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FPD/PCB NEWS〜12月27日
 

東北大 高い強度と熱伝導性を合わせ持つ複合酸化物分散強化銅合金を開発

 東北大学の研究グループは、メカニカルアロイング法によってイットリウムとジルコニウムの複合酸化物をナノサイズの分散粒子として銅中に混合した酸化物分散強化銅合金を開発することに成功した。

 新合金は、従来のイットリウム酸化物を分散粒子とする合金の1.5倍の強度を保有。また、強度上昇にともなう熱伝導特性の低下を抑制するための合金製造や熱処理の条件に関する指針が得られた。

FPD/PCB NEWS〜12月24日
 

NIMS 室温で量子輸送可能なCNTトランジスタを作製

 物質・材料研究機構(NIMS)を中心とする国際共同研究チームは、個々のカーボンナノチューブ(CNT)に対し局所的にらせん構造を変化させ金属-半導体転移を制御することにより、CNT分子内トランジスタを作製することに成功した。

 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてその場観測しながら、CNTを加熱し機械的なひずみを与え局所的にらせん構造を変化させてCNTの電子物性を制御した。そして、CNTの金属伝導から半導体伝導への転移をコントロールし、金属CNTのソースとドレインの間に半導体CNTナノチャネルを共有結合させたナノチューブトランジスタを実現した。作製したナノチューブトランジスタはチャネル長がわずか2.8nmで、室温での量子輸送であることが実証された。

FPD/PCB NEWS〜12月23日
 

東大、理研 秩序と乱れが共存した液晶性有機半導体を開発

 東京大学、理化学研究所らの研究グループは、分子配列の秩序と乱れが共存した高性能な液晶性有機半導体を開発した。

 有機半導体分子の置換基に多彩な制御を施す分子設計をもとに、高性能な液晶性有機半導体を開発。さらに、得られた液晶性有機半導体の内部で分子配列の秩序と乱れが共存する様子をクライオ電子顕微鏡を用いた電子線構造解析技術により捉えることに成功した。

FPD/PCB NEWS〜12月21日
 

東北大と三井金属 銅微粒子の有機物フリー合成技術を開発

 東北大学と三井金属鉱業は、銅微粒子を環境に優しい条件(有機物フリー、水中、大気下、室温)で合成するプロセスを新たに開発した。

 水溶性の卑金属塩を用いて銅微粒子を合成した。得られた銅微粒子は有機物を含有していないため、焼成した際に極めてガス発生量が少なく、また低温で焼結する。

FPD/PCB NEWS〜12月20日
 

信越化学 ウエアラブルデバイス向けとして生体ドライ電極と高伸縮性配線材料を開発

 信越化学工業は、心拍数や心電波形などの生体情報を身体に装着したまま測定して送信するウエアラブルデバイスの特性向上に資する生体ドライ電極と高伸縮性配線材料を開発したと発表した。

 生体ドライ電極はウエアラブルデバイスで生体信号を取得する入り口の働きをする電極として開発。シリコーンベースのため、装着感、信号取得性能、耐水性に優れる。この生体ドライ電極を用いたヘルスパッチは蘭Holst Centre社と共同で評価したところ、1週間に及ぶ連続装着でも安定した生体信号が得られた。

FPD/PCB NEWS〜12月15日
 

住友化学 大阪、筑波、千葉の研究拠点を再編

 住友化学は次世代事業の創出を加速させるため、2024年秋をめどに大阪地区にインキュベーションとオープンイノベーション拠点として研究棟を建設し、同地区および筑波地区にある研究所の再編について検討を開始すると発表した。また、両地区の新素材研究機能は千葉地区へ移管し、筑波地区研究所を大阪地区と千葉地区へ統合する計画。

FPD/PCB NEWS〜12月14日
 

デクセリアルズ カメラモジュールなどの部品実装に最適な形状加工異方性導電膜を製品化

 デクセリアルズは、特殊な形状にレイアウトされた端子でも効率的な実装を実現する形状加工異方性導電膜(ACF)をリリースしたと発表した。端子のレイアウトが直線状ではないカメラモジュールや各種センサーモジュールなどの回路接続用途に適しており、すでにモバイルIT機器での採用がはじまっているという。

