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JPCA Show 2014(6月4〜6日)


JPCA Show 2014 印刷プロセスや低温プロセス用マテリアルでWhat's NEWが


写真1 ガラスドライエッチング版(エスケーエレクトロニクス)

6月4〜6日、東京ビッグサイトで開かれた「JPCA Show 2014」。注目はやはりプリンタブルエレクトロニクス用インフラで、印刷プロセスや低温プロセス用マテリアルでWhat's NEWが相次いだ。独断と偏見でおもなトピックスをレポートする。

 まずプリンタブルエレクトロニクス関連では、フォトマスクメーカーのエスケーエレクトロニクスがオフセット印刷用ガラス凹版を紹介した。石英ガラス基板上にフォトリソ+ドライエッチングによって印刷用インクを保持する溝パターンを掘り込んだガラスドライエッチング版で、従来のウェットエッチング版を大幅に上回るレゾリューションを実現。深さ5μmの場合、ミニマム2μm幅の溝パターンが加工できる。もちろん、エッチング断面形状もシャープな矩形状になる。また、パターン位置精度も±0.5μmを達成。最大500×600oサイズに対応可能だという。

常温乾燥型Agナノインクや錯体型Cuインクも登場

 フレキシブルデバイス向けとして採用機運が高まっている低温焼成型ナノメタルインク・ペーストでは、スリーボンドが常温乾燥型Agナノインクをアピールした。平均粒径30nmのAgナノ粒子をテトラデカンなどの有機溶媒に独立分散させたインクジェット印刷(IJ)用インクで、その名の通り室温でホールドするだけで導電膜が得られる。つまり、有機溶媒が揮発することにより導電膜として機能する。ただし、この状態ではAgナノ粒子についている有機保護膜が残存するため、比抵抗は3×10-5Ω・cmにとどまる。このため、より導電性を高めるために150〜200℃で加熱焼成すると、10-6Ω・cmオーダーというハイコンダクティビティが得られる。つまり、焼成によって有機保護膜が熱分解しAgナノ粒子同士が融着することによって導電性が向上する仕組み。ブースでは、紙にIJ印刷した模倣デバイスを紹介。紙やプラスチックフィルムなど表面に凹凸のあるサブストレートなら密着性は問題ない一方、ガラスなどの平滑基板は密着性が不十分なため適していないようだ。


写真3 スクリーン印刷したCu配線サンプル(ADEKA)

写真2 AgナノインクのIJ印刷サンプル(スリーボンド)

 一方、ADEKAはプラスチックフィルム基板製デバイス向けとして錯体型Cuインク・ペーストを紹介した。基板上に塗布・印刷後、Xeフラッシュランプによって瞬間加熱してピュアCu膜にする仕組みで、大気雰囲気においてわずか数秒照射すればいい。ただ、Xeフラッシュランプ照射による熱ダメージから基板の表面が溶解するのも事実で、PETフィルムのような耐熱性の低いフィルムよりも、ポリイミドフィルムのような耐熱性フィルムに適する。気になる導電性はバルクの10倍前後、つまり180℃で加熱焼成したCu膜と同程度。配線向けとしてリコメンドしていたのはスクリーン印刷プロセスで、写真3のようにL&S=数十μmのCu配線が容易に形成できるとしている。

厚木ミクロは有機EL照明デバイスや有機TFT向けで新たなビジネススタイルを模索

 有機エレクトロニクス関連では、パターニング加工専業メーカーの厚木ミクロがWhat's NEWを演出した。まずは有機EL照明デバイス用光取り出し効率向上基板で、ガラス基板〜ITOアノード間に拡散層と高屈折率層をスリットコート法でインサート。どちらもアクリル樹脂ベースに高屈折率の白色微粒子などを添加したもので、屈折率を1.8程度に調整。このため、ガラス基板とITOの屈折率差をミニマム化でき、ここに閉じ込められる光をほぼゼロにすることができる。つまり、光取り出し効率が20%程度改善できる。同社はこの光取り出し効率向上層とITOアノードを設けた基板を有機EL照明デバイスメーカーに供給する考えで、もちろんニーズ次第でAlやCrといった補助電極も形成可能だ。


図1 光取り出し効率改善デバイスの断面構造(厚木ミクロ)

  同社は有機TFT向けでも新たなビジネススタイルを模索。有機半導体メーカー向けとして材料評価用の簡易有機TFTを供給できることをアピールした。基板上にメタルゲート電極、ポリイミドゲート絶縁膜、メタルソース/ドレインを積層した評価デバイスで、電極はフォトエッチング法でパターニング。有機半導体メーカーはこのボトムゲート・ボトムコンタクトデバイスに有機半導体を塗布または成膜するだけでデバイス特性を容易に評価することができる。チャネル長はミニマム5μm、サイズは最大400×500oに対応可能だ。

親水パターニング用露光装置で導電性インク・ペーストを自己整合的にパターニング

 製造装置メーカーサイドでは、ウシオ電機が有機エレクトロニクスやバイオチップ向けとしてVUVアライナーをピーアールした。アライナーといっても一般的なフォトレジスト用露光装置ではなく、表面改質プロセス向けの装置。つまり、SAM(Self Assembled Monolayers)材料などをフォトマスクを介してVUV光(波長172nm)で露光して親液・撥液パターニングする装置で、この結果、VUV光が照射された部分は本来の撥液性が消滅して親液性に変化。この後、導電性インク・ペーストを各種コーティング法でベタコートすると、インク・ペーストが自己整合的に親液部に付着してパターニングされる仕組み。つまり、フォトレジストレスで電極などのファインパターニングが可能になる。まずリリースするのは76×26o基板対応のR&D装置で、マニュアルアライメント方式ながらL&S=5μm/5μmのファインパターンが形成できる。説明員によると、マスプロダクション向けのオートアライメント装置も受注可能だという。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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