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インターネプコン・ジャパン/半導体パッケージング技術展/プリント配線板EXPO(1月28日〜1月30日) |
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1月28〜30日、東京ビッグサイトで開催された「第38回インターネプコン・ジャパン/第10回半導体パッケージング技術展/第10回プリント配線板EXPO」。スクリーン印刷関連ではスクリーンマスクの変形を低減し繰り返し印刷時の寸法精度を高めるプロポーザルが注目の的に。FPD用インフラではミクロ技術研究所とFCMそれぞれから画期的なパターニング加工基板が紹介された。おもなトピックスをクローズアップする。 SUS&V-screenのコンビネーションで無変形メッシュに まずはインターネプコンの主役であるスクリーン印刷関連から。このフィールドで毎年、効果的なデモを繰り広げるスクリーンマスク用SUSメッシュメーカーのアサダメッシュ。今年も手刷り印刷コーナーを設けるなどスクリーン印刷が身近に感じるデモを繰り広げたが、最大のトピックスは「HS-D500」と名づけたコンビネーションスクリーンだった。
周知のように、一般的なコンビネーションスクリーンマスクは画像部にSUSメッシュ、その外側にポリエステルメッシュを貼り解像性と弾力性を両立する。しかし、ポリエステルメッシュの強度の制約からスクリーン印刷時のクリアランスを広くするには限界がある。いうまでもなく、クリアランスを広くすればペーストの版離れ性が向上し、ファインパターン印刷に有利な高粘度ペーストが使用できるようになる。 そこで、HS-D500は印刷画像面に従来の3倍の強度を有する3000N/mmのSUSメッシュ(線径19μm)、外周部にNBCの高強度スーパー繊維メッシュ「V-screen」を使用し、スクリーンの強度を飛躍的に高めた。この結果、クリアランスを従来の2倍以上に広げても変形しないようになる。実際にスクリーンの伸びを評価したところ、標準クリアランス1.5oに比べクリアランス3.5oでも伸び量はほとんど変わらず、スクリーン自体も変形しなかった。つまり、実質的には無変形スクリーンといえる。 同社はHS-D500を用いてFPCパターンをスクリーン印刷。写真1は横5×縦4の計20面付けにしたFPC印刷パターンで、撥液性バッファ層をコーティングしたポリイミドフィルム基板上にアサヒ化学研究所のポリマー型AgペーストをL&S=60μm/60μmでスクリーン印刷した。また、ナミックスのAgペーストを用いてガラス基板上にL&S=40μm/60μmのPDP電極パターンを印刷することにも成功した。 ちなみに、HS-D500はスクリーン印刷コンサルタントのエスピーソリューションの協力によって誕生したもので、アサダメッシュがスクリーンマスクを製品化するわけではない。つまり、アサダメッシュがSUSメッシュ、NBCがV-screenメッシュを提供し、スクリーンマスクメーカーがコンビネーションマスクとして製品化するというスキームになる。この際、あらかじめSUSメッシュとV-screenメッシュをコンビ貼りした形で出荷してほしいというニーズも考えられ、その場合はアサダメッシュがコンビ貼りした原反をスクリーンマスクメーカーへ出荷する予定だ。 量産性に優れる730メッシュが登場
アサダメッシュはSUSメッシュのニュープロダクトとして「MS730/13(写真2)」もアピール。名前の通りメッシュ数を730、線径を13μmにしたもので、既存の840メッシュと640メッシュの中間的性質を備える。840メッシュはいまだ世界最高精細度を誇るが、量産性に課題があるため、実用性を兼ね備えた730メッシュをリリースした。 撥液性乳剤でペーストの抜け性を向上 一方、ソノコムは新開発した撥液性乳剤「G60シリーズ」とサスペンドメタルマスクを中心にデモ。前者はジアゾ系の独自乳剤で、撥液性を高めることによって乳剤上に残るペースト量を少なくしペーストの抜け性を高めた。写真4はG60シリーズを塗布した250メッシュスクリーン上における水とBCA(ブチルカルビトールアセテート)の接触角で、要求される撥液性に応じてG60、G63、G65をラインアップ。ブースではG60シリーズを塗布したコンビネーションスクリーンマスクでAgペーストを印刷した太陽電池用サンプルを展示。従来乳剤に比べ厚膜化が容易になることを示した。
他方、後者は乳剤に代わってNi膜をSUSメッシュに電鋳成膜したもので、薄膜向け、厚膜向け、ファインパターン向け、超大型基板向けとラインアップを拡充。超大型基板対応サスペンドメタルマスクはLCDのシール層印刷向けで、既存の乳剤メッシュスクリーンではシール部以外の配向膜にメッシュ痕が残るのに対し、サスペンドメタルマスクではメッシュ痕が残らない点をアピール。フレームサイズはマックス1200×1200oで、730×920oクラスの第4世代TFT-LCDマザーガラスに対応できる。
独自のコンタクト印刷方式で7μmラインも 中沼アートスクリーンはスクリーン印刷では困難とされてきたハイレゾリューション化と厚膜化に挑戦。パナソニックファクトリーソリューションズの協力を得て開発した「ize technology(アイズテクノロジー)方式コンタクト印刷」をアピールした。 図1のように加圧によってヘッドから高粘度ペーストを押し出してコンタクト印刷する仕組みで、従来スキージ方式に比べファインパターン化が容易になるほか、パターンのアスペクト比が従来比1.5倍以上と高いのが特徴。SUSメッシュの表面を黒色化し感光性乳剤露光時の反射を抑制したBS-SCREEN(アサダメッシュ製)と中沼アートスクリーン独自の高解像度乳剤を併用すると、ミニマム7μmと世界最高レゾリューションが得られる。ブースではPETフィルム上に15μm幅でナノAgペーストを印刷した電磁波シールドメッシュを展示。PDPの電磁波シールドメッシュに適用可能なことを示した。また、表面処理したポリイミドフィルム上にナノAgペーストを線幅25μmで印刷したFPCサンプルも展示。20μmクラスでも量産使用できることを誇示していた。 UV露光時の反射を抑制したレモンイエロー乳剤が 合成繊維メッシュメーカーのNBCは、スモールトピックスとしてレモンイエロー色の感光性乳剤をアピール。乳剤にレモンイエロー染料をドープしたもので、乳剤パターン露光時における紫外線反射率が低下し乳剤解像性が向上する。メインターゲットはエレクトロニクスデバイスではなくグラフィック用途だが、マックス1550o幅まで対応可能だという。
エアー離着でクリアランスをミニマム化 一方、スクリーン印刷機メーカーではマイクロ・テックがトピックスを連発した。メインエキビジションはTAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip on Film)などのフィルム基板対応Reel to Reelスクリーン印刷機「MTT-380TVC」だったが、むしろスクリーン印刷の可能性を広げるデモが印象的だった。 具体的には、まずポリイミドフィルムにポリマー型Agペーストをダイレクト印刷しFPCパターンを形成したサンプルを展示。フジクラ化成のポリマー型Agペースト「DOTITEシリーズ」を用いたもので、膜中にポリマーを残すことによって基板と の密着性を確保。さらに、ピーアイ技術研究所の樹脂ペーストをスクリーン印刷してカバーレイを形成したサンプルも展示した。一方、ファイン化に関してはダイセル化学工業の多孔質膜をコーティングしてインク受容層を設けたポリイミドフ
ィルム上にAgペーストをスクリーン印刷。線幅は30μmで、これらの下地処理をすればこのクラスのハイレゾリューションが得られることを実証した。 オリジナルテクノロジーとしては基板〜スクリーンマスク間にエアーを吹き込んでスクリーンマスクを浮かせながら印刷するエアー離着方式をピーアール。図2のように、テーブルの横からエアーを吹き込んでスクリーンマスクを保持する仕組みで、具体的にはまずスクリーンマスクを降下させ、スクリーン〜ワーク間をクッション材(特殊ゴム)によって密閉状態にする。そして、テーブルの周囲4辺に設けたスリット穴から微量のクリーンエアーをギャップに導入する。スクリーンマスクをエアーによって浮かせるイメージで、以降は従来通り、スキージを水平走行させてペーストをワークに転写する。エアー流量は一般的に重量の重い高粘度ペーストは多目に、低粘度ペーストは少な目にする。 最大の特徴はエアー保持によってペーストの版離れ性が向上するため、クリアランスを0.2o程度と狭くすることができること。これは、いうまでもなく繰り返し印刷にともなうスクリーンマスクの伸びが低減し寿命が延びることを意味する。さらに版離れ性が向上するため印刷速度、言い換えればスキージ速度を高速化することができる。もちろん、クリアランスやスキージ速度以外のプロセスパラメータは変更する必要がなく、既存のプロセス技術が踏襲できる。 前記のアサダメッシュ・SPソリューションのプロポーザルはスクリーンマスクを改良することで版離れ性を改善するのに対し、マイクロ・テックはハードで版離れ性を改善しようというアプローチだ。再三述べてきたようにペーストの版離れがいいため、例えば従来法で印刷した線幅は162.14μmだったのに対し、エアー離
