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電子機器トータルソリューション展2021 (2021年10月27〜29日) |
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10月27〜29日、東京ビッグサイトで開かれた「電子機器トータルソリューション展2021」。例年は6月の開催だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年は秋に開催が延期に。展示スペースも南ホール1-3と小さく、決して活況とはいえなかったのが実情。そんななか目立っていたのが、フレキシブルデバイス向けのソリューション。おもなトピックスをレポートする。 日本電気硝子の超薄板フレキシブルガラス向けの専用スクライブ刃先が登場 まずは山形大学で、日本電気硝子の超薄板フレキシブルガラス「G-Leaf」をサブストレートに用いた有機EL照明デバイスを披露。透明電極から有機層、カソードまでをすべてRoll-to-Roll方式で連続成膜したデバイスで、50μm厚のG-Leafを用いれば物理的強度・ガスバリア性の高いフレキシブル有機ELデバイスが容易に実現できることをピーアールした。
気になるスクライブ速度は100o/secと量産にも適用可能なスペックを確保。三星ダイヤモンド工業は専用装置「MUGP9010」とSOLID-Dを供給する。なお、MUGP9010はデバイスを枚葉方式で処理する装置だが、すでにRoll-to-Roll方式装置も開発済みだという。 ブースでは、従来の緑色小型デバイスに加え、写真1のような異形状デバイスも披露。今回のスクライブ技術を用いれば単なるカッティングだけでなく、異形加工も容易なことをアピールした。 長尺FPC向けのRoll-to-Roll方式レーザー直接描画装置が登場
写真2のように、ブースではワイヤーハーネスと長尺FPCを展示。まずは車載分野で前者をリプレースする長尺FPC向けとして提案していく考えだ。
製造プロセス技術では、産業技術総合研究所が9月にONLINE形式で開催された「第82回応用物理学会秋季学術講演会」での発表を踏襲する形で、ITO透明電極成膜時の応力を緩和することにより有機デバイスの特性低下を回避できることを発表した。 今回の研究では、上部ITO成膜時にITOの結晶化を阻害するガス(H2O)を10-4Pa程度チャンバに導入。その結果、ITOはアモルファス化し、それにつれてITO層内の応力が低減した。実際にITO上部透明電極を用いた透明有機EL素子(ITOアノード/NPBホール輸送層/Alq3発光層兼電子輸送層/LiF:MgAgバッファ層/ITO透明カソード)を作製したところ、ITO層内の応力が低減するにつれてデバイスの電流-電圧特性が改善した(図1)。 新たな透明プラスチックフィルムとしてエポキシフィルムが浮上 マテリアル関連では、三菱ケミカルが新たな透明プラスチックフィルムとして高分子/高屈曲性エポキシフィルムを展示した。エポキシだけに上層との密着性が高く、基本的に密着層レスでインクやペーストなどをダイレクト塗布・印刷できる。また、ガラス転移点(Tg)がないなど耐熱性も高く、実質的な耐熱温度は250℃程度に達する。可視光透過率は85%程度だが、熱膨張係数は54〜71ppmとプラスチックフィルムとしては平均的な値にとどまる。
参考文献 1)末森ほか:ITO膜内応力の制御による透明有機ELデバイスの性能の改善、第82回応用物理学会秋季学術講演会講演予稿集、11-286(2021.9) |
REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |
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