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FPD/PCB NEWS〜9月29日
 

京大 共同研究により巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物を発見

 京都大学大学院工学研究科難波杜人博士課程学生、高津浩准教授、陰山洋教授らの研究グループは、大阪大学理学研究科、広島大学、東北大学、物質・材料研究機構、マドリード・コンプルテンセ大学、サラゴサ大学との共同研究により、水素層と酸素層が交互に積み重なった新しいペロブスカイト型の酸水素化物を合成することに成功した。

 この酸水素化物に対し外圧や薄膜基板からの応力を与えたところ、水素層から酸素層へ電子が移動することにより、ネオジム磁石に匹敵する巨大な磁気異方性とともに、この異方性が応用面で重要な垂直方向に現れることを発見した。ペロブスカイト構造ではさまざまな遷移金属や希土類が入ることが知られ、このような水素層と酸素層の協奏効果を使って多彩な機能が創発することが期待される。

FPD/PCB NEWS〜9月26日
 

GSIクレオス 革新的多機能材料創製に向けた共同研究開発事業を開始

 GSIクレオスは、海洋研究開発機構、高度情報科学技術研究機構とともに地球環境負荷の軽減に向けたグローバルなアプローチとして、あらゆる産業セグメントに関わる「エネルギー効率の向上」や「省エネルギー」を実現する「グリーン・トライボロジー」の共同研究開発事業を開始すると発表した。

 この革新的共同研究開発は、防衛装備庁の「令和5年度安全保障技術研究推進制度」大規模研究課題タイプSにおいて課題名「実験・計算科学の融合による革新的塗膜創成と機序解明の基礎研究」として採択され、5年間に及ぶ支援を受けて実施される。

 共同研究開発事業では、ミクロ・マクロ領域における実験科学とAIやスーパーコンピュータを駆使した計算科学を融合し、ナノ炭素の微量添加により発現する多機能材料を創製する。例えば、深海のような超高圧雰囲気や宇宙空間のような真空雰囲気など超過酷環境での適用可能性を追求するとともに、電子顕微鏡の新規評価法を開発し、その活用により多機能性発現の起源解明を目指す。

FPD/PCB NEWS〜9月24日
 

東工大、阪大、富山大、静岡大 1.5Vの乾電池1本で光る青色有機ELを開発


 東京工業大学科学技術創成研究院フロンティア材料研究所/大阪大学接合科学研究所の伊澤誠一郎准教授(科学技術振興機構さきがけ研究者兼務)、富山大学の森本勝大准教授、静岡大学の藤本圭佑助教らの研究グループは、乾電池(1.5V)1本をつなぐだけで光る青色有機ELの開発に成功した。

 2種類の有機分子の界面でアップコンバージョン過程を起こす独自の発光原理を用いた。この有機ELは波長462nmの青色発光が電圧1.26Vから認められ、1.97Vでディスプレイ程度の発光輝度に到達した。このような超低電圧での青色発光は青色LEDでも不可能なため、有機・無機材料、双方を含めても世界最小電圧で光る青色発光素子といえる。

FPD/PCB NEWS〜9月19日
 

東京都市大 変換効率30%に迫る曲げられるペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池の作製技術を開発

 東京都市大学理工学部電気電子通信工学科の石川亮佑教授は、エネルギー変換効率30%に迫る曲げられるペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池の作製技術を開発した。

近年、変換効率の向上に向け、異なる種類の太陽電池を重ね合わせて発電する「タンデム型太陽電池」(※1)の開発が世界的に加速しており、ペロブスカイトとシリコン型の組み合わせでは、30%以上の変換効率が達成されています。一方、通常この組み合わせでは、ボトムセルに200μm程度の厚さがあるシリコンウエハーを用いるため、ペロブスカイトの特徴である薄くて曲がるという特性(フレキシブル性)が活かされないことが課題となってきました。

 開発した作製技術は、ボトムセルであるシリコンヘテロ接合太陽電池のシリコンウエハー厚を83μm程度まで薄くするもので、結晶シリコン太陽電池の表面マイクロテクスチャ上にペロブスカイト太陽電池を塗布法で作製。これによりペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池にフレキシブル性を付加するとともに軽量化も達成し、従来の太陽電池では設置困難だった場所への設置を可能にした。また、エネルギー変換効率もセル面積1cm2において26.5%を達成、従来のペロブスカイト太陽電池以上の高効率化を実現した。