着法では151.68μmとファイン化にも有効だ。いうまでもなく、版離れが問題となる大型ワークにも効果的で、すでにLCDのシール材印刷向けとして量産装置を3台出荷した実績があるという。 マイクロ・テックのユニークなデモはこれだけではなかった。写真7のようにインクジェットペーパー上にモノクロ画像をスクリーン印刷することに成功。つまり、スクリーン印刷でモノクロ写真が印刷できることを示した。メカニズムはいわゆるドット印刷で、画像のうち暗い(黒い)部分は120μm径と大きめの乳剤開口ドット、明るい(白い)部分は28μm径の乳剤開口ドットを使用。面積階調によって濃淡をつける仕組みだ。使用したのはAgペーストだが、もちろんこの用途なら導電性が不要なため一般的なブラックペーストが使用できる。その出来栄えは圧巻で、一般的な銀塩モノクロ写真と変わらない。もちろん、同社のメインテリトリーはエレクトロニクスデバイスで、今回のデモは“遊び”に近いが、こうしたデモをみるとスクリーン印刷のポテンシャルはきわめて高いことを再認識させられた。 スーパーIJ装置で1μmクラスのウルトラファインパターンを スクリーン印刷と並ぶアディティブプロセスの代表格、インクジェットプリンティング(IJ)関連では産業技術総合研究所発のベンチャー企業「SIJテクノロジ」がR&D用IJ装置を披露した。といっても一般的なピエゾ駆動のIJ装置ではない。いまだ詳細はベールに包まれたままだが、電気的にインクをノズルから吐出するスーパーインクジェット装置である。最大の特徴は液滴サイズをミニマム1フェムトリットルに微小化できること。つまり、通常IJ装置に比べ体積ベースで1/1000以下に微小化できる。このため、1μmクラスという微細パターニングが可能になる。液滴サイズがきわめて小さく、ワークに到達する前に溶剤の大半が揮発するためワーク上でのだれも少なく、着弾精度も高い。この結果、微細パターニングでは通常IJ法で不可欠の下地表面処理も不要になる。
さらに、IJ装置ながらマックス1万cpsと高粘度インクにも対応できる。こちらもそのメカニズムを明らかにしなかったが、加熱レスで液滴を電気的に引きちぎるようなイメージであるため、吐出が可能だという。これまでナノAg、Au、Pd、ITOといった導電性インクからカーボンナノチューブ、導電性ポリマーなどの吐出・描画を確認。ブースではナノAgインクを線幅1μmクラスで描画するビデオ画像を流していた。 実機を展示したのは昨年リリースした50×50o対応機で、ノズル径1μmのシングルノズルヘッドを搭載。ステージがリニアモーター駆動によってXYに移動する仕組み。ステージ移動分解能はXYZ方向とも1μm。ノズル〜基板間のワークディスタンスは200〜300μmである。What's NEWは150×150o対応マシンで、すでに1号機を出荷。今後、受注活動を本格化する。 なお、量産用として気になる用途について説明員は「いろいろ・・・・・・」と言葉を濁していたが、最終的にはスーパーIJ装置でしか実現できないオンリーワンデバイスを自ら生産したいとのこと。 透明FPCで新たな付加価値を
半導体パッケージング技術展/プリント配線板EXPOのメインエキビジション、FPCに関しては日本メクトロンが透明FPCを紹介。従来のポリイミドフィルムに代わってPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを基板に用いたもので、透過率(@550nm)が17%から67%にアップ。背面がクリアに透けて見える透明FPCが実現する。ただ、耐熱性は320℃から260℃に低下する。写真9の展示サンプルは、PENフィルムと銅箔を接着剤で接着した3層CCL(Copper Clad Laminate)をサブトラクト法でパターニングした。