HOME 会社概要 製品情報 サポート/ダウンロード お問い合わせ サイトマップ

5月27日:低電圧駆動の無機EL


産総研 無機酸化物を用いた低電圧発光EL素子を開発
交流10V程度の発光開始電圧で赤く面発光

 産業技術総合研究所(産総研)は、化学的安定性に優れたペロブスカイト型酸化物薄膜を用いて赤色発光するエレクトロルミネセンス(EL)素子を開発した。発光開始電圧は交流10V程度と無機ELとしてきわめて低く、今後、高輝度化・多色化すれば照明、光源、ディスプレイへの応用が期待できるという。



図2 発光スペクトルと発光時の写真
   ※左は発光層が単層の二重絶縁構造素子
    右は発光層を2層にした二重絶縁構造素子


図1 無機EL素子の構造図

 ペロブスカイト型無機酸化物を用いた無機ELは化学的安定性、耐熱性などから劣化に強く、資源的な制約も少ないことから次世代照明デバイスの有力候補といわれる。産総研は多数のペロブスカイト型酸化物が紫外線励起で顕著な蛍光を発することを発見。今回はペロブスカイト型酸化物を絶縁体薄膜と積層化し無機EL素子を作製した。

 具体的には、1%Nb-SrTiO3電極基板上にパルスレーザー堆積法(PLD法)によってペロブスカイト型酸化物であるSrTiO3絶縁層、続いてペロブスカイト型酸化物である(Ca0.6Sr0.4)TiO3のAサイトに微量のPrを発光中心として添加した発光層、次にSrTiO3絶縁層を積層。いずれもArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いて基板温度700℃、酸素分圧10Paで成膜した。続いて、大気中で熱処理した後、PLD法でITOまたはSnO2透明電極を成膜した。なお、X線回折測定により全層とも配向成長していることが確認された。

 図2は14V、1kHzの交流電圧を加えたときの発光スペクトルで、ピーク波長612nmの赤色発光が得られた。また、写真から透明電極全体が一様に赤色に面発光していることがわかる。この発光はPr3+イオンの1D2から3H4へのエネルギー遷移によるものと考えられる。素子の発光開始電圧は約10Vと、従来の無機ELに比べ1/10以下という低電圧化に成功。さらに、2層の発光層を持つ二重絶縁構造薄膜EL素子を作製したところ、単層発光素子の2倍に当たる24Vで強い赤色面発が得られた(図2の右)。


3月5日:CNT分離技術


産総研 金属性CNTと半導体性CNTを容易に分離できる技術を開発

 産業技術総合研究所(産総研)は、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)を金属性SWCNTと半導体性SWCNTに容易に分離する技術を開発した。シンプルな設備で1日当たりkgオーダーのSWCNTが分離でき、工業化へのメドをつけたとしている。



図1 SWCNT含有ゲルの凍結-解凍-圧搾による金属性・半導体性の分離

 産総研は昨年2月、SWCNTをアガロースゲルに固めた状態のSWCNT含有ゲルに対して電気泳動を行うと、短時間に高回収率で金属性SWCNTと半導体性SWCNTを分離することに成功。今回、この手法をベースにより簡便で効率的な分離方法に発展させた。

 具体的には、SWCNT含有アガロースゲルを直接遠心分離にかけたところ、アガロースゲルが押しつぶされ、ゲル中の溶液成分が搾り出された。その結果、金属性SWCNTを含む溶液と半導体性SWCNTを含むゲル固形分に分離し、アガロースゲルを用いた分離でも電場による泳動は不可欠ではないことが判明した。この際の回収率はゲル電気泳動法と同様、ほぼ100%だった。

 さらに、ゲルの固形分と溶液部分を分離する方法として凍結-解凍-圧搾という手法を適用した。これは、凍結-解凍過程によって豆腐のゲル構造を変化させて水分を取り除く高野豆腐製造法を応用したもの。SWCNT含有ゲルをそのまま圧搾してもゲルが崩れるだけだが、図1のように凍結-解凍後に指で搾るだけでゲル遠心分離法と同様、金属型SWCNTを含む溶液と半導体型SWCNTを含むゲル固形分が容易に分離した。その分離メカニズムについては、半導体型SWCNTが選択的にアガロースゲルに吸着するためと考えられる。ゲル残渣中の半導体性SWCNTは加熱しゲルを溶かした後、軽く遠心分離す



