズナブルだという。

圧力勾配スパッタで結晶性の高い膜をローダメージ成膜

 製造装置関連では兵庫県の真空装置メーカー、ケニックスがWhat's Newとして圧力勾配スパッタリング装置を紹介した。基板〜ターゲット間のワークディスタンスを6インチ対応装置で従来の50oから150oに広げ、ターゲット近傍のみに高密度プラズマを生成する仕組みで、ターゲット近傍を10-2Paクラスと高真空状態にすることができる。このため、結晶性の高い膜が成膜できるだけでなく、基板や下層にもダメージの少ない成膜が容易になる。

 有力ターゲットはAlNやBiSbなどの窒化物や酸化物だが、有機系の下層膜が存在しているシーンにも有効。実際、この用途で酸化膜成膜時の基板温度を測定したところ95℃以下と、センシティブな有機デバイスにも適用可能なことが実証できた。ちなみに、成膜可能な材料はプレーナーターゲットがあればとくに制約はなく、ターゲット利用率も通常スパッタ装置と同じだという。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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