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JST未来社会創造事業@新技術説明会(5月13日)


JST未来社会創造事業@新技術説明会
エレクトロクロミック調光ガラスと有機薄膜太陽電池で最新の研究報告が

5月13日、科学技術振興機構(JST)主催による「JST未来社会創造事業@新技術説明会」がオンライン形式で開催された。エレクトロクロミック(EC)調光ガラスと有機薄膜太陽電池に関する2件の発表をピックアップする。


新たなエレクトロクロミック材料でEC調光ガラスを超低電圧駆動

 物質・材料研究機構の樋口昌芳氏は、「電気で色が変わる窓の超低消費電力駆動と普及に向けて」と題して講演した。電圧印加によって発色と消色を繰り返すエレクトロクロミック(EC)現象を用いたEC調光ガラスを省エネルギーインフラとして普及させる狙いで、わずか0.8V駆動という低電圧デバイスを作製することに成功した。


図1 メタロ超分子ポリマーのEC変化とカラーバリエーション(online講演中に表示された資料を“スクリーンショット”して撮像しトリミング)

 すでに飛行機の窓や自動車の防眩ミラーに実用化されているECデバイスだが、EC材料にWo3やビオロゲンを用いるため、大型化やローコスト化には制約がある。そこで、ウェットコーティングが可能な新たなEC材料メタロ超分子ポリマーを開発した。代表的な分子構造は図1の通りで、金属種や有機分子を変えることによりさまざまなカラーバリエーションが得られ、GreenやPurpleといったBlue以外の発色も容易になる。また、少ない電気量で大きな色変化が得られ、もちろんプラスチックフィルム基板にも容易に対応できる。上記のように、デバイス構造やEC材料を最適化することにより0.8V駆動という低電化駆動を実現。もちろん、発色後は電圧をOFFにしても表示色が消えることはなく、窓ガラスとして用いる場合、遮光状態をキープすることができる。

有機薄膜太陽電池の光電変換効率を16%に向上

 一方、広島大学の尾坂格教授は「有機半導体を用いた塗って作れる低環境負荷な太陽電池」と題して講演した。こちらもプリンティングプロセスによって容易に製造可能なローコストデバイスを目指した研究報告で、溶解性の高い有機半導体ポリマーを用いることによりウェットプロセスでも高効率な太陽電池デバイスを作製することに成功した。

 研究グループは以前、従来のn型フラーレン系材料(PC61BM)と組み合わせるp型材料としてPNTz4Tを合成。その結晶性が高くキャリア移動度が高いため、10.1%と有機薄膜太陽電池として高い光電変換効率が得られた。ただし、溶媒に対する溶解性が低く、100℃前後で加熱しないと溶媒には溶解しなかった。

 そこで、分子構造をより剛直にしたPTNT2Tを合成。その結果、室温で8g/Lと実用的な溶解性が得られた。さらに、光電変換効率も12%とフラーレン系デバイスでは世界最高の値をマークした。

 続いて、非フラーレンポリマー(Y6)とp型ポリマーPNBTz1、PTBTz2を用いたところ、十分な溶解性を確保しながら、光電変換効率は従来の12%からマックス16%へ向上。当面の競合デバイスとなるペロブスカイト太陽電池に近い効率が得られた。


図2 ポリマー材料の分子構造と吸収波長(online講演中に表示された資料を“スクリーンショット”して撮像しトリミング)


図3 PNBTz1とPTBTz2の分子構造とデバイス特性(online講演中に表示された資料を“スクリーンショット”して撮像しトリミング)

REMARK
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2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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