写真1 500ml遠心瓶を用いてゲル遠心分離法で分離したSWCNT溶液
  左から半導体型、希釈半導体型、希釈金属型、金属型 (中央の2本は溶液の色を見るため希釈した)


図2 自動連続分離装置の概念図

るとゲルを除去することができる。なお、この分離法は異なる直径のSWCNTに対しても有効だった。

 容易に想像できるように非常にシンプルなプロセスであるため、分離工程の自動化や大型化が容易で、例えば図2のような連続自動分離装置を用いてスケールアップすれば1日当たりkgオーダーのSWCNTが分離できる。実際に金属性SWCNT・半導体性SWCNTの大量分離を試みたところ、500mlのプラスチック遠心瓶1本当たり約10mgのSWCNTが分離できた(写真1)。これは、アガロースゲル電気泳動法で分離した場合に比べ約1000倍に当たるという。


11月17日:新型電子ペーパー


船井電機新応用技術研究所 ロイコ染料を用いた反射型電子ペーパーを開発

 船井電機新応用技術研究所は、ロイコ染料を用いた反射型表示デバイス(DynamicECD)を開発した。電圧によって色が可逆的に変化するロイコ染料の特性を応用したエレクトロ・クロミック・ディスプレイ(ECD)で、見た目がペーパーライクかつ高速応答というアドバンテージがある。



▲デバイス構成と作動原理

 DynamicECDは、感熱紙などに用いられる電子供与性物質であるロイコ染料を使用。ロイコ染料は通常無色だが、感熱方式の顕色剤など電子受容性材料に接触・電子供与すると発色する。

 構造と動作メカニズムは図の通りで、上部のITO透明電極と下部電極を対向させ、そのギャップにロイコ染料を含む溶液を充填するというシンプルな構造である。ギャップは50μm程度と画素サイズに比べ十分小さくして画素毎の電界強度を確保した。

 図のように、ロイコ染料溶液に通電すると無色から発色する。一方、逆に通電すると無色透明になり消色となる。ユニークなのはロイコ染料溶液と電極の間に深い電気的非線形現象があることで、この非線形現象を利用して画素マトリックスを個別・独立に駆動する。このため、TFTレスでも高速応答が可能で、画像を0.1ms/ライン毎に重ね書きして所要の発色濃度、つまり階調を制御することができる。この結果、A6サイズ(3本/mm)を0.1秒以下で表示できるという。

 画質も白地反射率が80%強と従来の反射型電子ペーパーよりも高く、コントラストも8:1程度とインクジェット記録用紙に近いレベルを確保。モジュール厚も0.1oと薄く、シンプル構造で汎用材料を用いるため製造コストも安価としている。

 今後、製品の要素技術を持つパートナーと連携し09年末の実用化を目指す。また、多色表示技術も開発する予定だ。



▲反射型電子ペーパーの比較

10月22日:有機半導体


理研、東大ら 高い電子輸送性能を有する液晶性有機半導体を開発
親水性側鎖と疎水性側鎖を導入し室温で液晶化

 理化学研究所、東京大学、高輝度光科学研究センターは、親水性と疎水性の側鎖を導入した両親媒性を持つ有機分子をカラム(円柱)状に積層化した液晶性有機半導体を開発することに成功した。高い電子輸送能と加工成形性を合わせ持つ縮環ポルフィリン銅錯体と呼ばれる有機分子の周辺部の一方に親水性、他方に疎水性の側鎖を導入し、自発的にカラム状に積層化させたもので、この集合体が室温で液晶になる。この結果、大面積基板上で薄膜化が容易になるとともに、従来の10倍という電子移動度が得られる。



