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CEATEC JAPAN 2014(10月7〜11日) |
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10月7〜11日、幕張メッセで開かれた「CEATEC JAPAN 2014」。以前はエレクトロニクス業界にとって一大ビッグイベントだったが、近年、出展社数が激減。今年はホール1〜6までの開催と過去最低レベルの出展数となった。そんななかでメイントピックスは次世代テレビと位置づけられる4Kテレビと8Kテレビで、ここにきて規格競争がスタートした印象を受けた。おもなトピックスをレポートする。
すでにハイエンドテレビとしてオーソライズされている4K(3840×2160画素)液晶テレビはシャープ、パナソニック、東芝、三菱電機が出展。いずれも店頭発売されているだけに新鮮味はなく、大きなテクノロジーレボリューションもないように感じた。 そうしたなか、NHKが提唱しているスーパーハイビジョンテレビ、別名8K(7680×4320画素)テレビは電子情報技術産業協会(JEITA)とシャープが出展。4Kをリプレースする次世代規格として存在感をみせつけた。JEITAのブースではシャープ、中国BOEグループが試作した85V型液晶テレビが披露。一方、シャープのブースでも同じ85V型テレビが公開された。コントラストは1万:1、色再現性はNTSC比99.9%とハイスペックだが、見た目には「ちょっと暗い」といった印象。実際、最大輝度も開示せず、まだ試作レベルの完成度にみえた。 MEMSディスプレイがタブレット用パネルとして量産 ディスプレイ関連のトピックスは、なんといってもシャープと米Pixtronixが共同開発したMEMSディスプレイだった。復習になるが、このMEMSディスプレイは従来の液晶に代わってMEMSシャッターをバックライト光の遮蔽に用いることにより画像表示する。RGBのLEDバックライトからの光をフィールドシーケンシャル(FS)駆動方式によって表示色をコントロールするため、LCDに不可欠なマイクロカラーフィルター(CF)や偏光板は不要。このため、LEDからの光をそのまま利用することから色再現性がNTSC比120%と高く、パネル全体の光透過性もLCDに比べ5〜10倍高くなる。
今回披露したのは昨年と同じ7型ワイドXGA(800×1280画素)パネルで、IGZO-TFTで駆動させることからMEMS-IGZOディスプレイと命名。表示内容によってモノクロからフルカラー階調まで容易に切り替えられるのも特徴で、写真2のように画像表示時は通常のフルカラー、写真3のようにテキスト表示時はモノクロと使い分けることができる。この際、階調によってMEMSシャッターの開閉回数が決まるため、階調が少なくなればなるほどMEMSシャッターの開閉回数が少なくなり結果的に光透過性が向上し、消費電力が低減する。実際、写真4のように通常のTFT-LCDに比べ消費電力は40〜50%と低いことを強調していた。 まずは自社のタブレット用パネルとして製品化する考えで、2015年上期から量産を開始する。ちなみに、FS駆動ディスプレイで問題となるカラーブレークアップ現象についてはパネルの前に手をかざしてもまったく感じられなかった。 NEDOが高精細の超薄型有機ELDを披露
他方、有機ELディスプレイは国内メーカーのブースからは展示がなく、現時点で韓国メーカーに頭一つ以上リードされていることを再認識させられた。そうしたなか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースで超薄型有機ELDを発見。ジャパンディスプレイが受託した「革新的低消費電力型インタラクティブシートディスプレイプロジェクト」の研究成果で、2013〜2017年の5年間にわたってシート型の超薄型有機ELDを開発する。プロジェクトの狙いは、@厚さ300μm以下のシート型有機ELDの製造技術を開発する、A中小型TFT-LCDの1/2以下の低消費電力型有機ELDを開発する、の2点。今回は@の中間成果として携帯端末用5.2型フルHDパネル(422ppi)を披露した。@の最終ターゲットは2枚のプラスチックフィルム基板を用いた固体封止パネルだが、今回は薄型ガラス基板を2枚用いたガラス製パネルを展示。カラー化方法も白色EL+カラーフィルター(CF)方式だった。これらの点について説明員に聞いたところ、「最終的にはマルチレイヤーのガスバリア膜を用いた固体封止のフルフレキシブルパネルを開発する。一方、カラー化方法は350ppi以上という目標解像度を考えると、このまま白色EL発光+CF方式で進める」とのことだった。厳しい言い方かもしれないが、2017年までの長期プロジェクトにしては“ハードルが低すぎる”ように感じた。 日本電気硝子の超薄板ガラスが有機ELデバイスに量産採用
FPD用インフラでは今年も日本電気硝子(NEG)が存在を誇示した。What's NEWは独自のフレキシブル超薄板ガラスロール「G-Leaf」。G-Leaf自体は厚さ200μmのフレキシブルガラスとして認識されており目新しくないが、今回はこれまでのPR成果としてパネル・デバイスメーカーのプロダクトを展示した。写真6のLG Chem(韓国)のフレキシブル有機EL照明デバイスと写真7のNeoView KOLON(韓国)のフレキシブル透明有機ELディスプレイで、前者はすでにプロダクトとしてリリースされているという。なお、生産ラインにおけるG-Leafのハンドリング方法については「ユーザーの話なので、当社からコメントできない」とのことだったが、現時点ではRoll to Roll方式ではなく、キャリアガラスに固定した後、デバイスを生産する枚葉方式と推測される。 グラビア印刷で高透過率&低抵抗メッシュパターンを 毎年、CEATEC JAPANでユニークなプレゼンテーションを展開するシンク・ラボラトリーもWhat's NEWを提供。最新トピックスは同社の微細グラビアロールを用いてグラビア印刷した透明メッシュパターンで、従来のAgペーストやCuペーストを用いたサンプルでは光透過率85%までの微細化に成功。さらに、今回は独HeraeusのAg錯体インクをグラビア印刷した透明導電パターンも披露。驚異的なのは200℃という低温焼成ながら比抵抗2Ω/□という導電性。線幅をミニマム6μmにしたためで、光透過率も90%を確保。タッチパネルやディスプレイ向けの透明導電パターンにも十分対応できることを示した。 |
REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |