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第20回マイクロマシン/MEMS展(7月29〜31日)


第20回マイクロマシン/MEMS展 IJ装置やフォトマスクで新たな動きが
MEMS向けとして断面形状制御が容易な移動マスク露光法にも脚光

7月29〜31日、東京ビッグサイトで「第20回マイクロマシン/MEMS展」が開かれた。おもなトピックスをレポートする。


写真1 マテリアルプリンター(Fujifilm Dimatix)

 What's NEWではないが、富士フイルムは子会社の米FUJIFILM DimatixのR&D用インクジェットプリンター「マテリアルプリンターDMP-2831」を展示した。各種インクのIJ印刷特性を評価する200×300o基板対応マシンで、液滴サイズは10pLまたは1pLに設定。後者では20μmレベルの微細パターンが描画できる。インクは容量1.5mLのカートリッジにシリンジ(注射器)で充填するため、少量でIJ印刷特性が評価できる。また、16個それぞれのノズル毎にプロセス条件を自動調整するドット・パー・ノズル(DPN)により、液滴サイズユニフォミティを±2〜3%に高めた。さらに、高粘度インク向けとしてノズル内温度をマックス70℃まで加熱することもできる。ブースでは市販の顔料インクを用いたデモを行っていたが、パネル展示ではナノパーティクルAgインクをIJパターニングした様子も紹介。FPDをはじめエレクトロニクス分野に適用できることを強調していた。価格は約800万円とのこと。

 年内にはセカンドモデルとして300×300o対応モデルをリリース。Dimatixの産業用IJヘッドが搭載可能なモデルで、繰り返し位置決め精度も±5μmに高める予定だ。


写真2 MEMS用フォトマスク(進映社)

進映社がMEMS用フォトマスク市場に進出

 フォトマスク関連では、進映社がMEMS用の小型フォマスクを展示し、今後、この分野へ本格進出することをアピールした。これに先立ち、米Applied Materials(Etec Systemsを買収)のレーザー描画装置「CORE 2564」をはじめとするハイレゾリューションクロムマスク製造ラインを相模原事業所(神奈川県相模原市)に導入。8月中にラインを立ち上げる予定。CORE 2564はArイオンレーザー(波長363.8nm)を搭載。最小0.6μmラインが描画でき、線幅精度も±0.05μmを誇る。MEMS向けでは線幅3μm以上のフォトマスクは既存のVIOLD、それ以下のハイレゾリューションマスクはCORE 2564で描画する考えで、これにより半導体用レチクルを用いてきたMEMS業界にリーズナブルなフォトマスクを提供する。

結晶太陽電池向けでハイスループットスパッタ装置が登場

 太陽電池関連では、伯東がOerlikonのハイスループットスパッタリング装置「Model Solaris」を紹介した。結晶系太陽電池のほか、タッチパネル、MEMS向けの装置で、6チャンバ構成によって太陽電池の反射防止膜(SiNx)をリアクティブスパッタ成膜する場


写真3 スパッタリング装置(Oerlicon)

合、1200枚/hというハイスループットを実現した。このため、コンベンショナルなプラズマCVD法に比べトータルデポジションコストを30%削減できるという。膜厚ユニフォミティは±2%以内を確保。まだリリースしたばかりだが、すでに米国とドイツで出荷実績があり、伯東は国内の結晶系太陽電池メーカーに売り込む考え。価格は約2億2000万円。ちなみに、Oerlikonは薄膜太陽電池向けではスパッタリング装置やプラズマCVD装置などをインテグレーションしたターンキーシステムを提供しているが、結晶系太陽電池向けではスパッタリング装置をはじめ個別装置を販売していく方針だ。

マスク移動露光で任意のレジスト断面形状に

 関連イベントとして7月30日にワシントンホテルで開かれた「MEMS製造技術セミナー」では、大日本科研と京都大学 田畑研究室がMEMSのような複雑な断面形状を形成する方法として移動マスク露光法を紹介した。

 図1のようにフォトマスクを左右に等速で動かしながら露光する仕組みで、例えばネガ型フォトレジストを用いる場合は左右端面の露光量が少なくなるため、現像後は左右がテーパー状になったパターンが得られる。フォトレジストの種類(ポジ型orネガ型)、フォトマスクの開口パターン、移動量、移動速度を調整すればニードル形状や円錐形状をはじめさまざまな断面形状が得られる。もちろん、フォトマスクを移動させる以外は通常の一括露光と同じで、汎用のプロキシミティ露光装置が使用できる。大日本科研の露光装置ではフォトマスク移動レンジを最大200μm、移動分解能を10nmに設定。8インチウェハーに対応できる。

 その効果的な応用例としてアピールしたのが中空・封止構造体の作製で、写真4のように基板上に中空構造物を設けたネガ型フォトレジスト膜を作製することができる。写真5はマスク移動振幅と断面形状の関係で、いうまでもなく振幅が小さいと鋭角状に、振幅が大きいと緩やな断面形状になる。つまり、3次元構造パターンと封止が同時にでき、従来のような基板同士を接合するプロセスや犠牲層の作製プロセスが不要になる。大日本科研ではとくにIJヘッドや圧力センサーなどに有効としている。


図1 通常露光と移動マスク露光法の比較イメージ(大日本科研)

写真5 マスク移動量とネガ型レジスト断面形状の関係(大日本科研)

写真4 中空構造ネガ型レジストのパターニング例(大日本科研)

 



REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。