図1 両親媒性縮環ポルフィリン銅錯体の分子構造(左)と疎水性縮環ポルフィリン銅錯体の分子構造(右)


図2 両親媒性分子の2次元分子配列構造の模式図

  有機半導体で高い電子輸送能力を得るには分子が規則正しく配列した結晶性材料を用いるのが有利だが、結晶は硬いため、大面積基板における薄膜化などの加工成形性に限界がある。他方、液晶などの柔らかい材料は加工成形性に優れるものの、分子の集積状態が結晶に比べゆるいため電子輸送能を高めるのが困難だった。

 東大の研究グループはこれらを両立する有機半導体を探索し、縮環ポルフィリン銅錯体と呼ばれる有機分子に着目した。この分子は電子輸送に影響するパイ共役系のサイズがこれまでの有機半導体に比べ大きい。しかし、液晶分子の一般的な設計手法である疎水性の側鎖導入(図1右)では液晶状態が得られない。

 せっけんのように親水性と疎水性の部位を同時に有する分子(両親媒性分子)は秩序を持って集合しやすいことが知られる。そこで、これをヒントに、縮環ポルフィリン銅錯体分子の周辺部の一方に親水性側鎖、他方に疎水性側鎖を導入し

(図1-左)、両親媒性を持つ分子を設計した。両側鎖を導入後、120℃に加熱してから室温まで約1時間かけて冷却することによって分子を自発的にカラム状に集積させ、室温で液晶状態にした。

 マイクロ波の吸収を利用した非接触法(マイクロ波の吸収量が多いほど電子輸送能が高い)で電子移動度を評価したところ、0.27cm2/V・secをマーク。これは、これまでに報告されている室温液晶性有機半導体の最高値に比べ10倍に当たる。

 さらに、大型放射光施設SPring-8の高輝度X線(ビームライン45XU)で構造解析を行ったところ、期待通り、親水性側鎖、疎水性側鎖同士が集合し、3〜4nmの間隔で交互に相分離した構造を形成していることがわかった(図2)。

 

10月14日:インクジェット装置


産総研 手のひらサイズのスーパーIJ装置を開発
従来比約1/600に超小型化し持ち運びを容易に
電子デバイスの製造や偽造防止用微細マーキングなどに使用可能

 産業技術総合研究所(産総研)は、装置サイズを従来に比べ1/600以下に超小型化した可搬型スーパーインクジェット(IJ)装置を開発した。ステージや電源アンプの小型化により、従来装置とほぼ同等の機能を維持したまま手のひらサイズにコンパクト化し、5Vの直流電源によるバッテリー駆動も実現した。

 産総研は02年、液滴サイズをサブフェムトリットル(10-15L以下)に微小化しμmレベルの描画が可能なスーパーIJ技術を開発。IJ法の適用可能性を高める技術として注目を集めた。その後、スーパーIJ装置を用いてカーボンナノチューブの微細パターンや、金属超微粒子を用いたμmオーダーの微細配線形成を実現してきた。


写真1 超小型スーパーIJ装置

写真3 加工したAgパターン

写真2 リニアモーター駆動型ステージ(左)と超音波モーター移動機構(右)

 従来装置はIJヘッドを固定しステージを移動させていたが、今回の超小型スーパーIJ装置はステージを固定しヘッドを移動。また、ステージの駆動にリニアモーターに代わって超音波モーターを採用した。さらに、電源アンプを小型化し本体に内蔵した。この結果、本体サイズを110(縦)×70(横)×60(高さ)mmと従来装置に比べ約1/600に超小型化した。くわえて、移動機構にエンコーダーを内蔵しクローズドループ制御方式を採用することによって精密な位置決めを実現した。これらにともない、消費電力も従来の1.5kWから約20Wに低減。直流5V電源で駆動可能なため、バッテリー駆動も可能になった。

 この結果、基板上の任意の場所に装置を置いて超微細印刷ができ、例えば名刺の上に超小型スーパーIJ装置を置き、目に見えないサイズの文字や2次元バーコードなどの標識を描画することができる。このため、偽造防止のためのセキュリティ印刷や個体識別のための微細コードマーキングへの適用が期待できる。

 ちなみに、複数のユニットを組み合わせることにより可変ピッチマルチノズルスーパーIJ装置や複合型IJ装置へ発展させることも可能となっている。


9月25日:低温形成技術


産総研 プラスチックフィルム上に金属電極を低温で印刷形成する技術を開発
従来困難だったAl配線の印刷形成も実現

 産業技術総合研究所(産総研)は、プラスチックフィルム基板上にAlなどの電極や配線を低温で印刷形成することに成功した。金属ペーストをパターン印刷した後、力学的エネルギーを加えることにより焼結させる技術で、耐熱性の低い汎用プラスチックフィルム上にも電極や配線パターンが形成できる。フレキシブルプリント配線基板をはじめ、フレキシブルディスプレイ、フレキシブルフィルム太陽電池、ペーパー無線ICタグなどフレキシブルデバイスの製造に適用できるとしている。

 いまさら説明するまでもないが、配線や電極を印刷法で形成する場合、導体材料をインク化する必要がある。通常、導体インクは金属粒子をポリマーなどのバインダー中に分散させる。このため、印刷パターンの抵抗を低くするには印刷パターニング後、加熱処理によって金属粒子を凝集させる必要がある。通常、こうした金属粒子の凝集化には400〜500℃の焼成が不可欠である。しかし、こうした高温処理を行うと、金属の酸化が進み絶縁体になってしまうこともある。また、プラスチックフィルムなど耐熱性の低い素材をサブストレートに用いることはできない。

  今回、低温焼成時に熱エネルギーの代わりに力学的エネルギーを付与することで金属粒子を低温で凝集させることにトライ。150℃以下の低温でも金属電極や配線の抵抗を著しく低下させることに成功した。例えばAlペーストをプラスチックフィルム上に印刷し低温処理したところ、加工温度150℃以下で5×10-4Ω・cm以下の低抵抗パターン(厚さ14μm、シート抵抗値0.4Ω/□以下)が形成できた。また、Cu、Zn、Snを用いた場合も150℃以下で低抵抗金属パターンが形成できた。

  開発した技術は金属ペーストに限らずさまざまなペーストに適用できる。例えば、別途開発した合金ペーストを用いてフィルム基板上にパターン形成したところ、図1のようにさまざまな仕事関数を示す電極パターンが形成できた。このように仕事関数を制御した電極は、印刷形成デバイスでは活性層と電極間の電荷移動を制御するうえで極めて有効である。今回、この印刷電極を用いてフィルム上にダイオードを形成することにもトライ。対向する電極の一方にAg、もう一方にAlを用いてスクリーン印刷するとともに、活性層として高分子半導体をキャスト法で形成した。図2はこのダイオード素子の構成と電流-電圧曲線で、極めて良好な整流特性を示し、異なる仕事関数をもつ電極が有効であることが確認できた。



▲プラスチックフィルム上に印刷形成したAl配線

図1 スクリーン印刷で形成した合金パターンの仕事関数



図2 フィルム上に印刷で作製したダイオードの素子構成と電流-電圧曲線
 

9月19日:有機トランジスタ


電力中央研究所と大阪大学 イオン液体を用いた有機トランジスタを開発
ICタグやフレキシブルディスプレイに応用可能

 電力中央研究所と大阪大学は、イオン液体をゲート絶縁膜に用いた有機単結晶電界効果トランジスタを作製することに成功した。わずか0.2Vで動作し、フレキシブルディスプレイのアクティブマトリクス素子にも適用できるとしている。

 イオン液体は陽イオンと陰イオンからなる有機液体。図1のように、有機単結晶とゲート電極間に挟み込み、電圧を印加するとイオンの移動が起こり、イオン液体と結晶、およびゲート電極の間の界面に陽陰イオンが蓄積された両電荷層(電気二重層)ができる。この際、電気二重層の距離が1nmと近接しているため、微弱な電圧でも電界が大きくなる。さらに、イオン液体は液体であるため、有機単結晶との間に良好な界面が形成できる。