気になる用途は、背面からのカラーライトが活かせる用途、例えば携帯電話のキーパッドに使用すれば背面光源からのカラー光がほぼそのまま取り出せる。説明員によると、すでにこの用途で量産採用が決まっているという。 6μm厚と世界最薄の電解銅箔が登場 FPC用インフラでは、デバイスのファインパターン化にともって銅箔の薄型化がさらに加速。福田金属箔粉工業が圧延銅箔で7μm厚、電解銅箔で6μmと世界最薄品を披露した。もちろん、Cuの結晶構造を制御することで高い屈曲性も確保。銅箔にポリイミドを塗布するキャスティング型2層CCLを生産する際に重要となる表面粗さについては、表面に
Cuをメッキ成膜することでRz=2.2μmグレードと1.2μmグレードをラインアップ。もちろん、ファインパターン向けではこうした表面処理レスのRz=1μmグレードも用意している。ブースでは電解銅箔に加え、この銅箔を用いて作製した両面FPC(日本メクトロン)も展示し量産対応も整っていることをアピールしていた。 IJ法でレジストインクをダイレクト描画しマスキングパターンに FPCを含むPCB向けマテリアルで目を引いたのがROHM and HAASのIJ用エッチングレジスト「Lithojet」。IJ法でダイレクトパターニングした後、UV照射量100〜1000mJ/cm2で硬化させるもので、プロセスはウェットエッチング法にもメッキによるリフトオフ法にも対応できる。塗布膜厚は10〜20μmで、対象膜をウェットエッチング後もしくはメッキ成膜後にKOHまたはNaOH(2.5%)で剥離する。溶剤フリーのためIJヘッド内において80℃で加熱して吐出する。そのため、基板着弾後の形状保持性に優れ、基板の表面処理レスでL&S=70μm/30μmを実現。FUJIFILM Dimatix、コニカミノルタIJ、Xarrといった主要IJヘッドに対応できることを確認済みで、とくにディスプレイなどの大型ワークに適しているという。 エッチャントをバキュームで置換しハイアスペクトパターンを
PCB向けのイクイップメントでは、What's NEWではないもの、ケミトロンのスーパーエッチング装置に注目。周知のように、ウェットエッチングプロセスではエッチャントの液溜まりがパターンのアスペクト比を制約するため、スーパーエッチング装置では基板上にスプレー噴射されたエッチャントをエクストラクションバーによって強制的に吸引して置換する。この結果、液溜まりがほとんど発生せず、エッチングが進行するにつれてエッチングレートが低下するという問題がなくなる。このため、従来法に比べ断面方向のエッチングレートがアップし、銅箔のような厚いCu層でもファインパターニングが可能となる。一般的にCu層の厚みとエッチング幅は1:1が限界とされているが、スーパーエッチング法では18μm厚の銅箔でL&S=30μm/30μmを実現。つまり、比較的安価な一般的な厚みの銅箔でもファインパターニングが可能になる。写真11はL&S=30/30μmの断面で、18μm厚の銅箔でもCu配線のショートや細りがないジャストエッチングができる。すでにリジッドPCBでは量産採用されており、今後、COFをはじめとするFPCにも展開していく考えだ。 リブが必要な電子ペーパーにインパクト抜群のプロポーザルが FPD向けの直接的なエキジビションはほとんどなかったが、少ないながらもインパクト抜群のデモが相次いだ。
まずはパターニングメーカーのミクロ技術研究所。筆者がインパクトを受けたのは、ガラス基板をウェットエッチングして溝パターンを形成したサンプル。図3のように、展示サンプルはガラス基板を20μmエッチングしてマトリクス状の溝パターンを形成。さらに、その上にITO透明電極や、Cu、Alメタル電極をスパッタリング成膜した。図3のテーパー部の幅(a)と深度(b)は1:1まで対応可能で、例えば画像部はITO透明電極、電極引き出し部はメタル配線にすることもできる。ガラス基板は一般的な0.7o厚に加え、0.4o厚にも対応。展示品は透明電極やメタル電極をベタ成膜したものだが、もちろんこれらをフォトリソでパターニングすることも可能だ。 ガラス基板をウェットエッチングして導電膜を成膜しただけと技術的にはサブプライズとはいえないが、こと電子ペーパー向けに関してはインパクト抜群に感じた。