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nano tech 2026(2026年1月28〜30日)


nanotech 2026 1200mm幅対応のペロブスカイト太陽電池用量産コーターシステムが登場

1月28〜30日、東京ビッグサイトで開かれた「nanotech 2026」。今回も目立っていたのはペロブスカイト太陽電池用インフラで、大手コーターメーカーが専用装置システムを実機展示するなどデモが活発だった。独断と偏見でトピックスを列挙する。

1200mm幅対応のRoll to Rollコーターシステムがブースを占拠

 まずは製造装置から。このカテゴリーで存在感抜群だったのがコーター専業メーカーのヒラノテクシードで、量産用のペロブスカイト太陽電池用コーターシステムを製品化すると宣言。今展示会で最大級といえる巨大ブースに1200mm幅対応のRoll to Rollシステムを実機展示した。


写真1 ヒラノテクシードのブース風景
 システムはUV照射による表面改質ユニット、スロットダイコートユニット、乾燥ユニットからなり、その長さは10m以上におよぶ。ホール輸送材料、ペロブスカイト材料、電子輸送材料が塗布でき、とくにデバイス特性を左右するペロブスカイトの塗布工程ではラージグレインが得られるよう乾燥工程を最適化。ユニットを3分割し、最初の2ゾーンではIR+熱風オーブンのハイブリッド加熱により材料に含まれている溶媒成分を完全に揮発。最後のゾーンでは吸気と排気を高速で繰り返すクイックリターン乾燥によってペロブスカイトの結晶成長を促進。結果的に鏡面のラージグレインが得られる。実際、市販の一般的な材料を用いて試作したデバイスでは光電変換効率が15%に達した。

 この量産装置を含め装置の製品化を加速するため、同社は5月に200mm幅対応の量産検証装置をテストラボに導入。ユーザーが材料を持ち込んでの塗布テストが可能になる。ちなみに、検証装置の膜厚均一性は±1%が見込まれている。


図1 スプレー塗布のイメージ

驚異の材料利用率86%というスプレーコーターが登場

 汎用エレクロニクスデバイスに使用可能なスプレーコーターでトピックスを提供したのがShimada Appli。独自開発したスプレーバルブを用いたスプレーコーターで、図1のようにエクステンションスクリューを右に旋回、星形エアーギャップを左に旋回させることによって塗布液を微細にミスト化してスプレー塗布する。この結果、凹凸面も含め基材上にきわめて均一でカバレッジ性の高い膜が塗布できる。さらに、材料利用率は86%とスプレー塗布では驚異的な値を実現。標準的な膜厚均一性も±5%以内が得られる。塗布液はフォトレジストからPEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)、厚膜のソルダーレジストまで幅広く、10〜1500cpsまでの粘度に対応できる。

 ちなみに、同社はR&D装置を製造・販売。量産装置については他のコーターメーカーに技術をライセンス供与する方針。

超薄板ガラスでペロブスカイト太陽電池を固体封止


写真2 極薄板ガラスG-Leafで固体封止したフレキシブルペロブスカイト太陽電池
 ペロブスカイト太陽電池製造用マテリアルでは、日本電気硝子が超薄板ガラス「G-Leaf」をデモ。厚さ200μm以下のG-Leafで固体封止したフレキシブルペロブスカイト太陽電池を初めて展示した。写真2はこの試作デバイスで模型の風車を回転させている様子で、デバイス製造過程でRoll to Rollプロセスが適用できるなどそのフレキシブル性を強調。気になる水蒸気透過性も板厚30μmでも10-3g/m2/dayクラスが得られる。

GSIクレオスが有機薄膜太陽電池とペロブスカイト太陽電池向けで新材料を提案

HTL
PCE(%)
Voc(V)
Jsc(mA/cm2)
FF
BM-HTL-1
13.91
0.82
18.61
0.73
PEDOT:PSS 7.05 0.55 16.20 0.63
MoOx
12.84
0.81
18.11
0.70

表1 ホール輸送材料と試作デバイス特性の関係

 有機薄膜太陽電池向けでは、Brilliant Matters(カナダ)の有機材料を販売しているGSIクレオスが新たなホール輸送材料「BM-HTL-1」を提案した。既存のMoOxやPEDOT:PSSに代わる材料で、5.6eVと仕事関数が高いのが特徴。アルコール分散タイプなので各種ウェットコート法で容易に成膜できる。明確なメカニズムは明らかにしなかったが、表1のように試作デバイス(ITO透明電極/ZnO電子輸送層/PTQ-10:Y6-12バルクヘテロジャンクション有機半導体層/ホール輸送層/Ag電極)ではPEDOT:PSSホール輸送層デバイスはもちろんのこと、MoOxホール輸送層デバイスよりも特性が高いことが確認された。


写真3 ペロブスカイト太陽電池用透明導電フィルム
 同社はペロブスカイト太陽電池向け透明導電フィルム「Nabil 940」も紹介。PETフィルム上に屈折率層、ITO系透明導電層、電荷輸送層、保護層を積層したマルチレイヤーフィルムで、83%以上という可視光透過率を確保。R=1oで曲げテストを1万回繰り返しても寸法変動10%以下というフレキシブル性を実現した。

驚異的な特性が得られる酸化物薄膜が

 一方、物質・材料研究機構(NIMS)は「金に匹敵する導電性、7eV超の仕事関数、クォーツ並みの強度を持つ酸化物薄膜」と題したオリジナル酸化物薄膜を発表した。発掘したのはPdCoO2とPtCoO2で、電気抵抗率は4μΩ・cmとAg、Cu、Auに次ぐ導電性を誇る。また、仕事関数は7.8eVと既知物質では最高値をマーク。さらに、大気中でも800℃という耐熱性を誇る。


写真4 新たな酸化物薄膜の成膜サンプル
 どちらもPd-Coに代表される市販のターゲット材を用い、O2ガスをパージしてスパッタリング成膜することができる。その結果、グレインサイズ200nm程度のC軸配向した多結晶膜が得られる。さらに、表面平滑性もRms=0.4nmと高い。加えて、可視光、近赤外光透過率とも80%以上と高い。写真4は公開した小型成膜サンプルで、膜厚が30nmと厚いためブラウンがかっていたが、数nm膜厚にすればほぼ透明になる。

 課題は成膜温度が700℃と高いことで、これより低いとアモルファス膜もしくは結晶性の低い多結晶膜になる。ちなみに、電極用途などパターニングが必要な場合は耐腐食性が高いため、反応性イオンエッチング法などドライエッチング法でパターニングする必要がある。

木目調の壁面に映し出されるディスプレイシステムが登場


写真5 透過加飾フィルムの使用例
 最後にシステム系のトピックスでは、TOPPANが完全オリジナルの透過加飾フィルム「ダブルビューフィルム」をアピールした。写真5-左のように非点灯時は木目調のインテリア、右のようにディスプレイ表示時は画像が浮かび上がるように表示される仕組み。システムは有機ELディスプレイやTFT-LCDといったサイネージディスプレイ、アクリルシート、加飾インク面からなる。つまり、加飾インクによって加飾性を付与する。同社はモニターシステムとして43型、50型、55型をラインアップ。55型でも価格は200万円とオリジナルインテリア兼モニターとしてはさほど高くないように感じた。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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