 今回試作したのはルブレン単結晶を用いたデバイスで、上記のように一般的な有機トランジスタの1/100〜1/500という低電圧で動作した。また、モビリティもa-Si TFTを大きく上回る10cm2/V・secが得られた。さらに、0.1〜1MHzまで幅広い周波数について高い電解容量(キャパシタンス)を持ち、高速スイッチング性能も兼ね備えていることがわかった。これは、イオン液体が高周波においても電気二重層を形成し、有機半導体へ大量のキャリアが注入できるためと考えられる。



図1 イオン液体を用いた有機トランジスタの動作イメージ(電中研HPより)

写真1 試作した有機トランジスタ(電中研HPより)
 
8月6日:CNT応用技術


東大 CNTを用いた高導電性の伸縮性導体を開発
シート化し70%伸ばしても導電性が変化せず

東京大学の染谷隆夫准教授らの研究グループは、導電性がきわめて高く伸縮自在な伸縮性導体を開発することに成功した。カーボンナノチューブ(CNT)をイオン液体によって均一に分散しポリマーと混合してシート化したもので、高い導電性とフレキシブル性を合わせ持つ。




図1 伸縮性導体の作製方法

 市販の導電性ゴムは最高でも導電率が0.1S/cmに過ぎないが、今回開発した新導体は57S/cmときわめて高い導電性が得られる。

 図1のように、産業技術総合研究所(産総研)が開発したスーパーグロース法によって合成したシングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)を導電材料に使用。このSWNTは径が約3nmで、2〜4oときわめて長いのが特徴。ただし、CNTはバンドル(束)化しやすいため、イオン液体(1ブチル3メチルイミダゾリウム-3フッ化メタンスルフォニルイミド:BMITFSI)を添加することによってペースト状の導電物質(バッキーゲル)にゲル化し、バンドル化を抑制して均一に分散させた。これとフッ素系共重合ポリマーを混合し、キャスト法によってシート化することで、まったく新しい伸縮性導体を合成した。写真1はイオン液体ありとイオン液体レスでゲル化した際の顕微鏡写真で、イオン液体によってCNTが均一に分散できていることがわかる。イオン液体にはCNTの分散に加え、ポリマーの柔らかさを維持する機能もある。

 前記のように最大の特徴は市販の導電性ゴムに比べ桁違いに導電性が高いことで、57S/cmという値は配線に使えることを意味する。さらに、伸ばしても導電性が低下しないというメリットも合わせ持つ。よりフレキシブル性を持たせるため、パンチング加工によってメッシュ構造(ネット構造)にしたところ、実に70%引き伸ばしても導電性はほとんど変化しなかった。これは、CNTがスパゲッティ状でネットワーク構造を形成しているためと考えられる。つまり、一般的な球状導体は引っ張ることによって導体粒子同士の接触面積が低下し導電性が低下するが、スーパーグロース法で合成した長尺SWNTの形状によってそうしたことがないためと考えられる。これらの結果、導電性とフレキシブル性というトレードオフの関係を解消。ゴムのように伸縮自在で、自由曲面にも貼り付け可能な導電体が実現する。

 染谷研究室ではメッシュ状に加工した導電性シートに、あらかじめプラスチックフィルム上に作製したボトムコンタクト型ペンタセン有機トランジスタを転写。配線材料として動作することを確認した。作製した有機トランジスタは200×200oで、このなかに703個(19×37)のアレイを設けた。チャネル長は50μm、チャネル幅は6oで、電子の流れやすさを示すキャリアモビリティは0.3〜1cm2/V・secが得られた。この際、2軸方向に70%伸ばしても特性が低下しなかった。

 染谷研究室では電子人工皮膚をはじめ曲面に貼り付けられるフレキシブル集積回路シートなどに最適とみている。  




写真1 イオン液体ありとイオン液体なしのCNT分散状態


写真2 曲面への貼り付け例


写真3 転写した有機トランジスタ


写真4 2軸方向へ伸ばした際の写真