内製したモーションコントローラーとヘッドの剛性を高めることにより、従来のACサーボモーターでは不可能だった2.5nm分解能を実現しました。その応用第一弾として、高さや膜厚といったZ方向のスケールを高精度で測定できるZ方向測定ユニット「Inspect Vision」を製品化します。
Inspect Visionはレーザー変位計に代表される従来法とはまったくメカニズムが異なります。位置決め分解能2.5nmという高精度モーションコントローラーによって対物レンズ〜ワーク間のディスタンスを微調整し、捉えた画像を元に膜厚などのZ方向スケールを算出します。
具体的には、まず測定したい構造物がないポイントを基準にして、その部分に焦点を合わせます。パソコン画面上で測定ポイントを指定し、任意のサイズにします。この際、サイズを大きくするとサンプルポイント数が増えるため、測定精度が向上します。もちろん、エリア内のサンプル解像性、つまりエリア中に何個のサンプルを設けるかはあらかじめ設定できます。この後、測定したいポイントにエリアを指定しオートフォーカスをかけると、両者の差分が画面上にデジタル表示される仕組みです。すなわち、焦点深度を浅くしてオートフォーカス処理したデータを独自アルゴリズムによって統計処理して高さ方向のスケールを測定します。測定時間は設定するエリアサイズによりますが、1分程度です。
測定精度は搭載する対物レンズ次第ですが、焦点深度の精度以上の精度で測定可能です。例えば×50レンズを用いれば精度表示分解能2.5nmで±0.1μmクラスのプレシジョンが得られます。測定メカニズムから100nm以下の膜厚を測定することは困難ですが、1μm以上ならば高精度測定が可能です。非接触スケーリングが可能なほか、レーザー変位計のように外乱に精度が左右されることもありません。このため、従来法とは測定精度が1桁違うといえます。
Inspect Visionはステラの要素技術であり、さまざまなシステムにインストールすることが可能です。例えば、XY座標測定装置「STシリーズ」に搭載すればXYZ測長装置にシステムアップします。この場合、あらかじめ測定ポイントを設定しておけば自動的にZ方向スケールを測定できます。また、ヘッドもしくはXYステージをスキャンしてワーク全体をスキャニングすれば、設計データと比較するCAD toダイレクト外観検査が可能になり、AOI検査装置にも発展します。リペア装置にも導入可能で、この場合、5μm以下の微細ショート欠陥を位置合わせ精度10nm以下でリペアできるようになります。
そのほか、R&Dツールとしてユニット単体なら手軽にZ方向スケールが測定できるシステムに。写真はポータブルタイプのデモ機で、USBで接続すればノートPC上で測定作業をすることができます。もちろん、XYステージを装着することも可能です。