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SORSTシンポジウム「フレクシブルデバイス/マテリアルの未来像」 |
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2月12〜13日、都内で科学技術振興機構(JST)主催によるSORST(戦略的創造研究推進事業・発展研究)シンポジウム「フレクシブルデバイス/マテリアルの未来像」が開かれた。有機材料を用いたフレキシブルデバイスの最新技術動向を網羅したもので、有機EL、有機トランジスタ、有機薄膜太陽電池といったフレキシブル有機デバイスにおける最新テクノロジーが紹介された。有機ELと有機トランジスタに関する講演をクローズアップする。 有機EL関連では、北陸先端科学技術大学院大学の村田英幸准教授が無機膜と有機膜を積層するデバイスにおける無機/有機界面の電荷移動についての研究成果を報告。無機膜と有機膜の間にMoO3を設けると有機ELの特性が向上することを明らかにした。 有機ELや有機薄膜太陽電池のホール注入層として用いられるMoO3は、蒸着膜厚によって仕事関数が変化するというユニークな特性をもつ。例えばITO上に蒸着成膜すると、膜厚を厚くするにしたがって仕事関数が4.73eVからリニアに上昇し、膜厚100nmで5.9eVとバルクの値が得られる。これは、成膜条件によって酸素欠損の量が変化するためと考えられる。 そこで、ITOアノード/MoO3ホール注入層/α-NPDホール輸送層/Alq3緑色発光層兼電子輸送層/LiFバッファ層/Alカソード素子を作製し、MoO3の膜厚によって特性が変化するかどうかを調べた。その結果が図1で、膜厚を0.75nmにするともっとも駆動電圧が低くなった。また発光効率、さらにライフタイムも膜厚0.75nmでもっとも良好な結果が得られた。一方、膜厚が1nm以上になるとこれらの特性は次第に低下する。これは、膜厚1nm以上になると膜からシート状のキャリアが発生するのに対し、膜厚0.75nmでは膜がアイランド状のためそうした問題がないためと推測される。つまり、α-NPDからMoO3へ電子が注入され、その結果、MoO3からα-NPDへのホール注入が増加したと同じ効果があるためと考えられる。 ソースとドレインに異種材料を用いれば容易に発光トランジスタが実現 有機トランジスタ関連では、東北大学の岩佐義宏教授がp型特性とn型特性を合わせ持つ両極性トランジスタについて講演した。 周知のように、有機発光トランジスタはトランジスタ機能と発光機能を合わせ持つ次々世代のデバイスで、ディスプレイデバイスではパネルの開口率が向上するとともに、製造コストが削減できるといったアドバンテージがある。電子蓄積、ホール蓄積のいずれでも動作する両極性トランジスタを発展させたのがこの有機発光トランジスタで、半導体層におけるp-n接合領域を可視化したと言い換えることができる。この場合、ソース電極とドレイン電極を異種材料にして、一方から電子、一方からホールを半導体層へ注入すると高効率発光が可能になる。例えばホールを注入するソースに仕事関数の高いAu、電子を注入するドレインに仕事関数の低い
CaやMgを用いる。図2は両極性トランジスタの模式図と、テトラセン単結晶を用いた有機発光トランジスタにおける発光強度分布で、EL発光は電極近傍では吸収されやすいため半導体層中心へいくにしたがって発光強度が増加する。 熱酸化SiO2+PMMAゲート絶縁膜付きシリコン基板にテトラセン単結晶を貼りつけた試作デバイスではp型でキャリアモビリティ1.64cm2/V・sec、n型で0.17cm2/V・secをマーク。また、テトラフェニルピレン(TPPy)蒸着膜を用いたデバイスではPL量子効率80%が得られた。また、どちらも発光効率は電流密度にほとんど依存せず、高電流密度と高効率発光が両立できることがわかった。 参考文献
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REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |