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FPD/PCB NEWS〜5月28日
 

大日本印刷 顕微鏡画像によって製品の粒子径や形状・表面の状態を解析する「DNP粒子画像解析ソフト」を開発


 大日本印刷は、顕微鏡画像によって製品の粒子径、形状、表面の状態などを解析する「DNP粒子画像解析ソフト」を開発したと発表した。

 AI(人工知能)を利用したディープラーニング技術を適用しているため、画像処理の専門知識がなくても利用できる。微粒子製品を扱う素材や製品メーカーをはじめ、多様な業種の企業、大学その他の研究機関向けに販売する。

FPD/PCB NEWS〜5月26日
 

三菱ケミカル、日本IBM、JSR、慶大 量子コンピュータ実機を用いて有機EL発光材料の励起状態を計算


 三菱ケミカル、日本アイ・ビー・エム、JSR、慶應義塾大学は、IBM Quantum Network Hub at Keio University(慶應大量子コンピューティングセンター内)でかねてより取り組んでいた「量子コンピューターを用いた有機EL発光材料の性能予測」の研究プロジェクトで得られた成果に関する論文がNature Research出版社の専門誌「npj Computational Materials」に掲載されたと発表した。

 研究プロジェクトの目的は、有機EL発光材料のひとつであるTADF材料の励起状態エネルギーを計算すること。従来から量子コンピュータによる計算は実機特有のエラーの発生が課題となっていたが、今回のプロジェクトではエラーを低減させる新たな測定手法を考案し、計算精度を大幅に向上させることに成功した。量子コンピュータ実機を用いて実用材料の励起状態計算に成功したのは世界初で、今後、より発光効率の高い材料設計に寄与することが期待される。

FPD/PCB NEWS〜5月25日
 

東大 キラル分子の高感度・簡便な構造解析法を開発


 東京大学大学院理学系研究科の合田圭介教授が率いる研究グループは、シリコンでできたナノ構造を持つシリコンナノディスクアレイを用いたキラリティを敏感に検出可能な分光計測法を開発した。シリコンナノディスクアレイの構造を最適化することによって、その近傍の光電場のもつ光学キラリティを巧みに制御し、光電場とキラル分子の相互作用の強さを従来の円偏光を用いた手法に比べ100倍まで増大。この結果、ラマン光学活性分光計測の高感度化を実現し、その適用範囲を拡張することに成功した。

 今回の研究ではシリコンナノディスクアレイを開発し、そのダークモードを利用することにより全誘電体のキラル場増強ROAを実証した。また、それをROA分光計測基板として用いることで化学的および生物的な鏡像異性体のペアをそれぞれ測定し、ROA分光測定においてアーチファクトを無視できる程度の大きさに抑えながら、従来ROA分光法と比べて100倍強い相互作用を実証した。

FPD/PCB NEWS〜5月20日
 

ニコンと東北大 ミストデポジション法による透明導電性薄膜の成膜に成功


 ニコンと東北大学多元物質科学研究所は界面活性剤レスで水に安定的に分散するITOナノ粒子を独自開発し、ミストデポジション法により透明導電性薄膜を成膜することに成功した。

 独自開発したITOナノ粒子の水分散液を含む"霧"を用いて透明導電性薄膜を成膜したところ、常圧下、低温熱処理(150℃)の条件で実用的なフレキシブルフィルムが得られた。

FPD/PCB NEWS〜5月19日
 

帝人独子会社 母材にポリフェニレンサルファイド樹脂を使用した炭素繊維プリプレグを開発


 独テイジン・カーボン・ヨーロッパ社(TCE)は、一方向性の炭素繊維プリプレグ「テナックスTPUD(ThermoPlastic UniDirectional)」の新製品として母材にポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を使用したテープ状の炭素繊維プリプレグを開発した。

 新製品は既存のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂を使用した「テナックスTPUD」と同様、耐薬品性、耐熱性、リサイクル性、低吸水性、寸法安定性、高温下での耐クリープ性、短時間成形や室温での貯蔵・出荷が可能などの特性を備えながら、PEEK樹脂やPAEK樹脂を用いたものよりも低温で成形可能という特長を有する。このため、要求特性の厳しい航空機用途や自動車用途をはじめ、石油・ガス産業用途、スポーツ用途、医療用途、産業機械用途などに向けたソリューション展開が可能となる。

