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地方創生! 南日本ネットワーク新技術説明会(7月2日)


JST「地方創生! 南日本ネットワーク新技術説明会」
青色半導体レーザーを用いてフレキシブルディスプレイや薄膜太陽電池を

 7月2日、科学技術振興機構(JST)で開かれた「地方創生! 南日本ネットワーク新技術説明会」。ここでは、琉球大学 野口隆教授の講演「青色半導体レーザによるフレキシブルパネル上Si結晶化薄膜の製法と機能デバイスへの応用」をピックアップする。


写真1 BLDA法で結晶化したpoly-Si膜のTEM像1)

 周知のように、スマートフォンなどの中小型高精細アプリケーションに搭載される低温poly-Si TFT-LCDではa-Siプリカーサ膜の結晶化方法としてエキシマレーザーアニール(ELA)法が用いられる。ELA法は比較的大粒径のpoly-Siが得られるが、微細結晶粒のpoly-Siを作製することは困難で、さらにフラットサーフェースが得にくい。そこで、研究グループは波長445nmの青色半導体レーザー(GaN)を用いたBLDA(Blue-Laser-Diode Annealing)法で結晶化することを試みた。

 青色半導体レーザーを選択したのはa-Siプリカーサ膜に対する吸収効率がエキシマレーザーとさほど変わらず、同様の趣旨で提案されている緑色半導体レーザーよりも高いため。容易に想像できるように、BLDA法ではレーザービームが膜表面だけでなく、内部にまで浸透し、その結果、膜の断面方向で均一に温度上昇してフラットサーフェースが得られる。またレーザーのパワー、ビーム走査速度、ビーム形状(短軸幅)といったプロセス条件を制御することにより、微細グレインからラージグレインまでさまざまな多結晶を得ることができる。とくに有効なのはELA法では実現困難な微小粒径(写真1の左)と異方性疑似単結晶(写真1の右)で、レーザーパワーを変えるだけで任意の結晶化状態が得られる。さらに、a-Siプリカーサ膜はコンベンショナルなプラズマCVD法だけでなく、Neガス雰囲気においてリンをドープすればスパッタリング法でも成膜することができる。


図1 poly-Si膜を用いたタンデム型薄膜太陽電池の構造例1)


写真2 プラスチックフィルム上に作製したpoly-Si膜1)

 写真2はポリイミドフィルム上に成膜・結晶化したサンプルで、局所加熱というメカニズムから耐熱性の低いフレキシブルフィルム上にもダメージレスでpoly-Si膜が作製できる。

 BLDA法は低温poly-Si TFT-LCDや有機ELディスプレイといったFPDだけでなく、薄膜太陽電池にも有効だ。このカテゴリーではディスプレイと違い数百nm以上の厚膜が要求されるが、こうした厚膜も内部までレーザービームが浸透するという原理から容易に結晶化可能。参考として、図1にBLDA法で結晶化したp-Siを用いたタンデムデバイスの構造例を示す。

参考文献
1)野口:青色半導体レーザによるフレキシブルパネル上Si結晶化薄膜の製法と機能デバイスへの応用、地方創生! 南日本ネットワーク新技術説明会資料、pp.57-60(2015.7)


REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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