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CEATEC JAPAN 2013(10月1〜5日) |
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10月1〜5日、幕張メッセで開かれた「CEATEC JAPAN 2013」。CEATECでは年々、自動車メーカーの存在感が高まる一方、電機メーカーの存在感が徐々に低下していることは否めない。そうしたなか、今回のムーブメントは昨年に続き解像度3840×2160画素の“4K2K”ディスプレイで、パナソニック、ソニー、東芝、シャープ、三菱電機といったテレビメーカーは全社とも4Kテレビを強力にアピール。ただ、相変わらず対応コンテンツ不足の印象が拭えず、各社ともテクノロジーに関するデモをほとんどしなかったためか、来場者の関心はいまひとつにみえた。おもなトピックスをレポートする。 a-Si TFT、低温Poly-Si TFTに次ぐ第3のFPD用TFTとして地位を確立したIGZO(In-Ga-Zn-O)-TFTでは、このフィールドで独り勝ち状態のシャープが今年もオリジナルテクノロジー&プロダクトを大々的にアピール。スマートフォン、タブレット端末、アミューズメント機器、インフォメーションディスプレイ向けの各種中大型パネルを展示し、その圧倒的なラインアップ力を誇示した。
What's NEWはノートPC用15.6型パネルで、このサイズで4K解像度を実現。精細度は282ppiに当たり、表示された文字は“細かすぎる”ぐらいにさえみえた。現在サンプル出荷中で、2014年2月から亀山第2工場で量産する予定だ。 ところで、シャープのIGZO-TFTといえばコンベンショナルなアモルファスIGZO-TFTと、半導体エネルギー研究所と共同開発したCAAC-IGZO(C-Axis Aligned Crystal-In-Ga-Zn-O)-TFTの二つがある。そこで、説明員にCAAC-IGZO-TFTは量産採用しているのかと尋ねたところ、「展示したプロトタイプはもちろんのこと、現在量産中のパネルもすべてCAAC-IGZO」とのこと。 周知のように、CAAC-IGZOはその名の通りC軸配向に結晶化させた単結晶ライクなIGZOで、動作信頼性は低温Poly-Si TFTレベルといわれる。その結晶性から膜構造がアモルファスに比べ強靭で、この結果、エッチング保護膜をレス化することもできる。つまり、ソース/ドレインメタルのエッチング時にもダメージが少ないため、TFTをよりシンプルストラクチャーのバックチャネル構造にすることができる。したがって、チャネル長が短く、よりスモールなTFTが実現する。これは、いうまでもなくTFT-LCDやボトムエミッション型有機ELDの開口率が向上することを意味し、性能面でも優位性があるといえる。 IGZO-TFT駆動のMEMSディスプレイが初登場
シャープは次世代FPDとされるMEMSディスプレイでもWhat's NEWを提供。米Pixtronixと共同開発したMEMSディスプレイを初めて披露した。展示したのは7型800×1280画素パネルで、こちらもIGZO-TFTでドライブ。液晶に代わってMEMSシャッターをバックライト光の遮蔽に用いることにより画像表示する。RGBのLEDバックライトからの光をフィールドシーケンシャル(FS)駆動方式によって表示色をコントロールするため、LCDに不可欠なマイクロカラーフィルター(CF)や偏光板は不要。このため、LEDからの光をそのまま活用することから色純度が高く、パネル全体の光透過性もLCDに比べ高い。 したがって、こうした本質レベルでも低消費電力といえるが、ブースではさらなるローパワー化の試みを紹介。表示内容によってモノクロからフルカラー階調まで切り替えるデモで、写真2のように画像表示時は通常のフルカラー、写真3のようにテキスト表示時はモノクロと使い分けることができる。この際、階調によってMEMSシャッターの開閉回数が決まるため、階調が少なくなればなるほどMEMSシャッターの開閉回数が少なくなり結果的に光透過性が向上し、消費電力をさらに削減することができる。 ちなみに、FS駆動ディスプレイで最大の問題となるカラーブレークアップ現象についてはパネルの前に手をかざしてもまったく感じられなかった。 4K有機ELDはインパクト不足の感が 冒頭のように、4K解像度が最先端テクノロジーとしてオーソライズされるなか、パナソニックとソニーが4K有機ELディスプレイを初めて披露。その画質に俄然注目が集まった。 しかし、情報が開示されたのはサイズと解像度だけ。コントラストや色再現性、さらに寿命といったスペックはまったくのノーコメント。説明員からカラー化方式は辛うじて“印刷法によるRGB独立発光方式”と聞き出すのが精一杯だった。その印刷法もインクジェットプリンティング法なのか、それともオフセット印刷法なのかも明示せず。実際に見た印象だが、確かに色純度は素晴らしい。色再現性はNTSC比100%をゆうに超えているはず。コントラストもメガコントラストに違いないが、暗室ということを差し引くと、TFT-LCDと比べて圧倒的に優れているかといわれればそうでもなかったように感じた。
対するソニーは、56型4K有機ELDを披露した。こちらはスペックはおろか、カラー化方式がRGB独立発光方式なのか、白色EL+CF方式なのかさえ明らかにせず。唯一公表したのがトップエミッション構造で、ガスバリア膜+フラットガラス封止で吸湿剤をレス化したことのみ(双方を合わせ“スーパートップエミッション”と表記)。 肝心の画質だが、デモで“Another World”と銘打っていたレベルには感じられなかった。Another Worldが4Kを意味するのか、有機ELDを意味するのかは不明だが、4K TFT-LCDと比べ“excellent”にはみえなかった。これまで筆者は10年以上、有機ELDをみてきたが、携帯電話用の小型パネル以外、LCDと有機ELDの違いはまず一目でわかった。しかし、今回はこれだけの大型サイズでもTFT-LCDとの違いがわからなかった。いわゆる感動がまったくなかったのである。 両社とも製品化時期は未定。しかし、TFT-LCDとの画質差がここまで狭ってきた以上、これから大型テレビ分野でTFT-LCDに挑戦して果たして勝算があるのかどうかという懸念がより深まったように感じた。 パイオニアが有機EL照明デバイスの優位性を効果的にPR
次世代照明デバイスである有機EL照明デバイスでは、三菱化学とスクラムを組んでいるパイオニアが効果的なデモを演出した。まずはコンベンショナルな低分子デバイスながら発光層を塗布成膜した塗布型デバイスで、三菱化学が独自開発したRGB発光材料を3層スタックして3波長による白色を実現。つまり、三菱化学&東北パイオニアが製品化している調色フルカラータイプではなく、白色固定タイプである。サイズは92×92oで、効率、寿命とも調色フルカラータイプと同等を確保。既存製品に比べ製造コストが1/5〜1/10削減できるとのキャッチフレーズだったが、果たして発光層形成プロセスを真空蒸着法からウェット法に変えるだけでそこまでコストダウンできるかは疑問が残るところ。この点を説明員に尋ねたところ、最大のファクターである材料利用率をはじめ明確な回答は得られなかった。 一方、同社は化粧品メーカーの資生堂の協力を得て調色フルカラータイプの優位性を効果的にアピール。競合するLEDに比べ、RGB3波長によるブロードなスペクトルが太陽光に近いため、よりナチュラルな演色性が出せる有機ELは“メーク上手になれる午前の光”と表現。実際に演色性を比較したデモによると、LEDでは肌の色が粘土っぽく見えるのに対し、有機ELでは明るい肌色に見えた。さらに、有機ELは面光源のためLEDに比べ反射が少なくシャドーができにくい点も強調。化粧品の選定やメークといった微妙な色が求められる用途では有機ELがベストであることを実証できていたように感じた。 有機EL照明デバイス向けに高屈折率ガラス基板を マテリアル関連で目立ったのが日本電気硝子(NEG)で、有機EL照明デバイスの前面サブストレートとしてコンベンショナルなガラス基板に代わる高屈折率ガラス基板「HX-1」を提案した。
周知のように、通常のガラス基板の屈折率は1.5であり、基板と接するITOアノードの屈折率(1.9〜2.1)を考えると、その界面で光ロスが発生し、EL発光の光取り出し効率が低下する。このため、HX-1は屈折率を1.63に向上。表1のようにその他の特性はソーダライムガラスに近い。もちろん耐薬品性も高く、既存のオーバーフロー法で成型できるため大量生産にも適する。いうまでもなく成型後の研磨は不要で、大型化も容易だ。 実際、展示した400×500oサンプルはFPD用ノンアルカリガラス製造設備で試作したもので、標準板厚も0.7oとFPD用ノンアルカリガラス基板の主流厚と同じ。気になる光取り出し効率は屈折率の差通り、つまり基板を変えるだけで10%以上アップする。ブースではこのHX-1をサブストレートに用いた緑色有機ELデバイス(100×100o)を展示。ちなみに、製造コストについて説明員は「オーダー量次第ではノンアルカリガラスと遜色ないレベルになる」としている。 超薄板ガラスロールを用いた有機ELDが
NEGは、得意の35μm厚超薄板ガラスロール「G-Leaf」でもインパクトあるデモを展開。パッシブマトリクス有機ELDメーカーの東北パイオニアが基板にG-Leafを用いて作製したフレキシブルモノクロ有機ELDを公開したもので、写真9のように曲げた状態で展示。パネル自体は厚さを0.15o以下、密度を0.04g/cm3に薄型軽量化するとともに、曲率半径20oというフレキシブル性を実現した。東北パイオニアは今年度中にこのフレキシブル有機ELDの開発を完了する予定で、順調にいけば2014年中にはマーケットに出回ることになりそうだ。 シンクラボがパターン化金属箔事業に触手 エレクトロニクスデバイス用インフラでは、超高精細グラビアロール版メーカーのシンク・ラボラトリー(シンクラボ)がWhat's NEWを演出。パターニングした金属箔事業への進出を模索していることを示唆した。
微細パターンメタル箔と名づけたその技術だが、NiやCuといったメタルをストライプ、マトリクス、ハニカム、ドットなど自在にパターニングしたもの。つまり、FPCの基板やタッチパネルの電極などに用いることができる。写真10はパターン化Cu箔で、開口面積を極限化することにより透過率85%を実現した。気になる加工方法はノウハウのため明確にしなかったが、まずレーザー描画法によって加工した金型をマスクにして触媒ライクな材料をベース基板上に塗布。この結果、金型パターンのない部分にだけ触媒ライク材料が付着する。その後、NiやCuをメッキ成膜して自己整合的に選択パターニングする仕組みとみられる。もちろん、金属箔の厚みは自在で、現時点での最小線幅は30μmクラス、最大サイズは1300o幅まで対応可能だという。 |
REMARK 1)Stella通信はFPD&PCB関連ニュースの無償提供コーナーです(ステラ・コーポレーションがFPDやPCBそのものを製品化しているわけではありません)。 2)この記事はステラ・コーポレーション 電子メディア部が取材して記事化したものです。 |