FPD/PCB NEWS〜5月17日
 

DNP SID Display Week 2021にバーチャル展示ブースを出展


 大日本印刷(DNP)とDNPアメリカは、5月17〜21日にオンラインで行われる世界最大級のディスプレイ学会「SID Display Week 2021」にバーチャルな展示ブースを出展すると発表した。視野角拡大フィルムをはじめさまざまな機能性フィルムや機能性材料を紹介する。

FPD/PCB NEWS〜5月14日
 

阪大と東北大 スピンと運動量がロックした電子状態を制御できる金属を発見


 大阪大学、東北大学、東京大学の共同研究グループは、空間反転対称性の破れた結晶の中で実現する電子のスピンと運動量がロックした状態を構成元素を変化させることで制御できる金属物質を発見した。

 ビスマスやアンチモンの二次元伝導層とマンガンなどからなる絶縁層が積層した物質で、二次元伝導層が正方形からジグザグ構造にわずかに歪むことで空間反転対称性の破れた極性構造となることが実験的に明らかに。この歪みはわずか0.1〜1%だが、伝導を担う電子のスピンと運動量が完全にロックした状態を実現する。

 今回、研究グループが見出した層状の金属物質ではスピンと運動量のロック状態が微小な結晶歪みにより実現されているため、人工的に制御することができる。実際、構成元素の一つであるアンチモンをビスマスで置き換えた結果、歪みが約1/10に減少し、スピンと運動量のロック状態が大幅に変化することを理論と実験の両面から解明した。この特性を活かすことによりスピンと運動量のロック状態の最適化が可能となるため、将来のデバイス応用に有用な物質として期待される。

FPD/PCB NEWS〜5月12日
 

ウシオ電機 ICパッケージ基板用分割投影露光装置の生産能力を増強



▲御殿場事業所
 ウシオ電機は最先端ICパッケージ基板の需要増に対応するため、分割投影露光装置「UX-5シリーズ」の生産能力を増強すると発表した。

 今回の投資は2019年に続くもので、御殿場事業所内(静岡県御殿場市)の最先端ICパッケージ基板用投影露光装置の生産スペースを拡張し、2022年度上期中に生産能力を約1.3倍以上に引き上げる。投資額は15億円。

FPD/PCB NEWS〜5月7日
 

東大 ガラスの結晶化の物理的機構を解明


 東京大学、北京大学、香港中文大学の共同研究グループは、低温における高速結晶化がどのような条件下でまたどのような機構で起きるのかを解明する研究を行ったと発表した。

 ある条件下においてガラス状態にある物質が結晶化することが知られる(脱硝と呼ばれる)。脱硝が起きると、透明であるはずの光ファイバーに濁りが生じたり、人体への吸収の良いガラス状態で作成された薬が保存中に結晶化し吸収が悪くなるなど、深刻な問題を引き起こす。ただ、分子がほとんど動けないような低温状態でなぜ結晶化が起こるのかは未解明だった。

 液体の温度を急激に下げると液体中の分子や原子の拡散が劇的に遅くなり、そのため結晶化が阻害されてガラス化する。こうして形成されたガラス状態は熱平衡状態にはないが、極めて高い安定性を持つと考えられてきた。一方で、低温において一見安定なガラス状態にある物質が結晶化することがあるが、その機構は解明されていなかった。

 研究グループは、拡散がほとんど起こらないような深い過冷却下の荷電コロイド系における高速結晶成長を共焦点レーザ顕微鏡を用いて一粒子レベルで実時間三次元観察することに成功。さらに、数値シミュレーションの結果、理論的な考察と合わせることにより結晶化の物理的なメカニズムを微視的レベルで明らかにした。

 具体的には、低温での結晶化が二つの結合したステップで構成される拡散を伴わない秩序化の繰り返しにより起こることを発見した。すなわち、結晶表面に形成される結晶前駆体構造からなる界面の秩序化により結晶化が進行し、界面がステップ状に前進した後、新たに形成された結晶相の内部に残された欠陥が修復され、その修復が終わり秩序の高い界面が再び形成されるとまた最初のステップに戻るという形で、この二つの過程が繰り返される。前者の過程は拡散を伴わない協同的なプロセスであり、後者の過程は結晶品質の制御に関わる。さらに、結晶成長界面に接触している秩序の高いガラス状態の機械的不安定性がこのドミノ倒しのような繰り返し機構による低温高速結晶成長を可能にしていることを発見した。