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日本太陽エネルギー学会 第2回研究講演会「新しい光源(照明)-LED・有機EL・無機EL」(6月25日) |
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6月25日、明治大学で「日本太陽エネルギー学会 第2回研究講演会“新しい光源(照明)-LED・有機EL・無機EL”」が開かれた。白熱電球、蛍光灯に次ぐ光源デバイスとしてLED、有機EL、無機ELをクローズアップした講演会で、有機ELではコニカミノルタテクノロジーセンターからオール燐光有機EL面光源技術が報告された。同社の講演をピックアップする。
周知のように、コニカミノルタは07年に有機EL照明市場に参入すると発表。当時では世界最高効率の白色デバイスを「SID 2007」で公開した。今回、同社の北弘志氏は高効率化技術の一端を報告した。 説明するまでもないが、燐光材料はIr系組成の緑色材料、赤色材料が開発されており、すでに一部が量産採用されている。その一方、青色燐光材料は初期に発掘されたFIrpicをしのぐ材料がいまだになく、FIrpic自体も寿命や色純度に問題を抱えている。このように実用レベルの青色燐光材料がいまだにないのは、バンドギャップが大きいために共役系が小さく不安定で脆弱が分子構造という理由による。そこで、高い三重項エネルギー(T1)を持つホスト材料が必要となる。
これにはT1を大きくするとともに、Tg(ガラス転移点)を保持したままアモルファス性を向上させるのが有効で、@C-C結合をねじる、AC-N結合をねじる、BC-B結合をねじるといった分子設計が必要になる。 具体的には、図1のようにコンベンショナルな燐光ホスト材料であるCBPにメチル基を二つ入れてC-Cねじれ化合物(CDBP)にするとT1が大きくなり、発光波長も410nmと短波長化する。また、ホール輸送材料もスターバストアミンをC-Nねじれ化合物(図2)、ホール阻止材料もC-Bねじれ化合物(図3)にする。この結果、青色素子で外部量子効率18%と理論値に近い特性が得られる。
さらに、FIrpicに代わる独自のドーパント材料を用いたところ、表1のように高効率と長寿命を両立。くわえて、RGBそれぞれの燐光発光材料を用いた発光層を図4のようにマル秘レイヤーにすることによって外部量子効率を従来構成素子の17%から20%にアップ。ほぼ理論値といえる高効率が得られた。 これらの要素技術をもとに、今春に63×150oサイズのフレキシブル白色有機ELを開発することに成功。最大の特徴はプラスチックフィルム基板を用いてRoll to Roll方式で作製したことで、オール燐光発光により輝度1000cd/m2、色温度3000Kが得られた。 北氏は注目される事業化計画についても言及。現在、Roll to Roll対応のパイロットラインを建設中で、今秋からパイロットスケールで生産技術を検証。2011年春からサンプル出荷する計画だ。 参考文献 |
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