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FPD/PCB NEWS〜7月31日
 

東芝 仏の量子技術領域特化型ベンチャーキャピタルファンドへ出資

 東芝は、世界最大級の量子技術領域特化型ベンチャーキャピタルQuantonation Ventures社(フランス)の投資ファンド「Quantonation II」に出資すると発表した。出資を通じて、Quantonation Venturesやその投資先企業と連携し量子技術の研究開発を加速するとともに、量子技術を活用した新規事業の創出を目指す。

 Quantonation Venturesは、2018年設立の量子技術領域に特化したベンチャーキャピタル。量子技術分野の研究開発・ビジネスに精通しており、グローバルで投資。総額9100万ユーロ規模の第1号ファンド「Quantonation I」では、スタートアップ企業27社へ出資している。

 東芝は、第2号となる投資ファンド「Quantonation II」に出資することにより量子コンピュータ、量子センサー、量子暗号通信装置などの主要技術領域におけるスタートアップ企業と連携するとともに、協業機会の創出や量子関連事業拡大につなげていく。

FPD/PCB NEWS〜7月29日
 

京大、東大、東北大 無秩序なガラスに潜む秩序の可視化に成功

 京都大学大学院工学研究科材料化学専攻ガラス基礎科学講座の増野敦信特定教授、東京大学生産技術研究所の井上博之教授、東北大学未踏スケールデータアナリティクスセンターの志賀元紀教授らの共同研究グループは、原子配列に秩序がないと思われていたガラスに潜む秩序を抽出し可視化することに成功した。

 研究グループは、これまで無容器法を用いることでネットワークを形成しないような組成で優れた機能をもつガラスを合成。従来のガラス科学の考え方ではこれらは「変な」ガラスだが、今回、新たに開発した可視化手法で解析したところ、結晶のように秩序性の高い原子配列であることがわかった。歪んで乱れた原子配列と思われていた変なガラスが、実は一般的なガラスよりもずっと結晶に近い「高秩序ガラス」だったのである。結晶の原子配列から少しずれたことがガラス形成を促し、機能発現をもたらしたと考えられる。

FPD/PCB NEWS〜7月26日
 

YKK AP ペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電の実証実験を開始


▲Akiba ZERO BOX
 YKK APは、千代田区およびAkiba.TVと締結した「建材一体型太陽光発電による再生可能エネルギー性能の実証実験に係る連携に関する協定書」に基づき、秋葉原駅前広場に既存ビルのミニチュアとして製作した実証実験ハウス「Akiba ZERO BOX」を設置し、ペロブスカイト太陽電池を用いた「建材一体型太陽光発電(BIPV)」の日射量や発電量のデータ収集を行う実証実験を開始したと発表した。

 トレーラーハウスを既存ビルのミニチュアとして製作したAkiba ZERO BOXを秋葉原駅前広場に設置。ハウスの屋根はビルの屋上に見立ててシリコン系太陽光パネル、窓部には透過性のあるガラスタイプのペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電を実装。期間中、千代田区の情報を発信するインフォメーションセンターの役割も担うハウスの維持・運営に必要な電力を自給するとともに、総発電量の検証を行う。実施期間は7月25日から10月20日まで。

FPD/PCB NEWS〜7月25日
 

OKIサーキットテクノロジー 上越事業所に最先端半導体対応の超高多層プリント配線板製造ラインを新設


▲高精細エッチングライン
 OKIサーキットテクノロジーは、最先端半導体用製造・検査装置向けの超高多層PCB回路形成ラインを上越事業所(新潟県上越市)に新設し、本格稼働を開始したと発表した。新ラインではビアピッチ0.23mmに対応可能な高精度・高精細回路形成を実現するとともに、従来比約1.4倍の生産能力と多品種少量生産対応力を強化した。

 今回の設備投資では、上越事業所内の製造エリアを3,300m2増床(従来比約1.2倍)し、極薄材料対応表面処理ラインを新設するとともに、ダイレクトイメージ装置を増設した。また、AOI自動検査装置を移設して回路形成プロセスの動線を最適化し、生産品質を向上させるとともに、生産能力を従来比約1.4倍に高めた。さらに、0.03mmの極薄材料から8mmの厚板材料までの自動搬送・ダイレクトイメージ装置の増強により、高精度回路形成と高精細エッチングラインによる線幅精度向上を実現した。合わせて、高精度穴明け装置の増設により極小径穴加工(φ0.10以下)の能力を高め、110層を超える超高多層、高精細基板の提供が可能となった。

FPD/PCB NEWS〜7月19日
 

SCREENと阪大 吹田キャンパス内に「SCREEN未来協働研究所」を開設

 SCREENホールディングスと大阪大学大学院工学研究科は、半導体分野・新規研究開発分野における中長期的な研究開発を強化し事業成長に貢献するイノベーションを共創するため、7月1日、大阪大学吹田キャンパス内に「SCREEN未来協働研究所」を開設した。

 協働研究所は、両者がこれまで進めてきた共同研究をより深化させ中長期にわたって連携・展開することで、シミュレーションと実験の融合による先端プロセス開発を推進。また、新規研究開発テーマにおいても大阪大学が進める研究とSCREENの事業戦略を結びつけることで、新たな技術の創出と社会実装を目指す。さらに、協働研究所を通じた人材育成を進め、専門性の高い若手人材を育てることで産学連携のさらなる強化を図る。

