STELLA通信は潟Xテラ・コーポレーションが運営しています。

FPD/PCB NEWS〜8月30日
 

東大 半導体製造プロセスの現像前超高速検査技術を開発


▲通常の半導体製造プロセスと、今回開発したLaser-PEEMを用いた高速検査プロセス
 東京大学物性研究所の藤原弘和特任研究員(現・同大学大学院新領域創成科学研究科特任助教)、バレイユセドリック特任研究員(現・日立ハイテク)、大川万里生特任研究員、同大学大学院新領域創成科学研究科の谷内敏之特任准教授らによる研究グループは、半導体製造のリソグラフィプロセスに欠かせないレジスト材料に化学的に刻まれた潜像を世界最高スループットで可視化することに成功した。

 3nm以下の高い空間分解能を有するレーザー励起光電子顕微鏡(Laser-PEEM)を用いることで、レジストに描画された潜像を高速検査できることを立証。見積もられたスループットは現在検査に用いられている走査型電子顕微鏡(SEM)のレジストパターン観察の1万倍で、半導体の検査プロセスの短縮化に貢献することが期待される。

FPD/PCB NEWS〜8月29日
 

京セラ 長崎諫早工場の建設開始にともない地鎮祭を実施


▲完成予想イメージ
 京セラは、新たな生産拠点となる長崎諫早工場(長崎県諫早市)の建設着工にあたり地鎮祭を行ったと発表した。

 同社は2023年4月、長崎県ならびに諫早市と立地協定を締結し、用地1区画(約5万7,000m2)を2023年12月に、残りの1区画(約9万3,000m2)を2024年6月に取得。第1工場は地上6階建延床面積8万799m2で、2026年度からファインセラミック部品や半導体パッケージなどを順次生産する。投資額は2028年度までの計画で約680億円。

FPD/PCB NEWS〜8月28日
 

東北大 時間領域核磁気共鳴を用いた分析手法によりナノ粒子界面の僅かな違いを短時間で数値化

 東北大学多元物質科学研究所の高井千加准教授らの研究グループは、時間領域核磁気共鳴(TD-NMR)を用いた分析手法によりナノ粒子界面のわずかな違いを短時間で数値化することに成功した。試料の前処理が不要で、そのまま装置にセットすれば約20秒で測定が完了する。

 研究開発だけでなく、ナノ粒子からなる高機能材料品質管理での活躍などナノ粒子実用化の一助になると期待される。

FPD/PCB NEWS〜8月21日
 

GSアライアンス セルロースナノファイバーから量子ドットを合成

 GSアライアンスは、内製しているセルロースナノファイバー、リグノセルロースナノファイバーなどを原料にして量子ドットを合成することに成功した。太陽電池、ディスプレイ、生体イメージング、バイオマーカー、医療画像装置、量子コンピューター、セキュリティタグ、セキュリティインク、偽造防止、量子ドットレーザー、トランジスタ、フォトニック結晶、LED、高密度固体メモリー、熱電材料など幅広い用途が見込めるという。

FPD/PCB NEWS〜8月19日
 

東海理化 名城ナノカーボンと資本業務提携

 東海理化は、新規事業領域の拡大を狙う「未来創造投資」の一環として高品質カーボンナノチューブ(CNT)を開発・製造する名城ナノカーボン(MNC)と資本業務提携を締結したと発表した。

 今後、MNCの保有する高品質CNT製造技術と、東海理化が車載部品で培って来た製品開発力、量産マネジメント力を活かし、糸状のCNTを用いた熱電変換素子などの商品の企画・開発・生産を行う。

FPD/PCB NEWS〜8月13日
 

名古屋大 金属ナノワイヤーの大量成長を実現しその原理を解明

 名古屋大学大学院工学研究科の木村康裕助教、崔助教、徳悠葵准教授、巨陽教授(研究当時、現中国浙江大学)らの研究グループは、薄膜内極細結晶粒を制御することにより金属原子の大量輸送原理を発見し、原子拡散を活用したアルミニウムナノワイヤーの大量森状成長法を開発した。

 イオンビーム照射で金属薄膜の結晶粒分布を制御し、原子輸送のための特異な応力場を与えることにより、狙った場所に純金属ナノワイヤーを成長させることに成功した。この成果はこれまで偶発的で少量にしか成長させられなかったボトムアップ的金属ナノワイヤー成長法の道を拓くもので、有機材料のカーボンナノチューブや半導体ナノワイヤーに続く金属の原子スケールモノづくり技術の出発点になることが期待される。

FPD/PCB NEWS〜8月9日
 

東大 ポリウレタンを選択的に分解する触媒を開発

 東京大学大学院工学系研究科の野崎京子教授、岩崎孝紀准教授、山田悠斗大学院生、内藤直樹技術補佐員(研究当時、現ハーバード大学大学院生)の研究グループは、独自開発した触媒により水素分子を用いてウレタンを選択的に分解することに成功した。

 従来の水素化分解ではウレタンのカルボニル基はメタノールまで水素化分解されるのに対し、カルボニル基を含む分解生成物(ホルムアミド)が得られ、ポリウレタンの新たなケミカルリサイクル手法になると期待される。実際に、開発した触媒をポリウレタンの分解に応用したところ、水素分子の付加によってウレタン結合を切断し、リサイクルが容易な化合物へ分解できることが確認された。

FPD/PCB NEWS〜8月8日
 

大日本印刷 泉崎工場の太陽電池用封止材生産能力を2倍に増強

 大日本印刷は、泉崎工場(福島県西白河郡)の太陽電池用封止材生産能力を2023年比2倍に増強すると発表した。投資額は約30億円で、2025年に稼働させる予定。

 同社Pは今回の設備増強のほか、「DNP太陽光発電所用反射シート」などの周辺部材の製品開発を進め、太陽電池関連部材事業で2027年度に年間200億円の売上を目指す。

FPD/PCB NEWS〜8月7日
 

レゾナック AI活用の最先端シミュレーション技術で半導体材料開発を加速

 レゾナックは、材料開発のためのシミュレーションとして一般的に用いられる計算手法「第一原理計算」と人工知能(AI)を融合した新しいシミュレーション技術「ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)技術」をCMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムのシミュレーションに導入したと発表した。

 NNP技術はこれまで難しかった化学反応のシミュレーションを第一原理計算と同程度の精度を維持しながら、10万倍以上の速度で実施できる技術。同社はこの技術により複雑な半導体製造プロセスで起きている材料の挙動を解明し、迅速な新材料創出につなげる。

FPD/PCB NEWS〜8月6日
 

積水化学とTERRA 千葉県匝瑳市でフィルム型ペロブスカイト太陽電池を営農型太陽光発電の共同実証実験を開始


▲局面レンズ型に配置したフィルム型ペロブスカイト太陽電池
 積水化学工業とTERRAは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に設置するため、千葉県匝瑳市で国内初の共同実証実験を開始した。

 積水化学はフィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築。さらに、発電効率15%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、さらなる耐久性や発電効率の向上、1m幅の製造技術の確立に向けて開発を加速させている。

 一方、TERRAは営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に特化して自社発電事業・EPC・コンサルティング・部品開発を行う会社。グループ会社の市民エネルギーちば(株)が持つペロブスカイト太陽電池を前提とした断面がレンズ状のモジュールに関する特許の占有権を保有。これまで蓄積してきた超細型の構造設計や係留方法などのノウハウを活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を曲面レンズ型に配置することで、ソーラーシェアリングに導入できると考え、今回の実証に取り組むことにした。

FPD/PCB NEWS〜8月5日
 

東大 自己修復する触媒を開発

 東京大学大学院理学系研究科の北之園拓助教、小林修教授らの研究グループは、反応中に失活しても外部エネルギーを加えることなく、自発的に自己修復する触媒を開発した。
 キラルルイス酸触媒はその高い反応性と選択性制御能力から有機合成において重要な役割を果たしてきたが、金属イオンの加水分解による触媒劣化が課題だった。とくに、高ルイス酸触媒は水分子との強い結合により加水分解のリスクが高く、安定性の向上が求められていた。

 今回の研究では、双性イオン構造に基づく分子設計によりこれらの課題を克服。設計された触媒は理論的・実験的に高い安定性を示し、緩衝作用により塩基性条件下でも加水分解が抑制されることを明らかになった。

FPD/PCB NEWS〜8月2日
 

ジャパンディスプレイ Dual Touch付き高画質2VD製品を開発

 ジャパンディスプレイは、見る方向により異なる二つの映像を表示する2Vision Display(2VD)の画質を向上し、車載用途で求められる画質に対応する2VD製品を開発したと発表した。さらに、運転席・助手席からのタッチ操作を識別できる機能(Dual Touch)も搭載し、1枚のディスプレイをあたかも別々の2枚のタッチ機能付きディスプレイのように利用できるDual Touch付き高画質2VD製品を開発した。

 2025年以降に発売される自動車への搭載を目指し、世界各国の自動車メーカーと商談中だという。