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JPCA Show 2015(6月3〜5日) |
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6月3〜5日、東京ビッグサイトで開かれた「JPCA Show 2015」。目立ったのはやはりプリンタブルエレクトロニクス関連インフラで、FPCやタッチパネルといったデバイスのローコスト化のため、グラビアオフセット印刷やスクリーン印刷の存在感がより高まってきたように感じた。おもなトピックスをレポートする。 レジストで溝パターンを形成した印刷版でグラビアオフセット印刷
スクリーン印刷と並ぶプリンタブルエレクトロニクスの主役であるグラビアオフセット印刷では、SCREENホールディングスグループとセリアコーポレーションが競演、その量産適用を巡って活発なデモを繰り広げた。 SCREENホールディングスは近年、各種展示会でグラビアオフセット印刷をピーアールしているが、今回は太い線と細い線が混在するパターンでも良好な印刷結果が得られる要素技術として新開発した製版をアピールした。ガラス基板自体をエッチング処理するエッチングガラス版に代わって、ガラス基板上に最終構造物形成用フォトレジストを塗布しフォトリソ&エッチングでパターニングした後、DLC(Diamond like Carbon)コートによってレジスト膜強度を高めた版で、前記のような混在パターンでも膜厚均一性が高く、かつシャープなパターンが得られるという。実際、ブースでは7μm幅と100μm幅が混在するパターンサンプルをパネル展示。印刷転写不良が一切発生しないことを強調していた。 ちなみに、同社はプリンタブルエレクトロニクスというフィールドでは必ずしも装置メーカーという位置づけにこだわっているわけではなく、印刷機の外部調達を含めたトータルソリューションをユーザーに提供していくとしている。
グラビアオフセット印刷でタッチパネル配線を一括形成 他方、セリアコーポレーション(旧東海商事)は台湾Industrial Technology Research Institute(ITRI)の協力を得て試作したグラビアオフセット印刷サンプルを展示した。メタルメッシュ配線と端部の引き出し配線をAgインクで一括印刷したタッチパネルサンプルで、いうまでもなくわずか1工程でタッチパネル配線が一括形成できる。ミニマム6μmというファイン印刷が可能なため、ファイン化が求められる引き出し配線にも容易に対応可能で、この結果、狭額縁化にも有利となる。ブースではパネル展示ながらSheet to Sheet対応印刷機「PEPIO」も紹介。対応基板サイズは520×600o(印刷エリア500×580o)で、気になる印刷速度も10〜300o/secと実用レベルを確保した。 Cu錯体ペースト・インクのデモが活発化
プリンタブルエレクトロニクスデバイス用配線マテリアルの本命とされるCu配線材料では、導電性粒子レスの錯体型Cuペースト・インクの提案が目立った。まずは四国化成工業で、スクリーン印刷向けとして導電性Cu錯体ペーストを紹介した。いうまでもなく溶液状態ではCu粒子フリーのため酸化することがなく、印刷後、N2雰囲気において120℃以上で焼成するとピュアCu膜となる。ただ、120℃焼成で27μΩ・cm、160℃焼成で10μΩ・cm、300℃焼成で5μΩ・cmと比抵抗は焼成温度に依存するため、耐熱性が低いPETフィルムに適しているとは必ずしも言えない。もちろん、UV処理やプラズマ処理といった表面改質を行えば、PETフィルムをはじめとするサブストレートにダイレクト印刷しても良好な密着性が得られる。
一方、ADEKAも錯体型Cuインク・ペーストを参考出展。ただし、錯体型なので厚膜化が難しいため、こちらはダイレクト配線用途というよりは電解めっきプロセスのシード層向けとして位置づけられる。つまり、このCuインク・ペーストをサブストレートにダイレクト印刷した後、電解めっきによってCu膜を自己整合的に積み増すプロセスに用いる。印刷後は不活性ガス雰囲気において120℃×30分焼成するか、もしくは室温&大気下でXeフラッシュランプを数秒照射処理すればピュアCu膜が得られる。比抵抗は120℃×30分焼成で30μΩ・cmで、もちろん写真5のようにPETフィルム上にダイレクト印刷することができる。 他方、フォトリソ関連ではパターニング専業メーカーの厚木ミクロが有機ELディスプレイ&有機EL照明デバイス向けのパターニング加工ビジネスをアピールした。What's NEWはフレキシブルパネル・デバイス向けの加工技術で、ITOアノード、メタルバス電極、絶縁膜のパターニングに加え、アノード間のデバイス開口部にフォトスペーサーパターンを形成するまでの一貫加工事業を提案。アクリル樹脂またはポリイミドを膜厚20〜50μm厚でパターニングして均一なセルギャップを確保し、フレキシブル化しても表示特性が劣化しないようにしたもので、フォトスペーサーの径と高さ(厚さ)の関係は1:3程度まで対応可能。インパクト抜群だったのは、同社がフォトスペーサーまでの部分加工を担当したフレキシブルパッシブマトリクス有機ELD(双葉電子工業製)で、すでに量産採用されているという。 大型タッチパネルにはCuエッチングメッシュを
パナソニックは、フォトエッチング法でパターニングしたCuエッチング配線フィルムを展示。デジタルサイネージ、スマートTV、電子黒板、アミューズメント機器といった大型アプリケーション用のタッチパネルで、線幅3.5μm、ピッチ300μmでメッシュ加工した19.5型PETフィルム製タッチパネルサンプルを披露した。気になるヘイズは1.6%、可視光透過率は87%で、見た目にもメタルメッシュはまったく認識できなかった。そのシート抵抗値は0.5Ω/□とITOメッシュ(50〜150Ω/□)はもちろんのこと、Agメッシュ(30Ω/□)やAgワイヤーメッシュ(50Ω/□)よりも格段に低く、20〜80型クラスの大型タッチパネルに最適であることを強調していた。 |
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