FPD/PCB NEWS〜7月18日
 

東大と信州大 超原子価ハロゲン化合物の超脱離能を用いた精密反応設計によりm-ベンザインを常温常圧で化学合成

 東京大学大学院薬学系研究科(兼 信州大学先鋭材料研究所)の内山真伸教授、宮本和範准教授(現・慶應義塾大学薬学部教授)、小山田健太大学院生(研究当時)らによる研究グループは、超原子価ハロゲン化合物の超脱離能を用いた精密反応設計によりm-ベンザインを世界で初めて常温常圧で化学合成することに成功した。

 ベンゼン環内に拡がる反転σ結合の存在を含むm-ベンザインの物理化学的性質ならびに合成化学的特性を初めて明らかにした。ベンザインの合成化学の最後のピースを補完した本研究成果は、反転σ結合をはじめとする準安定結合や面内芳香族性の本質的理解に貢献するとともに、医薬品や機能性材料の合成に役立つことが期待される。

FPD/PCB NEWS〜7月10日
 

アオイ電子とシャープ シャープ三重工場に半導体先端パネルパッケージ生産ラインを構築


▲シャープ三重事業所の第1工場
 アオイ電子、シャープ、シャープディスプレイテクノロジーは、シャープの液晶パネル工場建物・施設を活用したアオイ電子による半導体後工程生産ライン構築を推進することで合意し、基本合意書を締結したと発表した。

 生産ラインは、シャープ三重事業所の第1工場(延床面積約6万m2)に設置。アオイ電子は2024年中に半導体先端パネルパッケージ生産ラインの構築に着工し、2026年中の本格稼働を目指す。パネル生産能力は2万枚/月。

 アオイ電子は既存工場を活用することで生産ラインの早期構築・稼働を図り、チップレット集積パッケージ、チップ埋め込み型パワーパッケージ、5G/6G/ADAS用高周波パッケージをタイムリーに提供する予定。

FPD/PCB NEWS〜7月9日
 

積水化学 大阪本社でペロブスカイト太陽電池に蓄電池ユニットを接続し電力供給システムを運用

 積水化学工業は、大阪本社(堂島関電ビル)に実装したフィルム型ペロブスカイト太陽電池付き建材パネルに積水化学製蓄電池ユニットとニチコン製パワーコンディショナを追加実装し、館内で再生可能エネルギーとして利用する運用を開始した。

 積水化学が入居する堂島関電ビルは大規模リニューアル工事中で、2025年5月に完成する予定。一部フロアで部分的にリニューアル工事が完了したため、昨年設置したペロブスカイト太陽電池に蓄電池ユニットとパワーコンディショナを追加実装し、11階コワーキングスペースへの接続を完了した。

 発電した電力を蓄電池ユニットに貯留、館内のコワーキングスペースのコンセントなどで利用する電力供給システムとして稼働。万が一の停電時には非常用電源としても活用可能となっている。

FPD/PCB NEWS〜7月8日
 

東工大と東北大 完全水和と大量の酸素空孔により新六方ペロブスカイト関連酸化物を創製

 東京工業大学理学院化学系の八島正知教授、松崎航平大学院生(研究当時)、齊藤馨大学院生は、中低温で世界最高クラスのプロトン(H+、水素イオン)伝導度を示す新物質Ba5Er2Al2SnO13を創製・発見した。また、東北大学金属材料研究所の南部雄亮准教授、池田陽一助教と共同で中性子回折データを測定し、結晶構造を明らかにした。さらに、第一原理分子動力学シミュレーションを行い、高いプロトン伝導度の原因を解明した。

 今回の研究では、六方ペロブスカイト関連酸化物の新物質群Ba5R2Al2SnO13(R = Gd,Dy, Ho, Y, Er, Tm, Yb)を創製・発見。なかでも、Ba5Er2Al2SnO13は世界最高クラスのプロトン伝導度、高い安定性と完全水和を示した。結晶構造解析やシミュレーションの結果、酸素空孔が大量に存在するBaO層で完全水和が起こるためプロトン濃度が高いこと、[ErO6-ZrO6-ErO6]八面体層においてプロトンが高速移動することが高いプロトン伝導度の原因であることがわかった。

FPD/PCB NEWS〜7月5日
 

東大 微細藻類によってマイクロマシンを駆動する方法を開発


▲クラミドモナスで駆動するマイクロマシン
 東京大学大学院情報理工学系研究科の竹内昌治教授、小田悠加特任助教、清水直人大学院生(研究当時)らを中心とする研究グループは、小さな構造体を微生物によって動かす手法を開発した。

 微生物の中でも推進力の大きなクラミドモナスの鞭毛の運動性を阻害することのないトラップ構造を考案。さまざまな微細構造へ組み込むことが可能になった。マイクロロボットの駆動や微生物の運動理解のツールへの応用が期待される。

FPD/PCB NEWS〜7月4日
 

出光興産、東大、阪大、産総研 常温常圧で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能を達成

 出光興産、東京大学、大阪大学、産業技術総合研究所(産総研)は共同研究で、空気中に多量に存在する窒素と水から常温常圧で進行するアンモニアの連続電解合成で世界最高性能を達成した。

 常温・常圧下の窒素・水・電気でアンモニアを連続的に製造できることをラボスケールで実証した。100年以上の歴史を持つ現在の製造方法(ハーバー・ボッシュ法)に替わり、アンモニア製造工程におけるカーボンフリーの実現に弾みをつける技術となる。

 今回の研究開発では、東京大学大学院工学系研究科の西林仁昭教授らが開発したモリブデン触媒を応用。このモリブデン触媒に適した電解合成技術により、電解合成に使用する電極の単位面積当たりのアンモニア生成速度が従来技術に比べ20倍向上し、世界最高性能を達成した。