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FINETECH JAPAN (2025年11月12〜14日)


第35回ファインテックジャパン/第16回フィルムテックジャパン/第14回プラスチックジャパン/第12回メタルジャパン
マイクロLED向けやフレキシブルデバイス向けマテリアル&装置に新鮮味

11月12〜14日、幕張メッセで開かれた「第35回ファインテックジャパン(電子ディスプレイ産業展)/第16回フィルムテックジャパン(高機能フィルム展)/第14回プラスチックジャパン(高機能プラスチック展)/第12回メタルジャパン。独断と偏見でおもなトピックスをレポートする。

マイクロLED向けに粒子整列型ACFをアピール


写真1 粒子整列型ACFを用いて試作した緑色マイクロLED
 まずマイクロLED向けマテリアルでは、デクセリアルズがサブストレートガラスとマイクロLEDチップを接合する異方性導電性フィルム(ACF)として粒子整列型ACFを提案した。その名の通り従来の粒子分散型と異なり、導電性粒子を一定のピッチで整列配置したACFで、整列配置によりファインピッチ化してもコンタクト性が均一なためショートなどの欠陥が発生しにくい。ティピカルな粒子径は2.2〜3.5μmで、自己整合ではなく、フォトリソグラフィのような意図的な方法で整列配置している。

 写真1は26×40μmサイズの緑色LEDチップを50×50個配置した緑色モノカラーディスプレイで、全面がユニフォームに発光している様が確認できた。また、1.5型256×256画素のフルカラーパネルも展示。こちらはMicro-LED専業メーカーの台湾Playnitrideが試作したもので、腕時計をメインターゲットにしているようだ。

ガスバリアフィルム2枚で有機薄膜太陽電池をサンドイッチ封止


写真2 大気下Roll to Roll方式で封止した有機薄膜太陽電池
 フレキシブル太陽電池関連では、麗光がRoll to Roll方式でラミネート可能なハイバリアフィルムを提案した。そのバリアフィルムはPETフィルムにコーティング層とバリア層を積層したもので、85℃、85%RHというシビアな環境でも水蒸気透過性は5×10-3g/m2/day(WVTR法)をマーク。このバリアフィルム2枚により大気下、Roll to Roll方式でフレキシブル太陽電池パネルをサンドイッチ封止することにより、高い生産性が得られる。ブースでは300×300mmサイズに加え、300mm幅の幅広有機薄膜太陽電池を披露。ガスバリア性の高いフレキシブル有機薄膜太陽電池が比較的容易に製造可能なことをアピールしていた。

MODペーストでCu配線の酸化を抑制


写真3 ポリイミドフィルムへの印刷サンプル
 プリンタブルエレクトロニクス向けでは、住友金属鉱山がCuベースのMOD(Metal Organic Decomposition)ペーストを提案した。サブストレートに印刷した後、200℃で熱焼成またはXeフラッシュランプで光焼成することによってCu配線を形成する仕組みで、焼成後、膜表面が有機化合物でカバリングされるため酸化が抑制。大気中180℃で加熱しても比抵抗が変化しないなど耐酸化性の高い低抵抗配線が形成できる。実際、比抵抗は10-5〜10-6Ω/cmとピュアCuに近い値が得られる。ブースでは、PETフィルムにスクリーン印刷したサンプルを複数披露。最小L&S=30μm/30μmというファインパターンが得られることを実証していた。

白色絶縁材料を塗布してMini-LEDの輝度を向上


写真4 白色絶縁材料を塗布したMini-LEDバックライトモジュール
 ハイエンド液晶テレビに必須となっているMini-LEDバックライト向けでは、太陽インキ製造がMini-LEDバックライトの輝度向上マテリアルとして高反射絶縁材料「PX-500 DWシリーズ」をアピールした。写真4はBOEが製造した34型Mini-LEDバックライトモジュールで、表面をこの材料でコーティングすることによって輝度を向上。材料自体の反射率は94.8%に達するという。

インパネに最適なカバーシートが登場

 車載システム向けでは、中国POLOMOのオプティカルボンディングOCAが目についた。


写真5 Polomo Silicon OCAカバーフィルムを貼り付けたインパネ用ディスプレイシステム
 厚さ20〜2000μmのシリコーン系透明シートで、その可視光透過率は99%以上、耐熱性は120℃を誇る。このため、とくに耐熱性が要求される車載システムのディスプレイカバーフィルムに有効で、ブースでは写真5のようにインパネ用超広幅曲面ディスプレイシステムを展示。すでに自動車メーカーや車載機器メーカーに量産採用されていることをアピールしていた。

極薄ガラスやフレキシブルフィルムに有効なレーザースクライブ装置が出現


写真6 レーザースクライブしたポリイミドフィルム
 製造装置では、グローバリーテックがとくに極薄板ガラスに有効なレーザーガラス切断装置をピーアールした。超短パルスのピコ秒レーザーを基板上のスクライブラインに照射することによって、マイクロクラックレスのスクライブを実現。このため、とくにマイクロクラックの発生が致命傷となる厚さ0.03〜0.1mmの極薄ガラスの切断に有効。気になる切断速度は400mm/sec、直進性を表す切断精度も±80μmを確保。さらに、プロセス条件の最適化によってポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルムや多層膜付き基板の切断も可能など、汎用性が高いことを強調していた。

REMARK
1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。
2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。

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