 同社のACFは接着と対向回路の導通、隣接回路間の絶縁が一度に行えるフィルム状の接合材料。FPDへのICチップ実装に広く使われるほか、近年はカメラモジュール、タッチパネル、センサーモジュールなどの回路接続にも用途を広げている。

FPD/PCB NEWS〜12月13日
 

東大、産総研、NIMS、協和界面科学 超高温・大面積ナノ薄膜装置を開発

 東京大学、産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構(NIMS)、協和界面科学の共同研究グループは、100℃を超える高温でも液体のイオン液体を用いたウエットプロセスである超高温Langmuir-Blodgett法(LB法)を開発した。200℃付近の超高温プロセスで電子輸送性が向上する有機半導体分子に適用した結果、高い配向性を有するナノ薄膜の大面積成膜に成功した。

 LB法の利点である液面上での精緻な分子の集合体形成というコンセプトを踏襲しつつ、室温付近に限定されたLB法を200℃に迫る高温まで拡張。この結果、これまでプロセス温度の制約により検討されてなかったさまざまな分子の集合体形成が可能となる。

FPD/PCB NEWS〜12月10日
 

ウシオ電機 高周波デバイス向けRoll to Rollエキシマ照射装置を開発

 ウシオ電機は、フレキシブルプリント基板への高周波対応基材・難接着性基材の接着力向上に最適な高周波デバイス向けRoll to Rollエキシマ照射装置を開発したと発表した。2022年度中に販売を開始する予定。

 LCD用ガラス基板の表面洗浄・改質用途で実績のあるエキシマランプを使った「大気圧で使用可能」、「ドライ処理」、「高速処理」といった特長により、基材表面を粗化することなく、従来工程に後付けすることによりインライン処理が可能になる。

FPD/PCB NEWS〜12月9日
 

宇部興産 COPやFPCD向けで需要が拡大するポリイミドフィルムの工場を増設

 宇部興産は、FPDの回路基板などで需要が拡大しているポリイミドフィルム(商品名:ユーピレックス)の新工場を宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内に建設すると発表した。2024年10月に試運転開始予定で、生産能力は20%アップする。

 ユーピレックスは他のポリイミドフィルムに比べ耐熱性、機械的特性、寸法安定性に優れてるため、TFT-LCDや有機ELディスプレイのCOF(チップ・オン・フィルム)用途で高いシェアを獲得。また、FPC用途でも需要が好調に推移している。新工場は生産性をさらに高める技術を導入し、さまざまなグレードを機動的に生産する工場にする予定。

FPD/PCB NEWS〜12月8日
 

東京エレクトロン 第8世代FPD用プラズマエッチング装置をリリース

 東京エレクトロンは、高精細プロセス向け新チャンバ"PICP Pro"を搭載した第8世代ガラス基板対応プラズマエッチング装置「Impressio 2400 PICP Pro」をリリースすると発表した。

 第6世代向けで販売実績があり、歩留まり向上や量産安定性を実現するプラズマモジュールPICP Proを大型化した。独自開発のPICP高密度プラズマ源による高精度エッチング性能に加え、プラズマ空間の生成エリアが制御可能な新機能によりメンテナンス周期や歩留まりに影響するパーティクルの発生が抑制でき、従来のPICPよりランニングコストが削減できるという。
 

ウシオ電機 大幅に小型化した大気圧プラズマ照射装置を発売

 ウシオ電機は、空冷方式の採用により大幅に小型化した大気圧プラズマ照射装置の販売を開始すると発表した。

 独自のDBD(Dielectric Barrier Discharge、誘電体バリア放電)方式により低消費電力ながら、ポリプロピレン(PP)や液晶ポリマー(LCP)といった樹脂系基板、ガラスなどの無機基材に対し高い洗浄・表面改質効果が得られる。また、プロセスガスのみで冷却可能で、大幅な小型化・軽量化を実現。設置レイアウトの自由度向上や既存設備への追加搭載が容易になるという。

FPD/PCB NEWS〜12月7日
 

東レ マイクロLEDディスプレイ用材料を開発

 東レは、マイクロLEDディスプレイのLEDチップを高速に配列するレーザー転写用材料、LEDと配線の接合プロセスを簡素化する接合材料、ディスプレイの大型化に寄与する基板端部配線材料を東レエンジニアリングと連携して開発したと発表した。マイクロLEDディスプレイに求められる幅広い材料と製造・検査装置を東レグループとしてトータルソリューション提案する。

 レーザー転写用材料を東レエンジニアリングのレーザー転写装置や検査装置と組み合わせて用いることにより、マイクロLEDの製造速度をアップするだけでなく、各LEDチップの色調を考慮した選択的な配置により色ムラのないディスプレイを実現する。

 さらに、感光性導電材料RAYBRIDの技術を発展させ、接合材料と基板端部配線材料を開発した。前者はLEDチップの電極と基板上の配線を接合する材料で、従来に比べ低温・低圧・短時間接合が可能。このため、課題とされていた不良LEDチップの交換が容易など歩留まり改善に寄与する。

 後者は基板の表面から裏面に信号を伝達する材料で、簡便なプロセスで配線を形成することにより複数のディスプレイを継ぎ目なく並べて大型化することができる。

FPD/PCB NEWS〜12月6日
 

長瀬産業とAtomis 資本業務提携し金属有機構造体の開発を推進

 長瀬産業と金属有機構造体(Metal-Organic Framework、MOF)を設計・製造する京都大学発のスタートアップ企業Atomisは、資本業務提携契約を締結した。

 AtomisはMOF設計・製造に特化し、環境に優しく低コストな手法でMOFの量産化に成功。今回の提携では、長瀬産業のネットワークを活かしたMOFの早期社会実装を目標にしており、長瀬産業はMOFの機能による顧客製品の高付加価値化と工場などで排出されるCO2の分離回収に向けた技術開発を推進する。

FPD/PCB NEWS〜12月3日
 

東大 界面の局所的な熱膨張をnmレベルで直接計測

 東京大学の研究グループは、界面における局所的な熱膨張をナノメートル(nm)レベルの高い空間分解能で計測することに成功した。

 異なる結晶が接している界面では、結晶内部と異なる熱膨張が生じていると考えられてきた。いうまでもなく、熱膨張は電子デバイスの故障やインフラ設備の劣化につながる。しかし、これまで界面などの局所的な熱膨張を直接測定する手法はなかった。

 研究グループは、走査透過型電子顕微鏡(STEM)で測定される電子エネルギー損失分光法(EELS)に注目。EELSは電子構造や原子構造に関する情報を与えてくれる分光法で、とくにEELSの低エネルギー領域に現れるプラズモンと呼ばれるスペクトルに注目した。

 プラズモンのピーク位置は電荷密度と関係する。熱によって物質の体積が膨張すると電荷密度も変化することを利用し、プラズモンピーク位置の変化から体積の膨張を検出できると考えた。また、EELSはSTEMを用いて測定されるため、nmレベルの微小な領域から選択的にスペクトルを得ることができる。さらに、プラズモンピークの変化と熱膨張の相関を明らかにするためのシミュレーションも実施した。

 今回の研究では、チタン酸ストロンチウムと呼ばれるセラミックスの2種類の結晶が接する界面の熱膨張の挙動をSTEM-EELSにより調べた。STEM内で700℃まで昇温して、各界面の局所的な熱膨張を計測した結果、一方の界面は結晶内部の約3倍の熱膨張を示し、以前から予想されていた界面における熱膨張にほぼ一致したが、もう一方の界面の熱膨張は結晶内部のわずか1.4倍程度に抑えられていた。

 また、界面の構造をSTEM観察とシミュレーションにより調べた結果、界面と結晶内部では原子の存在する密度が異なり、界面の方が少し疎に原子が存在していた。つまり、界面には結晶内部に比べ余剰の空間(フリースペース)が存在していることになる。

 以上の結果から、すべての界面が結晶内部に比べ同じように大きな熱膨張を示すわけではなく、界面構造に依存した熱膨張を示すため、界面の原子配列を意図通りに作製できれば熱膨張も制御できることが明らかになった。