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VACUUM2008-真空展(9月10日〜9月12日)


VACUUM2008-真空展 マツボーがANSの有機デバイス用薄膜封止装置をPR
注目の透明酸化物半導体IGZOでは豊島製作所からターゲット材が

 9月10〜12日、東京ビッグサイトで開かれた「VACUUM2008-真空展」。FPD関連としてイクイップメントとマテリアルの話題をそれぞれ1件ピックアップする。

▲IGZOターゲット(丸安産業、豊島製作所)

 マテリアル関連でトピックスを演出したのは商社の丸安産業。目玉は豊島製作所のIGZO(In-Ga-ZnO4)ターゲットだった。

  周知のように、アモルファスIGZOは透明でフレキシブルかつ室温成膜が可能なため、ポストa-Si TFTとして一躍脚光を集めている。近年は国内外のFPDメーカーがIGZO-TFTを用いたLCDや有機ELディスプレイを相次いで学会発表するなどデバイスへの応用研究も加速。しかし、4元組成のため、スパッタリングターゲットが安定調達できるのかといった不安もあった。

  今回、丸安産業が展示したのは径300oの円筒形ターゲット。単層構造のため組成ずれが起きにくいのが特徴だ。もちろん、一般的なDCスパッタリング成膜が可能な体積抵抗値(10-2Ω・cm台)を確保。相対密度も95%以上と高いため、スパッタ成膜時にターゲット表面に生成されるノジュールも発生しにくいという。

有機デバイスに有機・無機のハイブリッド封止膜を

  イクイップメント関連では、商社のマツボーが韓国の真空装置メーカー「Advanced Neotech Systems(ANS)」の有機デバイス用薄膜封止システムを紹介した。ここでいう有機デバイスとは有機EL、有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池などで、従来のガラス封止やSUS封止に代わって薄膜封止を用いることでデバイスを薄型化するとともにフレキシブル化しようという発想だ。


▲Barix Encapsulationのイメージ(マツボー、ANS)
スパッタリングチャンバ
投入電源
10Kw(パルスDC)
成膜レート
6〜25nm/min
膜厚ユニフォミティ
±10%
基板温度
<55℃
蒸着&UV照射チャンバ
成膜レート
400〜2000nm/min
膜厚ユニフォミティ
<10%
基板温度
<40℃
UVピーク強度ユニフォミティ
<10%
表 薄膜封止装置の仕様

 その薄膜封止方法だが、ANSと提携している米Vitex SystemsのBarix Encapsulationを採用。Barix Encapsulationは薄膜封止の代表的な方法で、有機膜と無機膜を積層することにより高い水蒸気・酸素バリア性が得られる。具体的には、まず真空チャンバ内のノズルへ加熱したブレンドモノマーを供給し、チャンバ上部に配置した基板にモノマーを蒸着する。続いて、UV光を照射するとモノマーがポリマーへ変化し、膜中の気泡が埋まり気密性が向上する。その後、ガスバリア膜としてSiO2、SiNx、A2O3といったセラミックス膜をスパッタリング成膜し、膜強度を高める。デバイスによってこのハイブリッド構造をさらに多層化する。

 装置仕様は表のとおりで、基板温度を55℃以下に抑制できるため、有機デバイスへのダメージがほとんどないのが特徴だ。標準的なレイヤー構成はポリマー膜/無機膜を5レイヤーにした計10層構造だが、水蒸気バリア性など具体的な数字はマツボーでは把握していないという。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。