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技研公開2013(5月30日〜6月2日) |
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5月30日〜6月2日、NHK放送技術研究所で「技研公開2013」が開かれた。ディスプレイ関連では、モバイル機器向けとしてフレキシブル有機ELディスプレイを公開。ポスター発表ではオリジナル構造のボトムゲート型セルフアラインIGZO-TFTを紹介した。 有機ELDは8型VGAフレキシブルパネルと独自開発した5型逆構造ボトムエミッションパネル(inverted OLED)を披露した。どちらもアクティブマトリクス素子にはエッチングストッパー付きIGZO(In-Ga-Zn-O)-TFTを採用し、容易にフレキシブル化できるようにした。
前者はサブストレートにPENフィルムを使用するとともに、プラスチックフィルムで固体封止。赤色発光材料には独自のベンゾキノリン誘導体、緑色発光材料にはIr錯体、青色発光材料にはコンベンショナルな蛍光材料を用い、それぞれをマスクスルー蒸着法で成膜・パターニングした。ただ、毎年のことながら線欠陥をはじめとするディフェクトが多いなど、完成度が高いとはいえなかった。 他方、後者は5型QVGAパネルを展示。What's NEWはinverted OLEDと名づけたことからも想像できるようにそのレイヤー構成で、光透過性カソード/電子注入層/電子輸送層/発光層/ホール輸送層/MoOxバッファ層/Auアノードとリバース構造にした。ポイントは光透過性カソードと電子注入層で、可視光透過率を高めるためカソードはITO膜をスパッタリング法で成膜。電子注入層は日本触媒と共同開発したマル秘バッファ材料を用いた。これらの結果、大気中における動作安定性が大幅に向上。具体的には、従来の順構造パネルは100日間大気中にさらしておくと発光面積が約1/2になってしまうのに対し、今回のiOLEDはほとんど劣化しないという。
冒頭のように、ポスター発表では独自構造のボトムゲート型セルフアラインIGZO-TFTについて報告した。図1のようにIGZO膜を活性領域とソース/ドレイン領域にセパレートするのが特徴で、あらかじめ形成されたメタルゲート電極をセルフアラインマスクにして基板裏面からXeClエキシマレーザービーム(波長308nm)を照射。この結果、レーザービームが選択照射された部分は局所加熱されて4桁以上低抵抗化しソース/ドレイン領域として機能する仕組み。つまり、急激な温度上昇によって金属-酸素結合が切断されて酸素欠損が発生し、自由電子が発生して低抵抗化されるわけである。
そのメリットは、まずゲート電極とソース/ドレイン電極の重なり領域がないため寄生容量が少なくなること。もうひとつは、エッチングストッパー層とソース/ドレイン電極のアライメントマージンが不要になるためチャネル長が短くなり、サイズシュリンク効果が大きくなるとともに高速動作が容易になること。実際、寄生容量は0.5fF/μmから0.1fF/μmにまで減少。キャリアモビリティも8.2cm2/V・s以上とコンベンショナルなエッチングストッパー付きボトムゲート構造デバイスと変わらないという。もちろん、レーザー照射時のプロセスマージンも広く、アレイ化したガラス基板製サンプルではソース/ドレイン領域のシート抵抗値は103Ω/□前後と安定しているという。 |
REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |