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第29回ファインテックジャパン/第11回高機能フィルム展/第9回高機能プラスチック展 (12月4〜6日)


第29回ファインテックジャパン/第11回高機能フィルム展/第9回高機能プラスチック展
JDIがオリジナルプロダクトで存在感を誇示
マイクロLEDのRGBサブピクセル実装方法も明らかに

12月4〜6日、幕張メッセで開かれた「第29回ファインテックジャパン/第11回高機能フィルム展/第9回高機能プラスチック展」。今回、ディスプレイモジュールを含め主役に見えたのがマイクロLEDディスプレイで、ジャパンディスプレイからはプロトタイプパネル、台湾のマテリアルメーカーからはRGBサブピクセル実装方法が紹介された。



写真1 透明TFT-LCD
RGB-LEDをFS駆動して透明TFT-LCDに

 まずディスプレイモジュールに関しては、今年もジャパンディスプレイが孤軍奮闘する形でWhat's Newを演出した。まずは背面が透けて見える透明TFT-LCDで、4型300×360画素パネルと12.3型1440×540画素パネルを展示。スイッチONで液晶材料が透明になりバックライト光が散乱によって前方へ取り出される仕組みで、RGBそれぞれのLEDを高速で順次点灯させるフィールドシーケンシャル駆動方式を採用。この結果、カラーフィルタも偏光板もレス化した。その光透過率は87%で、表示色は4096色、コントラスト比は30:1、輝度は150cd/m2(4型)or300cd/m2(12.3型)と実用レベルを確保。空間に溶け込む神秘的なデザインがその存在感を際立たせていた。

 他方、3DディスプレイではField Light Displayと名づけた新たなディスプレイモジュールを披露した。視差バリア方式のグラスフリー3Dパネルだが、従来と異なるのはそのコンセプト。従来は複数の視点を固定し、それぞれの視点で同じ3D画像が得られるように設計するのに対し、今回のField Light Displayではそうした視点の概念を一掃。つまり、視点フリーによって視点毎に微妙に趣が異なる3D画像がそれぞれ表示される。要するに、従来よりナチュラルな3D表示といっていい。今回展示したのは5.8型ワイドQHD(1440×2560画素)で、ほぼどの角度からも高い3D臨場感が得られていた。ちなみに、このパネルはBtoB向けとしてサンプル出荷中だ。


写真3 マイクロLEDディスプレイ

写真2 Field Light Display
 さらに、同社は展示会直前にプレス発表した1.6型マイクロLEDディスプレイ(300×300画素)も披露した。最大の特徴は3000cd/m2という高輝度で、デジタルカメラではうまく撮影できないほど。低温poly-Si TFT基板へのRGB-LEDアレイの実装方法が最大の焦点だったが、これについてはまったくのゼロ回答。さらに、プレスリリースやホームページに記載されている「参考出展品のマイクロLEDディスプレイにはglo社のマイクロLEDチップを使用しています」およびglo社の保有特許「高速かつウェーハからのダイレクトトランスファー技術」に関して詳細な説明を求めたものの、“その表現以外にはまったく答えられない”とのことだった。

マイクロLEDのRGB-LED実装方法の有力候補が明らかに

 その一方、FPD製造装置メーカーの常陽工学のブースでマイクロLED製造プロセスで興味深いアナウンスがあった。常陽工学と提携関係にある台湾U.K.TECHNOLOGYが紹介したRGB-LED画素実装方法で、マイクロLEDの量産が迫ってきたことさえ印象づけた。

 そのプロセスフローは、まずサクラクレパスなどのLEDメーカーからRGBそれぞれのLEDウェハーを調達。ディスプレイのデザインルールにもとづき、レーザー加工により不要な部分を除去する。つまり、Redピースの場合はGreenとBlueサブピクセル部分をカットする。同じ作業を行ってGreenピース、Blueピースを用意する。これらピースのサイズは現段階では30×30oである。そして、PDMS(Polydimethylsiloxane)スタンプでそれぞれのピース上にあるLEDサブピクセルをとり、接着層を介してTFT基板上に実装する。これをRGBそれぞれのピースで行い、さらにディスプレイサイズにしたがってこれらの作業を数十回繰り返す仕組み。U.K.TECHNOLOGYによると、現段階ではこの方法が実用的には唯一の量産方法だとしている。


写真4 ゼノマックスを使用した電子ペーパー
驚異的な寸法安定性を誇るPIが出現

 フレキシブルデバイス用マテリアルでは、長瀬産業と東洋紡がそれぞれのブースで新たな低熱膨張ポリイミド(PI)フィルム「ゼノマックス」を紹介した。両社の合弁会社「ゼノマックスジャパン」が独自開発したPIフィルムで、500℃という耐熱性を保持しながら線膨張係数を0〜72ppm/Kに抑制。いうまでもなく、これはガラスやシリコンウェハーといった既存のリジッドサブストレートに匹敵する。さらに、表面平滑性もRa=0.5nmとガラス並みを実現した。両社それぞれのブースでは写真4のようにこのPIフィルムを用いた電気泳動型電子ペーパーを展示。さらに、東洋紡のブースではこのフィルムを使った台湾InnoluxのMini-LEDディスプレイを披露。すでに電子ペーパーをはじめ一部のディスプレイモジュールで量産採用されていることを示唆した。

硬くて曲がるカバーフィルムが登場


写真5 Monolysのデモ
 一方、グンゼは折り畳み式のスマートフォンやタブレットのカバーフィルムとして硬くて曲がるフィルム「Monolys」を展示した。そのキャッチフレーズ通り基本的にトレードオフの関係にある上記の両特性を両立したフィルムで、硬度は9Hとアクリル板並みを確保。標準的な厚さは100〜130μmで、R=3oで曲げテストを100万回繰り返しても劣化が確認できなかったという。写真4のように、そのフレキシブル性を誇示したデモは効果抜群に見えた。

新たなALD装置でAl2O3ガスバリア膜を
 

写真6 ALDハイバリアフィルム
 製造装置関連では、明電舎がディスプレイなどのガスバリア成膜用として新たな成膜プロセス・装置をアピールした。生成したピュアオゾンによってOHラジカルを発生させた(OER)後、ALD(Atomic Layer Deposition)法によってTMA(トリメチルアルミニウム)を供給し、これらOER〜ALDというサイクルでAl2O3膜などを成膜する仕組みで、常温でOHラジカルを発生させるとともに、150〜180℃という低温でALD成膜できるのが特徴。量産で問題となる成膜レートは1.3nm/min。成膜したAl2O3ガスバリア膜の水蒸気透過性は膜厚50nmで6.5×10-5g/m2/dayと有機ELデバイスにも適用可能なレベルだという。写真6はPENフィルム上に成膜したAl2O3ガスバリアサンプルで、まずは実験用として8インチ対応のALD/OER成膜装置をリリースする。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。