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第179回JOEM「ナノインプリント技術の最前線」(12月11日) |
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12月11日、都内で有機エレクトロニクス材料研究会(JOEM)主催による第179回JOEM「ナノインプリント技術の最前線」が開かれた。ここにきて次世代HDDやLEDなどで採用機運が高まっているナノインプリント法をピックアップした講演会で、以下、キヤノンマーケティングジャパンと東芝機械の講演をダイジェストする。
キヤノンマーケティングジャパンの野口氏は、販売代理をしているObducat(スウェーデン)の光ナノインプリント装置・技術を紹介した。Obducatは単なるナノインプリント装置メーカーではなく、スタンパやUV硬化性樹脂なども開発・製品化。ナノインプリントのトータルコーディネーターとして知られる。 光ナノインプリントプロダクトにおける最大の特徴は、IPS(Intermediate Polymer Stamper)と名づけたスタンパにある。周知のように、光ナノインプリント法はUV光を照射してフォトレジストなどのUV硬化性樹脂を硬化させるため、スタンパが透明であることが絶対条件となる。したがって、Ni製やSi製スタンパは使えず、必然的に高価な石英製スタンパの使用が前提となる。そこで、同社はあらかじめ作製したSiスタンパをマスターモールドに使用してUV光を透過するIPSを作製。IPSを用いて光ナノインプリント処理する。IPSは安価なほか、@サブストレートの反りやうねりにも追従する、Aパーティクルの影響によるパターニング不良の危険が少ない(パターン非転写面積が少ない)、B離型剤の塗布が不要、といった利点がある。
また、Softpress Technologyと名づけたプロセス技術もセールスポイント。大型基板に対しても比較的均一に加圧できるエアー加圧を採用するとともに、光ナノインプリントとしては比較的高圧プレスをかける。この結果、エアーバブルの発生を低減。また、図1のように反りやうねりがある基板に対しても追従して均一に加圧することができる。 写真2は青色LEDへの応用例で、基板上に径200nm程度の微細ホールをアレイ状に設けたもの。ここでは光ナノインプリント法でパターニングしたUV硬化性フォトレジストをマスクにしてドライエッチングした。写真3はLCDや電子ペーパーへの応用例で、UV硬化性樹脂を光ナノインプリント法でポストスペーサをダイレクト形成した。周知のように、ナノインプリント法では“つっきり”と呼ばれる残膜が発生するが、プロセス条件を最適化することによって残膜を100nm以下にミニマム化し、光学的に問題ないレベルにまで抑制できた。 フォトニック結晶でLEDの光取り出し効率を向上
一方、東芝機械の小久保氏もナノインプリント法の採用機運が高まっているアプリケーションとしてLEDについて言及。サファイア基板上に発光波長の数分の一のナノパターン(フォトニック結晶)を設けて光取り出し効率を改善するもので、こちらもうねり基板に対応するため透明な樹脂モールドを使用。図2のように、まず石英製マスターモールドを作製した後、PETフィルム上に塗布したUV硬化性樹脂をUVナノインプリント法でパターニングして凹型スタンパを作製。次にサファイア基板上にUV硬化性フォトレジストを塗布し、UVナノインプリント法で凸型フォトニック結晶を形成した。 参考文献
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