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カーボンニュートラル実現へ導く〜さんさんコンソ〜新技術説明会(10月13日)


カーボンニュートラル実現へ導く〜さんさんコンソ〜新技術説明会
反応性大気圧熱プラズマジェットをシリコンウェハー端面のEBRに活用

10月13日、ONLINE形式による「カーボンニュートラル実現へ導く〜さんさんコンソ〜新技術説明会」が開かれた。ここでは、広島大学 東清一郎教授の講演「高密度反応性大気圧熱プラズマジェット発生技術を用いた有機材料の超高速エッチング」を取り上げる。



図1 R-TPJ法のイメージ(online講演中に表示された資料を“スクリーンショット”して撮像しトリミング)

 今回提案するのは、独自開発した高密度反応性大気圧熱プラズマジェット(Reactive Atmospheric-pressure Thermal Plasma Jet:R-TPJ)によってシリコンウェハー端面に発生するフォトレジスト残差をEBR(Edge Bead Removal)に活用するというもの。

 具体的には、図1のように常圧下においてAr+O2ガスをパージしてDCアーク放電を発生させてR-TPJを基板に照射してフォトレジストなどの有機膜をドライエッチング除去する仕組み。EBR工程では、上下に2基の装置を導入することにより上下同時にエッチング処理を行うことができる。

 FPD製造プロセスの表面処理などに用いられている従来の大気圧プラズマ法に比べ、プラズマによって発生させた熱を積極的に利用するため、エッチングレートが高いのが特徴。従来はArガスのみを用いていたが、O2ガスを併用することによってエッチングレートが10.1μm/secと飛躍的に向上。これは、酸素原子の活性種(O)が発生し、エッチングに加えアッシング効果が働くためと考えられる。ちなみに、従来の大気圧プラズマ法のエッチングレートは4μm/min程度である。

 エッチングレートをおもに左右するのはO2流量fo2とワークディスタンスで、前者は流量が多いほど大きくなる。写真1はO2流量の違いによるエッチング結果で、fo2=1L/minで最大のエッチングレートが得られた。一方、後者は小さいほど、つまり照射ノズルとワーク間が近いほどエッチングレートが大きくなる。これは、やはりプラズマによる高温加熱効果が寄与しているためと考えらえれる。


写真1 R-TPJ前後におけるフォトレジストの断面(online講演中に表示された資料を“スクリーンショット”して撮像しトリミング)
 研究グループはカーボンニュートラルを見据え半導体量産プロセスへの利用を目指しており、今後、表裏同時処理タイプのプロトタイプを開発し、その実用性を実証したい考えだ。


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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