FPD/PCB NEWS〜9月13日
 

ウシオ電機 Photo electron Soulへ出資し半導体フォトカソードシングル電子ビームの総代理店契約を締結

 ウシオ電機は、次世代電子ビーム生成技術を保有するPhoto electron Soul(PeS)へ出資し、電子ビーム方式半導体ウェハーパターン検査装置に搭載される半導体フォトカソードシングル電子ビーム生成システムの総代理店契約を締結したと発表した。

 PeSは2015年設立の名古屋大学発ベンチャーで、産業用半導体フォトカソード電子ビームシステムの開発に成功。同社の半導体フォトカソード技術を用いた電子ビームは輝度の高い光源や加工ツールとして注目されており、半導体検査領域や電子顕微鏡、3Dプリンティングなどでの活用が見込まれている。

 ウシオはPeSが保有するシステムに着目。出資するとともに独占販売権を取得した。これにより、11月より半導体製造向けの検査装置メーカーや半導体デバイスメーカーへの販売活動を開始する予定。

FPD/PCB NEWS〜9月12日
 

東北大、九大、都立大 無機機能性材料の特性を向上させる手法を開発

 東北大学多元物質科学研究所 中村崇司准教授、山本孟助教、木村勇太助教、勝又琢也大学院生、雨澤浩史教授、九州大学 麻生亮太郎准教授、東京都立大学 山添誠司教授らの研究グループは、電気化学を材料合成に応用することでアニオン組成を容易に幅広く制御する技術を開発した。従来技術では困難なアニオン組成の精密制御、極限的な反応条件での新材料探索を可能とするもので、まったく新しいアニオン組成制御型機能材料の創出につながることが期待される。

FPD/PCB NEWS〜9月8日
 

東大 高分子溶液系の相分離の謎を解明

 東京大学の研究グループは、ネットワーク構造の形成をともなう高分子溶液の相分離に関して高分子鎖が長い、もしくは相分離温度が低い場合、相分離の速度に比べ高分子鎖の動きが遅いことに由来する粘弾性効果により、相分離構造の自己相似的な成長が妨げられることを突き止めた。高分子溶液の相分離現象は、ネットワーク構造を形成する工業プロセスや細胞内相分離現象においても重要な役割を果たすことが知られており、研究で得られた知見は広範な分野にインパクトを与えると期待される。

FPD/PCB NEWS〜9月5日
 

産総研 チタン酸バリウムナノキューブ単層膜とグラフェンの交互積層プロセス技術を開発

 産業技術総合研究所(産総研)は、誘電体材料であるチタン酸バリウム(BTO)の立方体単結晶(ナノキューブ)単層膜と多層グラフェン膜の交互積層プロセス技術を開発した。

 開発した技術では、約20nmサイズのBTOナノキューブを二次元的に規則配列させた単層膜と、2〜3nmの厚さの多層グラフェンを交互に重ね合わせた極めて薄い積層構造を作製。積層セラミックコンデンサ内部の誘電層と電極層の交互積層構造を薄層化する基盤技術として期待される。

FPD/PCB NEWS〜9月4日
 

村田製作所、石原産業、富士チタン工業 合弁会社MFマテリアルを設立

 村田製作所、石原産業、富士チタン工業は合弁会社「MFマテリアル」を設立した。

 資本金は1億円で、本社を宮崎県延岡市に設置。チタン酸バリウムの生産能力を増強するため、2027年に新工場を稼働させる予定。

FPD/PCB NEWS〜9月1日
 

AGCと三菱ガス化学 ガラス製造時に発生するCO2を原料とした環境循環型メタノールの製造を検討

 AGCと三菱ガス化学は、三菱ガス化学が開発したメタノール製造技術を適用し、AGCの建築用ガラス製造時に発生するCO2を原料としたメタノールの製造・販売を検討することで合意した。AGC鹿島工場で2030年頃までに事業化する目標で、ガラス製造時に発生するCO2を有効活用した環境循環型メタノールを製造・販売するのは世界初となる。

 日本最大規模の建築用ガラス製造設備で発生するCO2をメタノールに変換し、製造・販売する予定。