周知のように、一口に電子ペーパーといっても多くの種類があり、ブリヂストンのQR-LPD(Quick Responce-Liquid Powder Display)に代表されるトナー移動型や、米SiPix製をはじめとするトナー分散着色溶液型ではトナーの凝集を抑制するため、一定のディメンジョンでリブ(隔壁)を設ける必要がある。これが意外に曲者で、アスペクト比の関係から高さ数十μmのリブを形成するのは1回のフォトリソでは難しく、さらにコストアップをともなう。つまり、リブは量産性&製造コストを大きく左右するファクターとなっている。この溝パターン付きガラス基板を用いればこうした問題が解消される。もちろん、樹脂製リブで懸念されるアウトガスもノープロブレムだ。さらにgoodなのは、オプティマイズせずにそのままこれらの電子ペーパーに使用できること。いうまでもなく、FPD用マテリアル・コンポーネントメーカーから多くのニュープロポーザルが展示会などで提案されるが、それらをそのままFPDに適用するのは総じて難しい。しかし、上記の溝付きエッチングガラス基板はディメンジョン以外そのまま適用できる。具体的には、パッシブマトリクスパネルならば導電膜をパターニングして背面基板に用いればいいし、アクティブマトリクスパネルならばベタITO対向電極を成膜したものを前面基板にしてa-Si TFTなどの背面アクティブ基板と貼り合せればいいわけである。失礼ながら、技術的には大したことはないものの、リブが必要な電子ペーパーにはスマッシュヒットに映るデモに感じた。 無機透明電極なのに低抵抗、かつフレキシブル化しても断線せず
フレキシブルディスプレイ向けでは、FCMの低抵抗透明電極付き基板「FCM-200」がインパクト抜群だった。プラスチックフィルムなどの基板上にまずCuなどのメタル膜をスパッタリング成膜+フォトエッチングまたはメッキ成膜+リフトオフでパターニング。続いて、ITOなどの透明導電膜をスパッタリング成膜しフォトエッチング法でパターニングしたもの。つまり、図4のように一般的な補助メタル電極付き透明電極とはレイヤー構成が逆になる。このようなレイヤー構成にしたのはフレキシブル化するため。当然のことながら基板を曲げると透明電極にクラックが入るが、メタル配線によって断線をカバリングできる。写真13は曲げても断線せずに導電性が維持できることを示したもので、フレキシブルデバイスに最適なことを実証してみせた。 もちろん、メタル電極と透明電極の種類、また膜厚や線幅は要求される導電性、可視光透過率、デザインルールによって自在に設定することができる。展示サンプルはメタルにCu(膜厚3μm)、透明電極にITO(230Ω/□)を用いたもので、可視光透過率は80%をマーク。フレキシブルFPD、とくに電子ペーパーや有機ELディスプレイに最適にみえた。マックス600o幅対応のRoll to Roll設備があり、インフラ面でもこれらフレキシブルディスプレイ向けとして量産対応できることを誇示していた。 周知のように、エレクトロニクス業界では一般的に成膜メーカーとパターニングメーカーはフィールドを棲み分けており、ユーザーであるデバイスメーカーは成膜とパターニングをそれぞれ外注するケースもあるが、上記のような2層膜の場合、基板の搬送を考えると外注を控えたくなる。これに対し、FCMのようにパターニング済みの多層電極を一貫供給できることはデバイスメーカーにとって大きな魅力になりそうだ。 燐光&蛍光のハイブリッドで高色純度白色有機ELを
FPD用マテリアルでは、出光興産が低分子有機EL材料「idel」をピーアール。同社は昨年10月の「FPD International 2008」で米Universal Displayと共同開発した赤色および緑色燐光素子を展示したが、今回はこれに加え、青色蛍光素子と白色ハイブリッド素子も公開した。What's NEWの白色素子は赤色燐光発光層、緑色燐光発光層、青色蛍光発光層を積層化した燐光&蛍光ハイブリッド素子で、RGB3波長によって色純度を高めたのが特徴。電力効率は30lm/Wで、輝度半減寿命も10万時間を確保した。RGB発光層を3層化するのは珍しく、ディスプレイよりも照明用とのこと。ちなみに、例によって材料の分子構造については明らかにしなかった。
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REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |